愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
■本館【我輩はネコである】外伝。の後編。
―…今、ある店の軒下で 少し大きな段ボールを抱えた少年がいる…―。
これはそれより少し前の話。
「あそーだ!中条さん!トキさん!ネコ飼いませんか?」
斉藤一雄は食べ終えたラーメンに満足すると、突然思い出したように声を上げた。
「は?何だいきなり」
「いや、ちょっと今ウチで子猫保護してんスよ。里親探してるんですけど まだ見つからなくて」
どうっスか?可愛いですよ?、と斉藤は目の前の二人に望みをかけるように見る。
「…………マンションじゃあ ペット飼えない。」
「だな。それになぁ斉藤、俺達が猫を飼えるような人間に見えるか?」
「見えません。」
「…てめぇ即答か。それはそれでムカつくな」
「いやでも案外飼えちゃうんじゃないですか?猫って犬と違って静かだし」
「つったってお前、餌とかくれてやんなきゃなんねぇーだろ。めんどくせぇよ」
「えーそんなー!でもウチのフランケン、外で何か食ってきたりしてるみたいですよ?」
「………ふらんけん?」
「あ、ウチの猫ッス。これがまたデカくて図々しい奴なんスよぉ。まぁそこが可愛いんですけどね!ブサカワ!みたいな感じで」
斉藤はそそくさと携帯を開くと、愛猫の写メを二人に見せる。
液晶画面の中、その猫は ふてぶてしい腹を全開にし 誰かの腕に抱えられている。
不服そうにカメラを睨みつけている顔は傷だらけで とても家ネコとは思えない貫禄ある風貌。
「……お前、これペットか?どう見ても野生の血が煮えたぎってるじゃねぇーか」
「……性格悪そう…」
「え、ヒドッ!これでも良い奴なんですよッ。その子猫も フランケンが怪我してるのを連れて来たんですから!」
そうだ と今度は子猫の写メを検索する。
「ほら!この猫ですよ。怪我してたんで ちょっと手当てしたんスけどね」
「―…!?」
段ボールの中で、毛布に包まって眠っている黒い猫。
長い尻尾を身体に巻きつけるその姿は、まるで自分を懸命に守っているようだった。
「へぇ~ こっちはまた逆に細っこいなぁ」
「そうなんスよ~ まだ懐いてくれなくて……って、トキさん?」
斉藤は 見せている携帯に手を伸ばしてきた美柴に首を傾げた。
しかし美柴は応えず、受け取った携帯を神妙に見ている。
「?トキさん?」
「………怪我って、どんな…?」
「へ?あぁ、足です。病院行ったら、猫同士で喧嘩したか 犬に噛まれたんじゃないかって。最初は歩くのも痛そうだったんスけど、今はだいぶ良くなりましたよ」
ニコリと笑う斉藤に 美柴は曖昧に頷く。
その些細な表情の変化を見取った斉藤は、更に深く笑んで 画面を指差した。
「知ってる猫ちゃんですか」
「……………。」
美柴はやはり応えずに 携帯を斉藤に返す。
しかし その無言は肯定であると、チームメイトは知っている。
斉藤は携帯を握って 大きく胸を撫で下ろした。
「~良かったぁぁ」
「意外なところで飼い主発見だな」
「………飼ってたわけじゃない」
「でも!この猫のコト、知ってるんですよね!?」
「………………。」
嬉々とした目で尋ねてくる斉藤に なぜか嘘がつけない。
そんな猫知らないとは、どうしても言えなかった。
「……バイト先で、たまに…」
「それで充分ッスよ!」
「とりあえず 引き取るだけ引き取って、その足が良くなったら 飼うか、その猫が元居た所に戻すか すりゃいいんじゃねーか。元はノラだっつーなら大丈夫だろ」
「………でもマンション…」
「俺んちの隣じゃ パグ犬飼ってたぞ」
「てゆーか 俺だと警戒してご飯全然食べてくれないし…」
「……………猫なんて、飼った事ない…」
「んなもん、エサと水やってりゃ育つだろ。人間じゃねぇんだし」
「この子 凄く大人しいし トイレとかも粗相しないんですよ!あ、あと毛並みもすっごく綺麗です!!どうですかトキさん!」
「今なら キャットフード一年分をプレゼント。斉藤のおごりで」
「えぇぇえ!?あ、いや、…~~いいですよ!もうこうなったら この子の幸せの為に一肌脱ぎます…!!」
「おぉ~ 男らしいね 斉藤くん。さぁ 対して美柴も男を見せられるか」
「トキさんッ お願いします…!!!」
「………~」
黒猫が写った画面を見せて、懸命に願う斉藤。
面白半分に成り行きを押し進める中条。
そんな二人の言い分と視線に 上手い口実が作れなくなっていく美柴は、困ったような顔で 画面の中の猫を見ていた。
―…そして今、満楼軒の軒下にいるのは段ボールを抱えた斉藤…―
(閉じ込められた…。どこに連れてかれるのかな。…ホケンジョ?それともまた、寒くて暗い橋の下?)
