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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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■中条⇔斉藤 入れ替わり話。


満楼軒へ着いた 美柴鴇の第一声。

「………何してるんだ…」

目の前のチームメイトに 珍しく眉を寄せた疑念の表情露わに 引いた。


【一難去って、倍になって帰ってくる】


「……つまり、朝起きたら そうなってたって話か?」
「そう!そうなんですよ!」
「チッ 斉藤!てめぇアホみたいな動きすんじゃねぇーよ」

バンバンッとテーブルを叩いて 事態を説明したのは…中条。
足と腕を組んで 顔を不愉快そうに歪めているのは…斉藤。

「………………。」
「ちょっとトキさん!?何 下向いてんですか!ちゃんと話聞いて下さいよッ!!」
「…美柴、お前何笑ってんだ。人事だと思いやがって」

至極深刻で 困った事態だとは分かっている。
しかし、………

「あーくそッ 苛々する」
「だぁあああ!!何俺の体で煙草吸おうとしてんスか!!止めて下さいッ」
「~~うるせぇーんだよ ただでさえ使いにくい身体になってんだぞ!好きにさせろ!」
「使いにくいってなんですか―!!」

中条が慌てた形相で 斉藤から煙草を取り上げる。
取り上げられた斉藤が 中条の座る椅子を蹴飛ばす。


美柴は俯いて 初めて込み上げる笑いを押さえ込もうと努力していた。

「トキさん!俺達どうしましょう!?」
「第三者の意見はねぇーのかよ」

……俺にどうしろっていうんだ。

正面から二人を見るのは難しい。
気を抜いたら拭き出して笑ってしまいそうになる。
斉藤の中の中条はそれを見抜いているのだろう。苛立ったように 軽く足を蹴られた。

「肩震わすほど笑ってんじゃねぇーよ つか笑うなら正面向け」
「………無理だ」
「笑ってる場合じゃないんですって!!俺も中条さんも、生活かかってんですから!!」
「…分かってる。分かった…」

美柴は 一度ふぅと深呼吸をしてから、すくっと前を向いた。
斉藤が中条さん、中条さんが斉藤、斉藤が中条さん、中条さんが斉藤。
もう自己暗示に近い感覚で そう思いなおす。しかし、……

「何が原因なのか 二人で考えたんですけど、さっっぱり分かんなくて。ねぇ中条さん」
「ビズゲーム以外にこれと言った共通点も無いからな。お前もどうにかなってんじゃねぇーかと思ったんだが……って美柴てめぇいい加減にしろ いつまで笑ってやがる」
「……斉藤に凄まれても 怖くない」
「うるせぇ。俺だってなりたくてなってるわけじゃねぇーんだよ!お前と入れ替わったほうがよっぽどマシだ」
「ヒドッ!何もそこまで言うことないじゃないですか~!てゆーか、俺だって替われるならトキさんが良かったのに!!」
「……俺はどっちもごめんだ…」

ようやく接し方に慣れてきた美柴は もう一度溜息を吐いて、二人を見比べる。

「………本当に、中身だけ入れ替わってるんだな」
「あぁ、朝起きたらガンプラだらけの部屋でエロ本抱えて全裸で転がってた」
「ちょっ!!要らない情報流さなくていいですから…!!しかも脚色しすぎでしょ 俺エロ本はちゃんとベッドの下に隠して寝てますから…!!」
「ほぅ。ベッドの下か。帰ったら見てみるか」
「~!!中条さんだって!パンツ一丁で寝てたじゃないですか!!」
「良かったなぁ 女が隣で寝てなくて。」
「……そ、そうか!良かった…!!」
「俺の顔で そんな情けねぇ面すんじゃねぇー。俺らしくシャキっとしてろ」
「中条さんこそ、俺らしく ちゃんとしててくださいよ!」
「あぁあ?俺に文句があるってのか その身体貸してやってんだぞ」
「借りたくて借りてるわけじゃないです!!って このやりとり さっきもしませんでしたっけ ねぇトキさん!?」

そう話を振られても、面倒くさいことこの上ない。

「中条さんはいつもシャキっとはしてないし、斉藤も ちゃんとしてない。元に戻りたいなら 話を整理しろ。訳が分からない。」

美柴がきっぱりと一息にそう言うと、当人達は 驚いたように美柴を見返す。

「あれ。トキさん もしかして軽くイラッときてます?」
「お前がそんな一気にしゃべるところ 初めて見た気がすんな」
「……………………。」

きょとんとする二人に うんざりと息を吐いて、美柴は二人を見る。

「……で、何でこうなってるんだ」
「それが分かれば 苦労しないですよ~」
「だいたい生活リズムが違いすぎるからな。今日が土曜だったから良かったものの、これで学校やらバイトやらが始まったら厄介だぞ」
「とりあえず、バイトと学校は休むとして…―」

