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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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■中身入れ替わり話 その後の話。



『え!じゃあ今度は鴇さんと中条さんが入れ替わっちゃったって事!?』
「……多分」
『え!え! てことは、今俺がしゃべってるのって鴇さんって事ですか!?』
「……中身は、な」
『え、だって声は中条さんじゃないっすか!?』
「だからさっきからそうゆう話をしてるだろ」
『あ。その言い方は鴇さんだ。』
「………………………。」
『!!ごめんなさい!!すみません 真剣に考えます…!!!』

携帯の向こうで大きな犬が尻尾を丸めている様子を描きつつ、美柴は自分の手を見た。
煙草の臭いが染み付いている指先は 自分には使いにくそうで、溜息が零れる。

「…斉藤、中条さんから連ら……俺の携帯から着信とかあったか?」
『何もないですよ~。まだ寝てるとかじゃないですか? だってほら!中条さんだし!』
「……。」
それもそうだな と納得し、こちらから連絡を入れてみようと思案する。
斉藤に 一度電話を切る と伝えようとした時、ギクリと心臓が凍った。

ピンポーン
「伸人いるの~?」
ドアのすぐ外で 女がノックする音。声の調子からして 親しげな雰囲気。

最悪だ。

『…??鴇さん??』
「……誰か来た。女だ」
『へ?……えぇえええ!!?ど、どうしよう!大変だ!!』
「それは俺の心境だ」
『ちょ、えーと、まず!まずは落ち着いて鴇さん!!!』
「お前が落ち着け。……居留守するしかない…」
『そ、そうですね!帰ってくれることを願って…』


「ちょっと~ 起きないなら勝手に入るわよ~?」
薄いドア一枚。その外で「カギどこだっけ」とバッグを探っている雰囲気。


最悪だ。


「来る。」
『え?来るって……?え!えぇ!!入って来るって事!?その女の人が部屋に入ってくるってこと!!?』
「…らしい。カギ探してる」
『~~~鴇さんが中条さんになっちゃう!!』
「もうなってる。とりあえず切るぞ」
『は はいッ。あ!鴇さん!』
「なんだ」
『中条さんのふりしなきゃダメっすよ!!?』
「ッ…」

何も返事をせずに 思い切り回線を叩き切った。
分かってる。分かってるが斉藤にそれを言われると腹が立つ。
なりたくてなってるんじゃない。最悪だ。他人のふりなんて出来るわけがない。……しかも中条さんの…


ガチャリ
「!ちょっと、起きてるならドアぐらい開けてよ」
玄関に立ったのは、109にいそうなカラフルな服に包まれた細身の同年代。

……しかも中条さんが引っ掛けた女の相手なんて………
…あぁ 何の罰だこれは。



■とりあえず前編ここまで。美柴さんが不憫だ。笑
続き、追記しました―。
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■中条⇔斉藤 入れ替わり話。


満楼軒へ着いた 美柴鴇の第一声。

「………何してるんだ…」

目の前のチームメイトに 珍しく眉を寄せた疑念の表情露わに 引いた。


【一難去って、倍になって帰ってくる】


「……つまり、朝起きたら そうなってたって話か?」
「そう!そうなんですよ!」
「チッ 斉藤!てめぇアホみたいな動きすんじゃねぇーよ」

バンバンッとテーブルを叩いて 事態を説明したのは…中条。
足と腕を組んで 顔を不愉快そうに歪めているのは…斉藤。

「………………。」
「ちょっとトキさん!?何 下向いてんですか!ちゃんと話聞いて下さいよッ!!」
「…美柴、お前何笑ってんだ。人事だと思いやがって」

至極深刻で 困った事態だとは分かっている。
しかし、………

「あーくそッ 苛々する」
「だぁあああ!!何俺の体で煙草吸おうとしてんスか!!止めて下さいッ」
「~~うるせぇーんだよ ただでさえ使いにくい身体になってんだぞ!好きにさせろ!」
「使いにくいってなんですか―!!」