僕は怖くて怖くて、敷かれているタオルにしがみ付いて震えていた。
最初は逃げ出そうと 必死に頭でグイグイと天井を押し上げていたけれど、今はもうそんな気力も尽きてしまった。
たまにグラグラと不安定に揺れる床が気持ち悪い。
(……お兄さん…)
僕はずっと、あのお店のお兄さんの事を想い出していた。
本当は あの時も犬に邪魔されなかったら、お兄さんの所に行こうと思ってたんだ…。
良い子にして待ってたんだよ ってお兄さんにそう鳴いて、ご飯を貰おうって…会いに行こうって……そう思ってたんだ。
「……ナォ…」
心細くて 小さく丸くなって 一声鳴いてみた。
けれど どこにもお兄さんはいないし、これから先もきっとどこにも 僕に優しくしてくれる人はいないんだ…。
―そう、黒い猫は あんなやり取りがあったことなど知る由もない。
「あ!トキさん!」
「……そんな大きいのに入れてきたのか…」
「いや~ちょうど良いのがなくって。あれ?そういえば猫 静かになっちゃったな、寝ちゃったのかな。おーい 子猫ちゃーん?新しい飼い主さんですよー?」
次にその段ボールが開く時、黒い猫は目の前に その想い人を見つけるだろう。
「飼うって決めたわけじゃない。」
「またまたぁ~。トキさんが優しいの、俺 知ってますよぉーだ」
「……その笑い方やめろ」
「えへへ~」
そしてその瞬間、黒い猫の未来はきっと幸せで溢れるのだ。
―――…………
僕はネコである。名前はまだ無い。
だけど今、僕には帰る場所がある。
「…お前さっき一口食べただろ。」
「ナ~ォ!」
(僕だって欲しい!鮭、欲しい!)
ぎこちない愛で溢れてる、膝の上。
我儘に甘える僕の頭を撫でるのは さらさらと心地よいお兄さんの手。
「…………これで最後だからな…」
そこはいつでも鮭フレークのある、とても暖かい 僕のとっておきの場所だ。
■あの夜 もっと見ていたかった 天国がそこに広がった(清春 あの詩を歌って)
あぁ…満足です。(ほっこり)
とりあえず表現したかった事を全部入れてしまいました…!!ので、展開がくどくなってしまってるかもしれない…笑"
収納する時はもっと上手くまとめられたら…と思います。でも満足です。笑
―…今、ある店の軒下で 少し大きな段ボールを抱えた少年がいる…―。
これはそれより少し前の話。
「あそーだ!中条さん!トキさん!ネコ飼いませんか?」
斉藤一雄は食べ終えたラーメンに満足すると、突然思い出したように声を上げた。
「は?何だいきなり」
「いや、ちょっと今ウチで子猫保護してんスよ。里親探してるんですけど まだ見つからなくて」
どうっスか?可愛いですよ?、と斉藤は目の前の二人に望みをかけるように見る。
「…………マンションじゃあ ペット飼えない。」
「だな。それになぁ斉藤、俺達が猫を飼えるような人間に見えるか?」
「見えません。」
「…てめぇ即答か。それはそれでムカつくな」
「いやでも案外飼えちゃうんじゃないですか?猫って犬と違って静かだし」
「つったってお前、餌とかくれてやんなきゃなんねぇーだろ。めんどくせぇよ」
「えーそんなー!でもウチのフランケン、外で何か食ってきたりしてるみたいですよ?」
「………ふらんけん?」
「あ、ウチの猫ッス。これがまたデカくて図々しい奴なんスよぉ。まぁそこが可愛いんですけどね!ブサカワ!みたいな感じで」
斉藤はそそくさと携帯を開くと、愛猫の写メを二人に見せる。
液晶画面の中、その猫は ふてぶてしい腹を全開にし 誰かの腕に抱えられている。
不服そうにカメラを睨みつけている顔は傷だらけで とても家ネコとは思えない貫禄ある風貌。
「……お前、これペットか?どう見ても野生の血が煮えたぎってるじゃねぇーか」
「……性格悪そう…」
「え、ヒドッ!これでも良い奴なんですよッ。その子猫も フランケンが怪我してるのを連れて来たんですから!」
そうだ と今度は子猫の写メを検索する。
「ほら!この猫ですよ。怪我してたんで ちょっと手当てしたんスけどね」
「―…!?」
段ボールの中で、毛布に包まって眠っている黒い猫。
長い尻尾を身体に巻きつけるその姿は、まるで自分を懸命に守っているようだった。