「~~ていうか!家に居るだけでヤバイですよ!!絶対バレますって!」
「そうか?俺は上手くやってのけたぞ。お前んちの朝飯美味いなぁ~」
「えぇえ!食ってきたんですか!?…あ!中条さん。俺の部屋片付けてきましたか!?片してないと母ちゃんが色々引っ掻き回しちゃうんですよ エロ本見つかったらヤバイ!!」
「うるせぇーな。んな事言ってもな、隠してるエロ本なんざとっくにバレてんだよ。諦めろ」
「~~諦められませんよ!人事だと思って~!!」
「人事じゃねぇーよ 帰ったらお前、俺が何とかしなきゃなんねーんだろ」
「それが問題なんですって!!」
「大丈夫だって。適当に言っといてやるから。何なら新しいの買ってやるぞ、人妻とかでいいか」
「要りませんよ!!ひ、人妻とか俺の趣味じゃないです!!」
「何顔赤くしてんだよ。んじゃ お前、女子高生ものか?」
「~!!あぁもう絶対まずいですって この状況!!今のうちに母ちゃんに 部屋入っちゃ駄目だってメールしとこ!」

「―…話戻すぞ。とりあえず、バイトと学校は休むとして。」
「あぁ。こうやって揃ってる時はいいが、一人ずつになった時にボロが出るな。……くそ よりによってなんで斉藤なんだ」
「…いつまでもそんな事言っててもしょうがないだろ」

せかせかとメールを打つ中条を 斉藤と美柴は綺麗に無視をして話を進める。

「中条さんは、昨日何してたんだ」
「あ~…昼まで寝てて 夕方からバイトだったな。真夜中に帰ってきて……寝たな。特に何も問題ねぇ いつも通りだ」
「……いつも通り、か…。寝てる間に入れ替わったってことになるな」
「だろうな。ドラマみてぇーに『雷に打たれた』だとか 『すっ転んだ』って話ならまだ考えようもあったけどな」
「……そうなら、もう一度二人を落雷に合わせるか どこかの階段から突き落とせば済んだ話だったのに…」
「…………おいお前それ冗談で言ってねぇーだろ 本気でヤる気だろ」
「それで戻るならな。」
「………………寝てる間の出来事でホント良かったよ」
「良くないだろ。どうするんだ」
「それを考えてるんだろーが。あ~ なんで斉藤なんだかな~。なるならお前が良かったよ」
「…だから そんなこと言ってても仕方ない」

懲りずに愚痴る斉藤と ため息を零して頬杖をつく美柴。
そんな二人を ポカンと見ている中条に気がついて、美柴が眉を寄せる。

「…何だ斉藤」
「…え!…いや~、なんか変な光景だな~と思って」
「それはこっちの台詞だ」
「うッ…いや…そうなんですけど…。だってさ、俺と鴇さんが仲良くしゃべってる感じなんですよ こうやって見てると。」

えへへ と緩い笑顔をする中条に、美柴は違和感に笑いそうになり、斉藤は「俺がしない顔をするな」と軽く小突く。

「仲良くって…斉藤てめぇも考えろよ」
「考えてますよ!考えてますけど、なんかちょっと嬉しいかも。みんな友達!って感じじゃないですか!?」
「…中身がお前じゃないからな」
「ヒドッ!!!」

結局 解決策のないまま 時間切れとなり、三人は帰路に着いた。
中条は斉藤の家へと、そして斉藤は中条の家へ帰っていくのだ。
軽く手を上げて「じゃあな」の一言で去る斉藤と 何度も振り返って約束を取り付ける中条。
外見はいつもと同じ分かれ道なのに、中身が違うせいで 酷い違和感だった。

「…………………。」
疲れた。

ボスンとベッドに倒れこんだ美柴は不可解な状況を思い起こし ため息を吐く。
自分に全く関係のない人間だったなら、きっと無関心だっただろう。
しかし困ったことにあの二人は ビズを続けてゆく以上 運命共同体なのだ。

……このままじゃ困る…。
…何とかしてやらないといけない。
もし 二人とも明日も元に戻っていなかったら、今度はどこか病院にでも連れて行ったほうがいいのだろうか…。
内科…?精神科…?そもそも『病気』なのか…??

「…………………。」
めんどくさい、とは思っていても 入れ替わってしまった二人の為に何か手立てはないものかと考えを巡らせた。
そうして、気がつけば 眠ってしまっていた。


翌朝、美柴鴇はむくりと起き上がり その状況に目を見張る。

そこは見慣れた、中条の部屋だった。
恐る恐る周囲を見渡す。中条の姿は無い。
そもそも これは自分の視線の高さではない。
ゆっくりと自分の体を見下ろす。

「…………………。」
気絶するように、ひゅー、ポスン、とベッドに再び倒れたのは……倒れた体は…中条伸人。

鳴り響いた携帯の向こうから聞こえたのは…

『中条さん!俺です斉藤ですッ 俺元に戻りました!!中条さんは!?』


(………嘘だろ…)


■で、結局一番可哀想な美柴さん。笑
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ものすごく続きが
気になりますっ!!
鴇さんの体になっちゃった中条さんww
鴇さんの体にナニを
するんでしょうかね(^ω^)←笑
ありこ|2008/10/25(Sat)|Edit
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