中条が慌てた形相で 斉藤から煙草を取り上げる。
取り上げられた斉藤が 中条の座る椅子を蹴飛ばす。


美柴は俯いて 初めて込み上げる笑いを押さえ込もうと努力していた。

「トキさん!俺達どうしましょう!?」
「第三者の意見はねぇーのかよ」

……俺にどうしろっていうんだ。

正面から二人を見るのは難しい。
気を抜いたら拭き出して笑ってしまいそうになる。
斉藤の中の中条はそれを見抜いているのだろう。苛立ったように 軽く足を蹴られた。

「肩震わすほど笑ってんじゃねぇーよ つか笑うなら正面向け」
「………無理だ」
「笑ってる場合じゃないんですって!!俺も中条さんも、生活かかってんですから!!」
「…分かってる。分かった…」

美柴は 一度ふぅと深呼吸をしてから、すくっと前を向いた。
斉藤が中条さん、中条さんが斉藤、斉藤が中条さん、中条さんが斉藤。
もう自己暗示に近い感覚で そう思いなおす。しかし、……

「何が原因なのか 二人で考えたんですけど、さっっぱり分かんなくて。ねぇ中条さん」
「ビズゲーム以外にこれと言った共通点も無いからな。お前もどうにかなってんじゃねぇーかと思ったんだが……って美柴てめぇいい加減にしろ いつまで笑ってやがる」
「……斉藤に凄まれても 怖くない」
「うるせぇ。俺だってなりたくてなってるわけじゃねぇーんだよ!お前と入れ替わったほうがよっぽどマシだ」
「ヒドッ!何もそこまで言うことないじゃないですか~!てゆーか、俺だって替われるならトキさんが良かったのに!!」
「……俺はどっちもごめんだ…」

ようやく接し方に慣れてきた美柴は もう一度溜息を吐いて、二人を見比べる。

「………本当に、中身だけ入れ替わってるんだな」
「あぁ、朝起きたらガンプラだらけの部屋でエロ本抱えて全裸で転がってた」
「ちょっ!!要らない情報流さなくていいですから…!!しかも脚色しすぎでしょ 俺エロ本はちゃんとベッドの下に隠して寝てますから…!!」
「ほぅ。ベッドの下か。帰ったら見てみるか」
「~!!中条さんだって!パンツ一丁で寝てたじゃないですか!!」
「良かったなぁ 女が隣で寝てなくて。」
「……そ、そうか!良かった…!!」
「俺の顔で そんな情けねぇ面すんじゃねぇー。俺らしくシャキっとしてろ」
「中条さんこそ、俺らしく ちゃんとしててくださいよ!」
「あぁあ?俺に文句があるってのか その身体貸してやってんだぞ」
「借りたくて借りてるわけじゃないです!!って このやりとり さっきもしませんでしたっけ ねぇトキさん!?」

そう話を振られても、面倒くさいことこの上ない。

「中条さんはいつもシャキっとはしてないし、斉藤も ちゃんとしてない。元に戻りたいなら 話を整理しろ。訳が分からない。」

美柴がきっぱりと一息にそう言うと、当人達は 驚いたように美柴を見返す。

「あれ。トキさん もしかして軽くイラッときてます?」
「お前がそんな一気にしゃべるところ 初めて見た気がすんな」
「……………………。」

きょとんとする二人に うんざりと息を吐いて、美柴は二人を見る。

「……で、何でこうなってるんだ」
「それが分かれば 苦労しないですよ~」
「だいたい生活リズムが違いすぎるからな。今日が土曜だったから良かったものの、これで学校やらバイトやらが始まったら厄介だぞ」
「とりあえず、バイトと学校は休むとして…―」