「へぇ~ こっちはまた逆に細っこいなぁ」
「そうなんスよ~ まだ懐いてくれなくて……って、トキさん?」
斉藤は 見せている携帯に手を伸ばしてきた美柴に首を傾げた。
しかし美柴は応えず、受け取った携帯を神妙に見ている。
「?トキさん?」
「………怪我って、どんな…?」
「へ?あぁ、足です。病院行ったら、猫同士で喧嘩したか 犬に噛まれたんじゃないかって。最初は歩くのも痛そうだったんスけど、今はだいぶ良くなりましたよ」
ニコリと笑う斉藤に 美柴は曖昧に頷く。
その些細な表情の変化を見取った斉藤は、更に深く笑んで 画面を指差した。
「知ってる猫ちゃんですか」
「……………。」
美柴はやはり応えずに 携帯を斉藤に返す。
しかし その無言は肯定であると、チームメイトは知っている。
斉藤は携帯を握って 大きく胸を撫で下ろした。
「~良かったぁぁ」
「意外なところで飼い主発見だな」
「………飼ってたわけじゃない」
「でも!この猫のコト、知ってるんですよね!?」
「………………。」
嬉々とした目で尋ねてくる斉藤に なぜか嘘がつけない。
そんな猫知らないとは、どうしても言えなかった。
「……バイト先で、たまに…」
「それで充分ッスよ!」
「とりあえず 引き取るだけ引き取って、その足が良くなったら 飼うか、その猫が元居た所に戻すか すりゃいいんじゃねーか。元はノラだっつーなら大丈夫だろ」
「………でもマンション…」
「俺んちの隣じゃ パグ犬飼ってたぞ」
「てゆーか 俺だと警戒してご飯全然食べてくれないし…」
「……………猫なんて、飼った事ない…」
「んなもん、エサと水やってりゃ育つだろ。人間じゃねぇんだし」
「この子 凄く大人しいし トイレとかも粗相しないんですよ!あ、あと毛並みもすっごく綺麗です!!どうですかトキさん!」
「今なら キャットフード一年分をプレゼント。斉藤のおごりで」
「えぇぇえ!?あ、いや、…~~いいですよ!もうこうなったら この子の幸せの為に一肌脱ぎます…!!」
「おぉ~ 男らしいね 斉藤くん。さぁ 対して美柴も男を見せられるか」
「トキさんッ お願いします…!!!」
「………~」
黒猫が写った画面を見せて、懸命に願う斉藤。
面白半分に成り行きを押し進める中条。
そんな二人の言い分と視線に 上手い口実が作れなくなっていく美柴は、困ったような顔で 画面の中の猫を見ていた。
―…そして今、満楼軒の軒下にいるのは段ボールを抱えた斉藤…―
(閉じ込められた…。どこに連れてかれるのかな。…ホケンジョ?それともまた、寒くて暗い橋の下?)
僕は怖くて怖くて、敷かれているタオルにしがみ付いて震えていた。
最初は逃げ出そうと 必死に頭でグイグイと天井を押し上げていたけれど、今はもうそんな気力も尽きてしまった。
たまにグラグラと不安定に揺れる床が気持ち悪い。
(……お兄さん…)
僕はずっと、あのお店のお兄さんの事を想い出していた。
本当は あの時も犬に邪魔されなかったら、お兄さんの所に行こうと思ってたんだ…。
良い子にして待ってたんだよ ってお兄さんにそう鳴いて、ご飯を貰おうって…会いに行こうって……そう思ってたんだ。
「……ナォ…」
心細くて 小さく丸くなって 一声鳴いてみた。
けれど どこにもお兄さんはいないし、これから先もきっとどこにも 僕に優しくしてくれる人はいないんだ…。
―そう、黒い猫は あんなやり取りがあったことなど知る由もない。
「あ!トキさん!」
「……そんな大きいのに入れてきたのか…」
「いや~ちょうど良いのがなくって。あれ?そういえば猫 静かになっちゃったな、寝ちゃったのかな。おーい 子猫ちゃーん?新しい飼い主さんですよー?」
次にその段ボールが開く時、黒い猫は目の前に その想い人を見つけるだろう。
「飼うって決めたわけじゃない。」
「またまたぁ~。トキさんが優しいの、俺 知ってますよぉーだ」
「……その笑い方やめろ」
「えへへ~」
そしてその瞬間、黒い猫の未来はきっと幸せで溢れるのだ。
―――…………
僕はネコである。名前はまだ無い。
だけど今、僕には帰る場所がある。
「…お前さっき一口食べただろ。」
「ナ~ォ!」
(僕だって欲しい!鮭、欲しい!)
