愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
■捏造された 斉藤くんの話。
斉藤一雄の両親は、斉藤が5歳の時 交通事故で亡くなった。
カーブを曲がりきれなかった大型トラックが、旅行へ向かう途中だった斉藤家の乗用車と正面衝突。
運転席、助手席に乗った両親は ほぼ即死。後部座席にいた一人息子は、出発前に母親が固定してくれたシートベルトによって 命を救われた。
物凄い衝撃と痛みを感じたあの瞬間の、ほんの少し前の記憶を 斉藤はいまでも覚えている。
途中休憩にと立ち寄ったコンビニで 母に強請って買ってもらった食玩。
それを手にしながら 前方に座る両親の座席の間に乗り出していた。
「ねぇお母さん 着いたら海行ってもいい?」
「いいわよ~ お父さんについて行ってもらいなさいね」
「やった!ねぇお父さん ちゃんと水着持ってきたー!?」
「持ってきたよ。デカイ魚も見れるかも知れないぞ?釣りもできるからな。一緒にやるか?」
「ホントに!?約束だよ―!!」
「釣れたらお母さんに見せてやろう」
「うん!」
「こら一雄。危ないから、着くまでちゃんと座ってなさい」
「はぁーい」
初めての遠出旅行。
嬉しくて、待ち遠しくて、ニコニコと座りなおす。
窓の外は気持ち良い青空だった。入道雲が見えた。
すごい、大きな雲。初めて見た。お母さんにも見えるだろうか。
「ねぇ お母さん!」
そう、声掛けた瞬間。
身体が吹き飛ばされるような衝撃。
ガクンと首が外れそうなほど強い反動で、座席に叩き付けられた。
一瞬息が止まり、目の前が真っ暗になった。
……耳鳴りが止んで 最初に聞こえたのは、知らない大人達の声。
「ぼく、大丈夫!?」「動かさないで!」「前のほうはもう駄目だ 早く子供を出せ!」
耳に膜が張っているような、どこか遠くの世界の出来事のような、不思議な感覚。
誰かが 自分を抱えあげて 車外に引っ張り出す。
お腹が痛い。肩が痛い。頭が痛い。何をしていたんだっけ。
グラグラと脳震盪のように眩暈を起こしながら、ゆっくり目を開けた。
大きなトラックの下敷きになっている、乗用車。
前方が、完全に車体に飲み込まれていた。
何が起こっているのか、わからなかった。
誰かに抱えられて 足早にその場から離れていく。
数人の知らない人達が 次々に「大丈夫!?」と声を掛けてくる。
そのまま 救急車に乗せられて、名前を聞かれて、痛い所は何処かと聞かれて…………
「………海。」
それだけ呟いて、気を失った。
………その後 斉藤一雄が預けられたのは、小さな教会だった。
急に孤児になってしまった少年に、誰もが優しくしてくれた。
付属の医院に通い、身体はすぐに良くなった。
持ち前の明るさで、教会で友達もたくさん出来た。
「一雄くん、お手伝いありがとう。でも重くない?大丈夫?」
「大丈夫!このくらい、俺、持てるよ!」
与えられる愛情に応えようと、斉藤は率先してシスターの手助けをしていた。
日曜教会で使われる物を 腕いっぱいに抱えて、シスターの後をついて歩く。
すれ違う来客に 「お手伝いエライわね」と褒められれば、誇らしかった。
「ありがとう、一雄くん」
そうやってシスターに頭を撫でられるのが、本当に嬉しかった。
けれど、ふいに一人になりたくて その衝動を抑えきれない時もあった。
皆で集まる時間になっても、どうしても足が向かず ベッドの上で ぎゅっと膝を抱えて、小さくなる。
そんな時、やってきたシスターは 何も言わず そっと斉藤の隣に座っていた。
心に積もる寂しさや苦しさを解くように ゆっくりと 優しく背中を撫でてくれた。
見上げると、穏やかに微笑んで 大丈夫よ と一緒にお祈りをしてくれた。
斉藤は、子供にしては物分りが良過ぎたのだ。
誰かに心配掛けてはいけない。
皆と仲良くしなくちゃいけない。
寂しくない。大丈夫。
まるで自分にそう言い聞かせるように、周囲に笑顔で接していた。
「……大丈夫。先生がここにいるからね」
あの頃、頑なに笑顔で居ようとする自分を心配して そう言ってくれたシスターを 斉藤は心から愛している。
今でも 家族を失った瞬間の衝撃を、無残な残骸を、優しい笑顔を、どれもすべて 大切に胸に留めている。
忘れてはいけない悲しみ。自分の周りにいる人には 誰にもそんな嫌な思いはさせたくない。
自分を愛してくれる人や 守ってくれる場所の為に、自分に出来る事をしたい。
ただ、それだけなのだ。
■もう誰も泣いてないあたたかな 時になれ。(湖 清春)
なんかすみません。とりあえず 斉藤の過去を捏造したかったんだ!!←
人の感情の機微に敏感な斉藤は、少し切ないです。
「…海」は伏線張ったつもりだったんですが……あれ?どこで拾えばいいんだ(笑)
斉鴇とか どこかの話で上手く繋げたいです…!!