「~~ていうか!家に居るだけでヤバイですよ!!絶対バレますって!」
「そうか?俺は上手くやってのけたぞ。お前んちの朝飯美味いなぁ~」
「えぇえ!食ってきたんですか!?…あ!中条さん。俺の部屋片付けてきましたか!?片してないと母ちゃんが色々引っ掻き回しちゃうんですよ エロ本見つかったらヤバイ!!」
「うるせぇーな。んな事言ってもな、隠してるエロ本なんざとっくにバレてんだよ。諦めろ」
「~~諦められませんよ!人事だと思って~!!」
「人事じゃねぇーよ 帰ったらお前、俺が何とかしなきゃなんねーんだろ」
「それが問題なんですって!!」
「大丈夫だって。適当に言っといてやるから。何なら新しいの買ってやるぞ、人妻とかでいいか」
「要りませんよ!!ひ、人妻とか俺の趣味じゃないです!!」
「何顔赤くしてんだよ。んじゃ お前、女子高生ものか?」
「~!!あぁもう絶対まずいですって この状況!!今のうちに母ちゃんに 部屋入っちゃ駄目だってメールしとこ!」

「―…話戻すぞ。とりあえず、バイトと学校は休むとして。」
「あぁ。こうやって揃ってる時はいいが、一人ずつになった時にボロが出るな。……くそ よりによってなんで斉藤なんだ」
「…いつまでもそんな事言っててもしょうがないだろ」

せかせかとメールを打つ中条を 斉藤と美柴は綺麗に無視をして話を進める。

「中条さんは、昨日何してたんだ」
「あ~…昼まで寝てて 夕方からバイトだったな。真夜中に帰ってきて……寝たな。特に何も問題ねぇ いつも通りだ」
「……いつも通り、か…。寝てる間に入れ替わったってことになるな」
「だろうな。ドラマみてぇーに『雷に打たれた』だとか 『すっ転んだ』って話ならまだ考えようもあったけどな」
「……そうなら、もう一度二人を落雷に合わせるか どこかの階段から突き落とせば済んだ話だったのに…」
「…………おいお前それ冗談で言ってねぇーだろ 本気でヤる気だろ」
「それで戻るならな。」
「………………寝てる間の出来事でホント良かったよ」
「良くないだろ。どうするんだ」
「それを考えてるんだろーが。あ~ なんで斉藤なんだかな~。なるならお前が良かったよ」
「…だから そんなこと言ってても仕方ない」

懲りずに愚痴る斉藤と ため息を零して頬杖をつく美柴。
そんな二人を ポカンと見ている中条に気がついて、美柴が眉を寄せる。

「…何だ斉藤」
「…え!…いや~、なんか変な光景だな~と思って」
「それはこっちの台詞だ」
「うッ…いや…そうなんですけど…。だってさ、俺と鴇さんが仲良くしゃべってる感じなんですよ こうやって見てると。」

えへへ と緩い笑顔をする中条に、美柴は違和感に笑いそうになり、斉藤は「俺がしない顔をするな」と軽く小突く。

「仲良くって…斉藤てめぇも考えろよ」
「考えてますよ!考えてますけど、なんかちょっと嬉しいかも。みんな友達!って感じじゃないですか!?」
「…中身がお前じゃないからな」
「ヒドッ!!!」

結局 解決策のないまま 時間切れとなり、三人は帰路に着いた。
中条は斉藤の家へと、そして斉藤は中条の家へ帰っていくのだ。
軽く手を上げて「じゃあな」の一言で去る斉藤と 何度も振り返って約束を取り付ける中条。
外見はいつもと同じ分かれ道なのに、中身が違うせいで 酷い違和感だった。

「…………………。」
疲れた。

ボスンとベッドに倒れこんだ美柴は不可解な状況を思い起こし ため息を吐く。
自分に全く関係のない人間だったなら、きっと無関心だっただろう。
しかし困ったことにあの二人は ビズを続けてゆく以上 運命共同体なのだ。

……このままじゃ困る…。
…何とかしてやらないといけない。
もし 二人とも明日も元に戻っていなかったら、今度はどこか病院にでも連れて行ったほうがいいのだろうか…。
内科…?精神科…?そもそも『病気』なのか…??