ぎこちない愛で溢れてる、膝の上。
我儘に甘える僕の頭を撫でるのは さらさらと心地よいお兄さんの手。
「…………これで最後だからな…」
そこはいつでも鮭フレークのある、とても暖かい 僕のとっておきの場所だ。
■あの夜 もっと見ていたかった 天国がそこに広がった(清春 あの詩を歌って)
あぁ…満足です。(ほっこり)
とりあえず表現したかった事を全部入れてしまいました…!!ので、展開がくどくなってしまってるかもしれない…笑"
収納する時はもっと上手くまとめられたら…と思います。でも満足です。笑
PR
■本館 【我輩はネコである】外伝。
ある夜。
一人の青年が、勤める店の勝手口を静かに開ける。
夜風が彼の紅い髪をなびかせて、まだ肌寒いことを知らせていた。
いつもならこの時間そこにいるはずの、腹を空かせた細い猫。
漆黒の毛並みを持つあの猫が現れなくなって、今日で二週間になる。
飼っている猫ではない。
ただ いつだか気まぐれに自分の夜食を分けてやったら 三日に一度顔を覗かせるようになっただけの、ただの、ノラ猫だ。
「……………。」
まるで(良い子にしてたよ)と言わんばかりに行儀よく座り 尻尾を揺らす姿は、今日も無い。
青年は 何かぽっかりと穴があいたような、ざわざわと落ち着かないような、そんな感情で 一つ小さなため息を零す。
小さく千切ったパンとハムの欠片をそこに残すと、暗い路地の隅に目を凝らしつつ そっと扉を閉めた。
【我輩はネコである】
僕はネコである。名前は無い。
縄張りは 言わずと知れた都会の片隅。光と影が行き交う街だ。
そんな街の外れで、僕は今まさにノラ猫人生最大のピンチを迎えている。
「ォン!ォン!」
「フ―…!!」
そう、僕は大きな大きなノラ犬に 追い詰められているのだ。
黒い猫はまだ小さな身体を精一杯に膨らませ、目の前に立ちはだかる犬に威嚇を続ける。
いつもはツヤツヤの 毛づくろいを欠かさない毛並みが総毛立ち、牙を剥き出して 近づくなと叫んでいる。
一瞬のスキを見て、猫は犬の股下を潜り 逃げ出そうとした。
「!!」
「!に゛ゃん!!」
猫の突然の疾走に、犬は本能のまま その体に思い切り噛みついてしまった。
響き渡ったのは 黒い猫の悲鳴。その鳴き声に動揺し 犬は慌てて牙を離す。
ぼとりと口から落とされた猫はまだ走り出そうとする。しかし足が痛くて動けない。
もうダメだと 猫が観念したその時、目の前に何かがが走りこんできた。
「ふしゃぁ―!!!」
それは犬にも負けないぐらい大きな大きなぶち猫。
僕とは正反対の ぼさぼさの毛並みを、何倍にも膨れ上がらせて犬を威嚇する。
突然の乱入者にきょとんとした犬が一歩近づいてくると、すかさず強烈な猫パンチ。しかも一回じゃあない。まるでボクシングのように ベシベシベシッ!!と両手でその鼻っ柱を連打攻撃したのだ。
そうして尖る爪で殴られた犬は 弱弱しい悲鳴を上げて、一目散に逃げていってしまったのだった。
「……………。」
僕は 茫然とそのぼさぼさ猫の背中を見た。
尻尾は凄く短くて しかも毛が爆発しているから、まるで兎のそれみたい。
振り返ったぶち猫は 倒れている僕を見て、ふんッと一つ鼻を鳴らした。
(あんな犬っころに情けない声を上げやがって。お前はそれでもノラ猫か)
その顔には、大きな爪痕のような傷が走っていた。
耳だって片方が少し千切れて欠けてる。漢の勲章でいっぱいの猫だった。
(助けてくれてありがとう)
そう告げて 起き上がろうとするけれど、足の痛みに負けて 上手く歩くことが出来なかった。
(…ついて来い。体を休める場所に連れてってやる)
ぶち猫は 兎の尻尾を揺らし、ずんずん歩き始める。
僕は片足を引っ張りながら のろのろと、それでもぶち猫を見失わないように 歩き始めた。
「にゃおぉお―!!」
辿り着いたのは 一件の家。…の庭先。
どっさりと重そうな図体で縁側に飛び乗ると、ぶち猫は遠慮のない大きな鳴き声で、締め切られた窓に向かって体をぶつける。
対して 人間の家に近づいた事のない僕は、ハラハラと油断ならない気持ちで 縁側の下で体を縮こまらせていた。
「フランケン―!お前ドコ行ってたんだよ 心配したんだぞ―!!」
ガララ と開いた窓から、少年のような まだ若い元気な声が聞こえてきた。
「にゃお」