斉藤一雄の両親は、斉藤が5歳の時 交通事故で亡くなった。
カーブを曲がりきれなかった大型トラックが、旅行へ向かう途中だった斉藤家の乗用車と正面衝突。
運転席、助手席に乗った両親は ほぼ即死。後部座席にいた一人息子は、出発前に母親が固定してくれたシートベルトによって 命を救われた。
物凄い衝撃と痛みを感じたあの瞬間の、ほんの少し前の記憶を 斉藤はいまでも覚えている。
途中休憩にと立ち寄ったコンビニで 母に強請って買ってもらった食玩。
それを手にしながら 前方に座る両親の座席の間に乗り出していた。
「ねぇお母さん 着いたら海行ってもいい?」
「いいわよ~ お父さんについて行ってもらいなさいね」
「やった!ねぇお父さん ちゃんと水着持ってきたー!?」
「持ってきたよ。デカイ魚も見れるかも知れないぞ?釣りもできるからな。一緒にやるか?」
「ホントに!?約束だよ―!!」
「釣れたらお母さんに見せてやろう」
「うん!」
「こら一雄。危ないから、着くまでちゃんと座ってなさい」
「はぁーい」
初めての遠出旅行。
嬉しくて、待ち遠しくて、ニコニコと座りなおす。
窓の外は気持ち良い青空だった。入道雲が見えた。
すごい、大きな雲。初めて見た。お母さんにも見えるだろうか。
「ねぇ お母さん!」
そう、声掛けた瞬間。
身体が吹き飛ばされるような衝撃。
ガクンと首が外れそうなほど強い反動で、座席に叩き付けられた。
一瞬息が止まり、目の前が真っ暗になった。
……耳鳴りが止んで 最初に聞こえたのは、知らない大人達の声。
「ぼく、大丈夫!?」「動かさないで!」「前のほうはもう駄目だ 早く子供を出せ!」
耳に膜が張っているような、どこか遠くの世界の出来事のような、不思議な感覚。
誰かが 自分を抱えあげて 車外に引っ張り出す。
お腹が痛い。肩が痛い。頭が痛い。何をしていたんだっけ。
グラグラと脳震盪のように眩暈を起こしながら、ゆっくり目を開けた。
大きなトラックの下敷きになっている、乗用車。
前方が、完全に車体に飲み込まれていた。
何が起こっているのか、わからなかった。
誰かに抱えられて 足早にその場から離れていく。
数人の知らない人達が 次々に「大丈夫!?」と声を掛けてくる。
そのまま 救急車に乗せられて、名前を聞かれて、痛い所は何処かと聞かれて…………
「………海。」
それだけ呟いて、気を失った。
………その後 斉藤一雄が預けられたのは、小さな教会だった。
急に孤児になってしまった少年に、誰もが優しくしてくれた。
付属の医院に通い、身体はすぐに良くなった。
持ち前の明るさで、教会で友達もたくさん出来た。
「一雄くん、お手伝いありがとう。でも重くない?大丈夫?」
「大丈夫!このくらい、俺、持てるよ!」
与えられる愛情に応えようと、斉藤は率先してシスターの手助けをしていた。
日曜教会で使われる物を 腕いっぱいに抱えて、シスターの後をついて歩く。
すれ違う来客に 「お手伝いエライわね」と褒められれば、誇らしかった。
「ありがとう、一雄くん」
そうやってシスターに頭を撫でられるのが、本当に嬉しかった。
けれど、ふいに一人になりたくて その衝動を抑えきれない時もあった。
皆で集まる時間になっても、どうしても足が向かず ベッドの上で ぎゅっと膝を抱えて、小さくなる。
そんな時、やってきたシスターは 何も言わず そっと斉藤の隣に座っていた。
心に積もる寂しさや苦しさを解くように ゆっくりと 優しく背中を撫でてくれた。
見上げると、穏やかに微笑んで 大丈夫よ と一緒にお祈りをしてくれた。
斉藤は、子供にしては物分りが良過ぎたのだ。
誰かに心配掛けてはいけない。
皆と仲良くしなくちゃいけない。
寂しくない。大丈夫。
まるで自分にそう言い聞かせるように、周囲に笑顔で接していた。
「……大丈夫。先生がここにいるからね」
あの頃、頑なに笑顔で居ようとする自分を心配して そう言ってくれたシスターを 斉藤は心から愛している。
今でも 家族を失った瞬間の衝撃を、無残な残骸を、優しい笑顔を、どれもすべて 大切に胸に留めている。
忘れてはいけない悲しみ。自分の周りにいる人には 誰にもそんな嫌な思いはさせたくない。
自分を愛してくれる人や 守ってくれる場所の為に、自分に出来る事をしたい。
ただ、それだけなのだ。
■もう誰も泣いてないあたたかな 時になれ。(湖 清春)
なんかすみません。とりあえず 斉藤の過去を捏造したかったんだ!!←
人の感情の機微に敏感な斉藤は、少し切ないです。
「…海」は伏線張ったつもりだったんですが……あれ?どこで拾えばいいんだ(笑)
斉鴇とか どこかの話で上手く繋げたいです…!!
PR
Comment
Trackback
この記事にトラックバックする:
カレンダー
カウンター
Profile
HN:
NANO
性別:
女性
自己紹介:
■Like■
ゆるカジュ
峰倉作品
■Love■
清春(神)
美柴鴇(BUSGAMER)
Super Dollfie(オーナー歴三年)
ゆるカジュ
峰倉作品
■Love■
清春(神)
美柴鴇(BUSGAMER)
Super Dollfie(オーナー歴三年)
近況報告
2010年も BUSGAMER至上主義で参ります…!!
マイナー万歳!!
当人管理HP…etc
コメント
[06/09 華爛]
[06/02 結]
[05/31 華爛]
[05/31 紅夜]
[05/30 ありこ]
ブログ内検索
■■■