「…………………。」
めんどくさい、とは思っていても 入れ替わってしまった二人の為に何か手立てはないものかと考えを巡らせた。
そうして、気がつけば 眠ってしまっていた。


翌朝、美柴鴇はむくりと起き上がり その状況に目を見張る。

そこは見慣れた、中条の部屋だった。
恐る恐る周囲を見渡す。中条の姿は無い。
そもそも これは自分の視線の高さではない。
ゆっくりと自分の体を見下ろす。

「…………………。」
気絶するように、ひゅー、ポスン、とベッドに再び倒れたのは……倒れた体は…中条伸人。

鳴り響いた携帯の向こうから聞こえたのは…

『中条さん!俺です斉藤ですッ 俺元に戻りました!!中条さんは!?』


(………嘘だろ…)


■で、結局一番可哀想な美柴さん。笑

下記事がちょっと切ないお話なので、次はガラリとパロったお話ですー。

DVD特典ラジオCDの企画「ビズゲーム・バトル」のパロディーです―。
声優さんのノリを踏まえておりますので、どうか広い心で先をお読みくださいませー!!笑

たまにこうゆう、心理描写ー!とか綺麗な文章を…!!とか気にせず、ライトなノリで物を書きたくなります。笑
■捏造された 斉藤くんの話。


斉藤一雄の両親は、斉藤が5歳の時 交通事故で亡くなった。

カーブを曲がりきれなかった大型トラックが、旅行へ向かう途中だった斉藤家の乗用車と正面衝突。
運転席、助手席に乗った両親は ほぼ即死。後部座席にいた一人息子は、出発前に母親が固定してくれたシートベルトによって 命を救われた。

物凄い衝撃と痛みを感じたあの瞬間の、ほんの少し前の記憶を 斉藤はいまでも覚えている。
途中休憩にと立ち寄ったコンビニで 母に強請って買ってもらった食玩。
それを手にしながら 前方に座る両親の座席の間に乗り出していた。

「ねぇお母さん 着いたら海行ってもいい?」
「いいわよ~ お父さんについて行ってもらいなさいね」
「やった!ねぇお父さん ちゃんと水着持ってきたー!?」
「持ってきたよ。デカイ魚も見れるかも知れないぞ?釣りもできるからな。一緒にやるか?」
「ホントに!?約束だよ―!!」
「釣れたらお母さんに見せてやろう」
「うん!」
「こら一雄。危ないから、着くまでちゃんと座ってなさい」
「はぁーい」

初めての遠出旅行。
嬉しくて、待ち遠しくて、ニコニコと座りなおす。
窓の外は気持ち良い青空だった。入道雲が見えた。
すごい、大きな雲。初めて見た。お母さんにも見えるだろうか。

「ねぇ お母さん!」
そう、声掛けた瞬間。

身体が吹き飛ばされるような衝撃。
ガクンと首が外れそうなほど強い反動で、座席に叩き付けられた。
一瞬息が止まり、目の前が真っ暗になった。


……耳鳴りが止んで 最初に聞こえたのは、知らない大人達の声。
「ぼく、大丈夫!?」「動かさないで!」「前のほうはもう駄目だ 早く子供を出せ!」
耳に膜が張っているような、どこか遠くの世界の出来事のような、不思議な感覚。
誰かが 自分を抱えあげて 車外に引っ張り出す。
お腹が痛い。肩が痛い。頭が痛い。何をしていたんだっけ。

グラグラと脳震盪のように眩暈を起こしながら、ゆっくり目を開けた。
大きなトラックの下敷きになっている、乗用車。
前方が、完全に車体に飲み込まれていた。

何が起こっているのか、わからなかった。

誰かに抱えられて 足早にその場から離れていく。
数人の知らない人達が 次々に「大丈夫!?」と声を掛けてくる。
そのまま 救急車に乗せられて、名前を聞かれて、痛い所は何処かと聞かれて…………

「………海。」

それだけ呟いて、気を失った。


………その後 斉藤一雄が預けられたのは、小さな教会だった。
急に孤児になってしまった少年に、誰もが優しくしてくれた。
付属の医院に通い、身体はすぐに良くなった。
持ち前の明るさで、教会で友達もたくさん出来た。