「にゃお、じゃないだろ!あッ お前またケガ増えてるじゃんかぁ~ 今度はどこの犬を苛めてきたんだよ全く~」
「にゃお」
「?何だよフランケン。下に何かあんの??」
ぐらり。
「みゃ…!?」
目の前に突如現れたのは、人の顔。
縁側の下、つまり僕 を覗き込んだのは 金色の短髪に 眼鏡を掛けた少年だった。
「あ!猫!ケガしてる!」
彼は、咄嗟に僕を掴んだ。
驚いて身体が動かなかった僕は ガシリと掴まれた感触に我に返り、フ―!と威嚇する。
「痛ッ ちょ、うわごめんごめん!噛まないで 何にもしないから…!!」
「フ――!!」
がじがじ と僕を捕まえる手に抵抗していると、あのぶち猫が少年の膝に乗っていた。
助けてと助けを求め 腕を伸ばすと、ぶち猫はなんと呑気に欠伸をしてみせる。
「おいフランケン!こんなおてんばな彼女、俺許さないからな!俺だって彼女を家に連れて来たことないんだぞ…!!」
「にゃお」
「な…!!お前今「お前は彼女自体いねぇーだろ」て言っただろ!俺には分かるんだからなフランケン!」
「一雄~!いつまで窓開けとくの、フランケン入れたなら 虫入るから早く閉めなさ―い!!」
「う…ッ。はいはぁ~い。ホラ、フランケン 飯にするぞ」
「にゃお―」
「あ。黒いキミはちょっと待っててね。今 手当てしてあげるからね」
「みゃ…!?」
「母さ~ん!フランケンが彼女連れて来た―。マキロンどこやったけ~??」
「~ナオ!ナオ!」
(うわわ!離せー 僕は外に帰るんだー そして僕は彼女じゃない!オス猫だぁー!!)
少年に握られたまま連れられる僕の懸命の抵抗を、ぶち猫フランケンは 何処か面白そうに ひげを揺らして見上げていた。
■歌舞伎町の猫が 何故狛江で保護されるのかは 聞かないでください。きっとアグレッシブルに追いかけっこしたんです。笑
因みに フランケンは 廃盤バックギャモンに載ってる斉藤の設定から頂きました。
斉藤が大事にしてる愛猫だそうですよ。ネーミング素敵すぎます!笑
家族みんなでフランケンフランケン言いまくってると面白いなと思い、わざといちいち名前呼んでもらってます。笑
外見は捏造しましたが、漢の勲章だらけで その姿がツギハギっぽいから『フランケン』なのかなぁーとか妄想しました。気に入ってます。笑
後編へ続きます―。
ある夜。
一人の青年が、勤める店の勝手口を静かに開ける。
夜風が彼の紅い髪をなびかせて、まだ肌寒いことを知らせていた。
いつもならこの時間そこにいるはずの、腹を空かせた細い猫。
漆黒の毛並みを持つあの猫が現れなくなって、今日で二週間になる。
飼っている猫ではない。
ただ いつだか気まぐれに自分の夜食を分けてやったら 三日に一度顔を覗かせるようになっただけの、ただの、ノラ猫だ。
「……………。」
まるで(良い子にしてたよ)と言わんばかりに行儀よく座り 尻尾を揺らす姿は、今日も無い。
青年は 何かぽっかりと穴があいたような、ざわざわと落ち着かないような、そんな感情で 一つ小さなため息を零す。
小さく千切ったパンとハムの欠片をそこに残すと、暗い路地の隅に目を凝らしつつ そっと扉を閉めた。
【我輩はネコである】
僕はネコである。名前は無い。
縄張りは 言わずと知れた都会の片隅。光と影が行き交う街だ。
そんな街の外れで、僕は今まさにノラ猫人生最大のピンチを迎えている。
「ォン!ォン!」
「フ―…!!」
そう、僕は大きな大きなノラ犬に 追い詰められているのだ。
黒い猫はまだ小さな身体を精一杯に膨らませ、目の前に立ちはだかる犬に威嚇を続ける。
いつもはツヤツヤの 毛づくろいを欠かさない毛並みが総毛立ち、牙を剥き出して 近づくなと叫んでいる。
一瞬のスキを見て、猫は犬の股下を潜り 逃げ出そうとした。
「!!」
「!に゛ゃん!!」
猫の突然の疾走に、犬は本能のまま その体に思い切り噛みついてしまった。
響き渡ったのは 黒い猫の悲鳴。その鳴き声に動揺し 犬は慌てて牙を離す。
ぼとりと口から落とされた猫はまだ走り出そうとする。しかし足が痛くて動けない。
もうダメだと 猫が観念したその時、目の前に何かがが走りこんできた。
「ふしゃぁ―!!!」
それは犬にも負けないぐらい大きな大きなぶち猫。
僕とは正反対の ぼさぼさの毛並みを、何倍にも膨れ上がらせて犬を威嚇する。
