愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
■以下、後編の後編。
ようやく最後でっす!
ようやく最後でっす!
いつもの何倍も甘い情事を終えて、二人はうつ伏せになって肩を寄せ合っていた。
中条は伸びをして あーと枕に突っ伏して。
美柴は変わってしまった中条のアドレスを自分の携帯に入力する。
登録を終えた美柴が、あ と思い出したような声を上げた。
「……ひとつ、謝ることがある」
「あ?なんだよ」
脱力した中条が 美柴を見やる。
「ストックしてあった煙草 全部捨てた。」
絶句。
「な…!全部!?」
「全部。」
「一つ残らずか!?」
「…一つ残らず。」
「……お前…いくら何でも……」
まさかそこまで落ち込むとは思っていなかった美柴は、マジかよ…と落胆する中条を見て、少し考え込む。
「………悪い」
しかし 謝る声はどこか不服気。
そんな事をするぐらい、辛かったのだ。
「………。」
ほんの少し影を落ちた美柴の横顔に 中条は仕方ないと溜息をついた。
「まぁ、無いもんはしょうがねぇー。とりあえず、もうこうならない様に努めるってことだな」
「…………煙草の為に…?」
ふいに美柴がそう言った。
じーっと見定めてくる視線を すぐに悟った中条は、笑った。
子供にあやす様に美柴の頭に手を乗せて、ぐいと顔を近づける。
耳元に優しく意地悪な声で、囁いた。
「バカ。お前の為に、だよ」
どうやら 強請ったくせに照れくさかったらしい。
美柴はピタリと表情も身体も動かなくなって、しばらくするとズルズルと枕に顔を埋めて潜ってしまった。
その一連の仕草が愛しくて、中条は ははと声に出して笑う。
毛布の中、追いかけて 背中から強引に抱きしめた。
嫌がる素振りをする美柴が、けれど手だけは離さない。
強く握り返して、熱い体温に身体を預ける。
(おかえり)
そう言われている様な気がした。
ー…
そんな仲直りが行われているとは知らず、優希は一人 自室のベッドでぐるぐるとした想いを引きずっていた。
いざとなれば 本気でこの家を出て行く決意だ。
でも中条に言われた様に それもまた美柴に別の傷をつけるだろう。
どうすれば解決するんだと 苛立ちと悲しみに苛まれていた。
(……鴇、どうしてるかな)
気がつけば もう時計は夜中を指していた。
優希は中条宅から帰ってきて、4時間以上も引き篭もっていたことになる。
(…変に思ったよね)
玄関に入る前に きちんと表情を作ったはずだったのに、どうしても引かなかった涙目を鴇に見られてしまった。
中条さんの所に行ってたのはバレてなかったようだけど、それでも こんな格好で外に出ていただけで 充分怪しい。
(夕飯は ちゃんと顔出さなきゃ…)
思えば今日一日何も食べていない。
食欲なんて全く無い。けれど、鴇にこれ以上心配かけるわけにもいかない。
気が向かないと自覚しながらも、優希は深呼吸をして 自室を出た。
朝と同じように 開け放されたリビングのドア。
今朝のトラウマで ゆっくり抜き足差し足で 中の様子を伺う。
「!」
そして、目を見張って唖然とした。
「…中条さん」
「あ?」
パソコンデスクの前に、今度は美柴と中条が揃っているのだ。
美柴が手にしているのは 今朝捨てられるのを見た最後の煙草。
それを中条に見せ、見せられた中条も美柴の傍に寄る。
「……煙草、ひとつあった」
「って今それゴミ箱から出したじゃねぇーか」
「…まだ吸える」
「いや吸える吸えないの問題じゃないだろ」
「……今朝捨てたばかりの、」
「時間の問題でもねぇーよ!採れたてみたいな言い方すんな…!」
執拗に潰れたケースを差し出す美柴の手を ペシリと叩く中条も、
せっかくの申し出を却下されて むぅと不機嫌そうに見返す美柴も、
優希にはどこか楽しそうに見えた。
安堵とか、喜びとか、そんな感情で胸がいっぱいになる。
「これ完璧に潰れてんなぁ」
「じゃあ煙草止めれば。」
「極論すぎんだろ…! 本当に一個もねぇーのかよ」
「……これがある」
「だから却下だって言ってんだろーが!…おー、優希。やっと出てきたな」
「!起きたか 優希も何か食べ」
ドア口に佇む優希を振り返った二人は、同時に ぎょっとする。
(~~~~鴇のバカァ!!中条さんのバカァ!!)
優希がこれでもかと盛大な手話を見せ、ぶわぁと吹き出すようにその場で泣きはじめた。
「!」
「おいおい何なんだよお前は…!」
大声を上げて泣く優希に驚いて、二人で駆け寄った。
怒っているのかと思い 罰が悪そうに目を見合わせる。
「何だ 腹減ったのか?」
「…そんなわけないだろ」
とぼける中条と あやす美柴の間で、きゅっと二人にしがみつく優希は顔を上げた。
嬉しくて嬉しくて嬉しくて…!
泣きながら最高の笑顔で 二人を見上げる。
(おかえりなさい!)
それは 中条と美柴の両方に向けられた言葉だった。
一拍 きょとん とした二人は 顔を見合わせる。
この子には敵わない と溜息交じりの笑みを交わした。
((ただいま))
もう戻れないと覚悟した時間が、帰ってきたサインだった。
■例えば大事な人の泣くスガタに 言葉が出なくても(リトルブレイバー / BUMP OF CHICKEN)
ふーひと段落!ちょっと書き足りない場面がありますが、とりあえず区切りをつけて、これで終わり。
時系列的なこととかあんまり書いてません。
優希が何歳頃なのかとか明確な喧嘩の原因とか、そうゆうのも暈してます。笑”
未来捏造シリーズは結構そうゆう感じでやってますが、
……読んだ方がまたここから妄想を膨らませてくれたりしたらいいなぁとか思ってるシリーズなので、よろしくお願いします(礼)笑
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Comment
捏造シリーズ拝見しました!
途中うるうるしてしまうシーンもありましたが、最後はいつもの中鴾~(*´V`*)
親子3人は離れちゃダメですね♪
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結|2010/06/02(Wed)|Edit
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