「一雄くん、お手伝いありがとう。でも重くない?大丈夫?」
「大丈夫!このくらい、俺、持てるよ!」
与えられる愛情に応えようと、斉藤は率先してシスターの手助けをしていた。
日曜教会で使われる物を 腕いっぱいに抱えて、シスターの後をついて歩く。
すれ違う来客に 「お手伝いエライわね」と褒められれば、誇らしかった。

「ありがとう、一雄くん」
そうやってシスターに頭を撫でられるのが、本当に嬉しかった。

けれど、ふいに一人になりたくて その衝動を抑えきれない時もあった。
皆で集まる時間になっても、どうしても足が向かず ベッドの上で ぎゅっと膝を抱えて、小さくなる。
そんな時、やってきたシスターは 何も言わず そっと斉藤の隣に座っていた。
心に積もる寂しさや苦しさを解くように ゆっくりと 優しく背中を撫でてくれた。
見上げると、穏やかに微笑んで 大丈夫よ と一緒にお祈りをしてくれた。


斉藤は、子供にしては物分りが良過ぎたのだ。
誰かに心配掛けてはいけない。
皆と仲良くしなくちゃいけない。
寂しくない。大丈夫。
まるで自分にそう言い聞かせるように、周囲に笑顔で接していた。


「……大丈夫。先生がここにいるからね」

あの頃、頑なに笑顔で居ようとする自分を心配して そう言ってくれたシスターを 斉藤は心から愛している。

今でも 家族を失った瞬間の衝撃を、無残な残骸を、優しい笑顔を、どれもすべて 大切に胸に留めている。
忘れてはいけない悲しみ。自分の周りにいる人には 誰にもそんな嫌な思いはさせたくない。
自分を愛してくれる人や 守ってくれる場所の為に、自分に出来る事をしたい。

ただ、それだけなのだ。


■もう誰も泣いてないあたたかな 時になれ。(湖 清春)

なんかすみません。とりあえず 斉藤の過去を捏造したかったんだ!!←
人の感情の機微に敏感な斉藤は、少し切ないです。
「…海」は伏線張ったつもりだったんですが……あれ?どこで拾えばいいんだ(笑)
斉鴇とか どこかの話で上手く繋げたいです…!!
お話に行く前に取り急ぎお礼だけ…!!
拍手押して下さった方々 有難うございますッ。(深礼)
……せっかく押して頂いたのに、中身がマイナーな話で……何だか申し訳ない気が…笑"

メルフォのとコメントの方も受け取っております―!!
きちんとしたレスはまた明日させて頂きますが、まず リクエストのほう 受けさせて頂きますッ!有難うございます―!
こんな所でお礼して申し訳ありません;;気付くのが遅かったもので;;

■では、以下、意外に仲良しなAAAのお話。そしてタイトルは私の話。笑



ビズゲーム。
勝ち残っていくほどに、命の危険を日常的に感じる瞬間は多くなっていく、道楽ゲーム。
どこからか感じる他人の視線。不自然に周囲で起こる傷害事件。盗聴器 監視カメラ 無言電話…。

そんな非日常的な生活の中で、美柴が 駅の階段から突き落とされたのは、まだほんの数日前だ。
幸い 酷い怪我はせずに済んだが、左手首をひねり まだサポーターをしている。

こんな事をされる覚えはない。…ビズゲーム以外に。
怪我をしたなんて あまり言いたくはない。しかしこうゆう時ほどタイミングが悪く、満楼軒の打ち合わせが決まってしまう。
結局 他二人と顔を合わせ、負傷した手首の事情を聞かれれば 事実を話すしかなかった。


…………そうして、AAAは今に至る。


「と、いうことで!中条さんちでお泊り大会~!!」
「声がデケェーんだよ!追い出すぞ斉藤」
「………大会…?」

夜遅く、AAAが打ち合わせ後に行き着いたのは 中条宅。

「ったく…何でこんな事になってんだよ」
ビール片手にキッチンに腰を預け 中条はため息を吐く。
適当に片付けたスペースに 適当に座った斉藤と美柴を見下ろす。

「だって 一人じゃ危ないですから!!ね!鴇さん!」
「……俺は別に…」
「えぇえ!だって怪我したばっかりですよ!?何があるか分かんないじゃないっすか!」
「……それでなんでコレなんだ」