突然の乱入者にきょとんとした犬が一歩近づいてくると、すかさず強烈な猫パンチ。しかも一回じゃあない。まるでボクシングのように ベシベシベシッ!!と両手でその鼻っ柱を連打攻撃したのだ。
そうして尖る爪で殴られた犬は 弱弱しい悲鳴を上げて、一目散に逃げていってしまったのだった。
「……………。」
僕は 茫然とそのぼさぼさ猫の背中を見た。
尻尾は凄く短くて しかも毛が爆発しているから、まるで兎のそれみたい。
振り返ったぶち猫は 倒れている僕を見て、ふんッと一つ鼻を鳴らした。
(あんな犬っころに情けない声を上げやがって。お前はそれでもノラ猫か)
その顔には、大きな爪痕のような傷が走っていた。
耳だって片方が少し千切れて欠けてる。漢の勲章でいっぱいの猫だった。
(助けてくれてありがとう)
そう告げて 起き上がろうとするけれど、足の痛みに負けて 上手く歩くことが出来なかった。
(…ついて来い。体を休める場所に連れてってやる)
ぶち猫は 兎の尻尾を揺らし、ずんずん歩き始める。
僕は片足を引っ張りながら のろのろと、それでもぶち猫を見失わないように 歩き始めた。
「にゃおぉお―!!」
辿り着いたのは 一件の家。…の庭先。
どっさりと重そうな図体で縁側に飛び乗ると、ぶち猫は遠慮のない大きな鳴き声で、締め切られた窓に向かって体をぶつける。
対して 人間の家に近づいた事のない僕は、ハラハラと油断ならない気持ちで 縁側の下で体を縮こまらせていた。
「フランケン―!お前ドコ行ってたんだよ 心配したんだぞ―!!」
ガララ と開いた窓から、少年のような まだ若い元気な声が聞こえてきた。
「にゃお」
「にゃお、じゃないだろ!あッ お前またケガ増えてるじゃんかぁ~ 今度はどこの犬を苛めてきたんだよ全く~」
「にゃお」
「?何だよフランケン。下に何かあんの??」
ぐらり。
「みゃ…!?」
目の前に突如現れたのは、人の顔。
縁側の下、つまり僕 を覗き込んだのは 金色の短髪に 眼鏡を掛けた少年だった。
「あ!猫!ケガしてる!」
彼は、咄嗟に僕を掴んだ。
驚いて身体が動かなかった僕は ガシリと掴まれた感触に我に返り、フ―!と威嚇する。
「痛ッ ちょ、うわごめんごめん!噛まないで 何にもしないから…!!」
「フ――!!」
がじがじ と僕を捕まえる手に抵抗していると、あのぶち猫が少年の膝に乗っていた。
助けてと助けを求め 腕を伸ばすと、ぶち猫はなんと呑気に欠伸をしてみせる。
「おいフランケン!こんなおてんばな彼女、俺許さないからな!俺だって彼女を家に連れて来たことないんだぞ…!!」
「にゃお」
「な…!!お前今「お前は彼女自体いねぇーだろ」て言っただろ!俺には分かるんだからなフランケン!」
「一雄~!いつまで窓開けとくの、フランケン入れたなら 虫入るから早く閉めなさ―い!!」
「う…ッ。はいはぁ~い。ホラ、フランケン 飯にするぞ」
「にゃお―」
「あ。黒いキミはちょっと待っててね。今 手当てしてあげるからね」
「みゃ…!?」
「母さ~ん!フランケンが彼女連れて来た―。マキロンどこやったけ~??」
「~ナオ!ナオ!」
(うわわ!離せー 僕は外に帰るんだー そして僕は彼女じゃない!オス猫だぁー!!)
少年に握られたまま連れられる僕の懸命の抵抗を、ぶち猫フランケンは 何処か面白そうに ひげを揺らして見上げていた。
■歌舞伎町の猫が 何故狛江で保護されるのかは 聞かないでください。きっとアグレッシブルに追いかけっこしたんです。笑
因みに フランケンは 廃盤バックギャモンに載ってる斉藤の設定から頂きました。
斉藤が大事にしてる愛猫だそうですよ。ネーミング素敵すぎます!笑
家族みんなでフランケンフランケン言いまくってると面白いなと思い、わざといちいち名前呼んでもらってます。笑
外見は捏造しましたが、漢の勲章だらけで その姿がツギハギっぽいから『フランケン』なのかなぁーとか妄想しました。気に入ってます。笑
後編へ続きます―。
廃盤のバックギャモンを手に入れたのです。
ステンシルでも連載してないぐらい ちょぉぉお!!初期のBUS設定が載ってるやつですね。まだ(未発表作品)と表記されております。
179センチィ!!??
いや、初期は結構背高め設定だったてのは知ってましたが……こ、ここまでとは…!!
あと1センチで180じゃん!!アンタ厚底履いたら180超えじゃん!!笑
179センチの美柴鴇……いやこの場合 初期は『美柴トキ』(カタカタ表記)……萌えませんね!!笑
やっぱ美柴さんは小さいから萌えるんですよ、169だから萌えるんです。
そして両脇のお二方が180だから萌えるんです。
むしろ今は169設定も怪しい所だと思うんですけどね。165とかでもバッチコイなんですけどね。
超初期設定は面白いです。
性格,外見自体は(身長以外)変わりないですね。
男の人の精悍な顔つきというよりは やっぱり『美人ちゃん』設定。
ボ――――っとしてる子(―が長いのがポイント)
普段は大人しいけど 怒りがMAXになると暴走する子。(これは良いネタになると思います。笑)
鮭が好きで、ボソリと呟き気味でそれを主張する子(どんだけ好きなん!?)
あと物凄く面白いのが、金の目的があっさり書かれているところです。笑
多分これ、今は違う…と思うんですけど(弟全く関係ない理由だし)、でも本当にこんな理由だったらどうしようかと心配になります。笑"
…どうやら、初期トキは道場継ぐのが嫌らしいですよ。実家とかから逃げたいみたいな理由です。
貴方、盗んだバイクで走り出す少年ですか。笑
てか、今のブラコン設定はどこから来たの!?笑
どうやら初期トキにブラコンという要素を加えると 今の情緒不安定寄りの美柴鴇になるようです。
なるほど。恐るべきシギ様。
初期トキの方が 反抗期とかある感じですねぇ。
個人的に 美柴さんは 反抗期があっても表に出せないまま大きくなっちゃった(シギがガッツリ反抗してたので自分は抑えてしまった)可哀想な人だといいなぁと思ってるので、そうゆう意味では 今の美柴さんで良かったなぁと思います。笑
思春期にちゃんとした自己主張や反抗期が無かった人って、大人になった時 自分の怒りや悲しみをあまり上手にコントロールできないタイプになるんじゃないかなぁと思うのです。
美柴さんの場合、それが自虐的な方向に向かっちゃうんじゃないかなぁと。
急にキレて 相手を加減無く叩きのめしちゃって、その後で自己嫌悪MAXに陥るとか。
顔には出さないけど 精神的には意外に浮き沈み激しいといいです。
……いや基本的に沈むことはあっても あんま元気に浮かんではこない人ですけど笑
因みに、斉藤と中条さんは根本的に変化無しです。(短ッ!!)
■どっぷり砂糖多めの中条さんと美柴さん。性描写注意。
向き合った身体と身体。
胡坐をかく中条に跨った美柴が 頼りなく揺れていた。
「…ッ!んッ…ッはぁ……」
焦れていた身体は ビクリと背筋を反らしラストを迎える。
自分より少しあとに 中で弾ける体液に違和感を覚えながらも、緊張が解けるとくったりと脱力してしまう。
熱い額を中条の肩に乗せて、上がった息が落ち着くのを待っていた。
身体と身体を重ね合わせて、互いの呼吸を肌で感じ合わせている。
不思議と、行為の最中より この瞬間のほうが何倍も"繋がっている"と感じ 満たされる。
呼吸が静かになれば どちらからともなく額を弱くぶつけて、ほんの少しだけ 名残惜しむように深いキスを交わしていた。
「―…ッ」
「?」
長い長い情愛のキスを終えて もっと深く抱きとめようと肩を抱く。
腕の中の相手も大人しく胸に頬を落ち着けようとし、しかし急に少し目元を歪ませて 俯いた。
「ん?どうした?」
「……目に…何か入った…」
「あ、おいコラ 擦るなバカ」
俯いたまま こしこしと片瞼を擦る美柴の手を、中条が柔く引き止める。
「睫毛でも入ったか?見せてみろ」
どれ、と少し嫌がる頬を包み 瞳を覗いた。
ぱしぱしと痛そうに何度も瞬く瞼の中は 涙で濡れて 溢れそうになっている。
情事のすぐ後、あれだけ愛おしいキスの後。こんな濡れる瞳に変な事を考えないほうがどうかしてる。
そうして思わずほくそ笑む中条に、対して美柴は疑わしい視線を投げつける。
「………全く見てないな。」
「いやいや見てる見てる」
取り繕うような答えを笑って返し、再度 涙目を覗く。
「お。美柴お前もしかしてコンタクト?」
「…あぁ」
「へぇ。目が悪いとは意外だな。眼鏡かけたりすんのか?」
「………………。」
「あーあー分かった、ちゃんと診てやっから擦るなって。」
「………………。」
アンタに診る気がないからだろ、とは言わず ムスッと見返した。
コンタクトの目に異物の違和感は相当堪えるのだ。
悪い悪い と言い流して、中条は瞬く瞼を押さえ 今度は丁寧に診る。