一方は妙にテンション高く、もう一方は うんざりと。

「だーかーら!こうゆう時は一人でも多く集まってた方が安全なんですって!それに俺んち、今日親どっちも帰り遅いし」
「明らかにお前が怖いだけだろ」

すっかり慣れてしまった我が家でのこの光景に、中条はビールを煽り テーブルにつく。

「てかな、なんで俺の家がお前等に開放されてんだ。軽く別荘感覚なんじゃねぇーか?」
「えー?別荘ってもっと広いですよー!」
「こんな汚い別荘は嫌だ」
「…よし。お前ら帰れ。」

と言いつつも 無駄な事だと分かっている。
斉藤は「仲良くなる為にも」なんて嬉しそうに笑っていて、美柴はもう半分 意識が眠りに落ちそうだ。どっちも今から帰すには面倒すぎる。

「ったく。お前ら 起きたら帰れよー。俺明日休みだからな」
「あ。俺、明日ガッコなんスよ。7時起きでお願いしまっす中条さん!」
「はぁあ?自分で起きて勝手に行け」
「え―!!」
「えー!じゃねぇーよ。美柴は?明日学校か?」
「……午後からだから、昼に起きられればいい…」
「ん。じゃあ昼でアラームセットしといてやる」
「えぇぇえ!!?なんかそれ贔屓じゃない!?なんで鴇さんは起こしてもらえんの!!?」
「うるせェうるせェ。自分の胸に聞いてみるんだな」
「~~~聞いてみたけど分かりません!」
「一生やってろ」
「ヒデェー!!」

そうして ぐだぐだとまとまりのない会話をしている内に、一人寝て 二人寝て………

「………結局こうなるわけね」

限られた床には斉藤が転がっていて、何故だか美柴がベッドで丸まって寝ている。
少し考え、中条は斉藤の足を掴んだ。
ずるずると掴んだ足を引きずり、その身体を台所のスペースへと放ることにした。


「…チッ 重いんだお前は…!!」
「ん~…イデッ……ん~~…」
障害物にぶつかりながらも 放られた斉藤はそのまま寝続ける。
蹴飛ばしてやろうかと思ったが、妙に気遣って 小声で悪態を吐く自分がいる。
今日何度目かの溜息を溢しつつ 空いたスペースに腰を下ろせば、ベッドには死んだように眠った美柴が見える。
固い床にいる側としては その様子がやけに居心地良さそうで 腹立たしい気もするが、何となく起こさないでおく。

「……あー…」
こんな時、出来上がってしまったこの三人の関係性を思い知る。
何だかんだで 『こうゆう事』になるのだ。

何してんだか。奇妙な笑みが零れる。
その笑みを自覚しながら 最後の一服を終わらせると 中条も眠った。



そうして翌朝、七時。

『いちおくねん年と 二千年前から、あ、い、し、てる~♪!!!!』

「「!!!?」」
中条と美柴は 特大音量のアラームで飛び起きることになった。
ガバッ!と同時に身を起こした二人は、音の出所を見て 顔を見合わせ、自動的に台所へと 据わった視線を流す。

すやすやと 幸せそうな斉藤の寝顔が そこにある。

「~~朝っぱらから うッせぇーんだよ!!起きろ斉藤!!」
「ッイ!?痛ッてぇー!!!」
「…………………………………。」

―――…パキンッ。

「ちょ!?鴇さん何してんスかー!!!」

斉藤は 中条の蹴りと 美柴が元凶である携帯を壊す音で 飛び起きる。



■始まりはシリアスかと思いきや 中身は能天気なAAAが好きです。笑
尻尾切れな終わりで申し訳ないですッ お泊りしてるAAAとか可愛いなとか思ったんです!!(ドーン)
斉藤のアラームは古いですが……”アレ”で笑
■28日に、以下追記で続き書きましたー!
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