「ん~…ゴミが入ってるようには見えねぇけどなぁ。まだ痛いか?」
「……痛い…ごろごろする…」
「だからお前 擦るなって言ってんだろーが」
ぺシリと手を叩いて 阻止する。
叩かれたほうからは不服気な視線が返ってきた。
仕方ないとため息を吐いて、中条は美柴を覗き込む。
「もうめんどくせぇから取っちまえよ。別に帰りに困るほど見えなくなるわけじゃねぇ―だろ」
「………もう一回自分で鏡見る…」
どうやら中条の視診では信用なら無いらしい。
美柴は中条から身体を離し、鏡に手を伸ばそうとする。
しかしこの体勢では届かないと察して まだ繋がっている下肢も慎重に抜こうとした。
「ッ!」
グイと腰を強く引き寄せられた。
反動で 弱まっていた中への衝撃が甦る。一瞬 息を飲んで声を堪えたが、甘くなる表情までは抑えることは出来なかった。
にやりと満足気な中条を、渾身の思いで睨みつける。
「………あんた…最低だな」
「俺を信じないのが悪い」
「そうゆう問題じゃな、い…ッ」
反論は聞き入れられず、そのまま突き上げられれば言葉は続かない。
抵抗がないと分かると 二回戦は遠慮無く 強い衝撃で進められていく。
「…ッ…目、コンタクト…外すから」
さすがにこのままではかなり目が痛い。
快感で言葉が流されてしまう前に、喘ぎの合間を縫って そう告げた。
「もう擦るなよ。傷ついたらどうすんだ」
取り外したコンタクトは 中条の手により放棄される。
あぁ うまく保管すれば明日も少しは使えるかもしれない、という期待は完全に消え去った…。
「…あんまり外したくない」
鼻先や頬にキスを降らせる中条は 不思議そうに美柴を見下ろしている。
「………顔が、よく見えない…。」
ぼんやりとしたその輪郭に手を伸ばす。頬に触れると 少し笑んでいるのが感じられた。
「良い男はセックスしてる時も良い男だからな」
「……………。」
そんな話をしてるんじゃないのに…茶化された…。
上手く言葉が見つからず 目を閉じた。
感じるのは、首元に強く残されるくちづけと狭い壁を押し開く熱く硬い熱。
でも快楽とは別に、奇妙に胸の奥に生まれる もやもやとした感情。
こんな感情を覚えると、急に何も考えたくない衝動に駆られる。
無茶をして 自暴自棄になってしまいそうになる。
全部投げ出して 乱暴にされるように誘ってしまおうかと 自虐的な考えが頭を過った。でも、
「俺が見てるお前は変わらず綺麗だよ。目ェ瞑ってても、お前の事は分かる」
不意に囁かれた言葉はあまりにキザで、あまりに的確で、思わず笑ってしまった。
でも、その笑みは決してあざ笑うものじゃない。
そう、おそらく中条は 最初から全部お見通しなのだ。
「……見えなくても不安は無いって事か…?」
「まぁそうだな。いやでも見えた方が良いに決まってるけどな、お前のイク顔とかは特に。」
「…………変態。」
身体と身体を重ね合わせて、互いの呼吸を肌で感じ合わせている。
この瞬間、"繋がっている"と感じ どんな感情より 満たされる。
■二人出逢った喜びを歌うように 逢う度、光と影はそっと 混ざり合えるよ (Layra 清春)
美柴さんは急に不安になると そんな不安定な自分を壊したいと思ってしまう時がある人だといい。
そんな自分を曝け出すのは 限られた人にだけだといい。
向き合った身体と身体。
胡坐をかく中条に跨った美柴が 頼りなく揺れていた。
「…ッ!んッ…ッはぁ……」
焦れていた身体は ビクリと背筋を反らしラストを迎える。
自分より少しあとに 中で弾ける体液に違和感を覚えながらも、緊張が解けるとくったりと脱力してしまう。
熱い額を中条の肩に乗せて、上がった息が落ち着くのを待っていた。
身体と身体を重ね合わせて、互いの呼吸を肌で感じ合わせている。
不思議と、行為の最中より この瞬間のほうが何倍も"繋がっている"と感じ 満たされる。
呼吸が静かになれば どちらからともなく額を弱くぶつけて、ほんの少しだけ 名残惜しむように深いキスを交わしていた。
「―…ッ」
「?」
長い長い情愛のキスを終えて もっと深く抱きとめようと肩を抱く。
腕の中の相手も大人しく胸に頬を落ち着けようとし、しかし急に少し目元を歪ませて 俯いた。
「ん?どうした?」
「……目に…何か入った…」
「あ、おいコラ 擦るなバカ」
俯いたまま こしこしと片瞼を擦る美柴の手を、中条が柔く引き止める。
「睫毛でも入ったか?見せてみろ」
どれ、と少し嫌がる頬を包み 瞳を覗いた。
ぱしぱしと痛そうに何度も瞬く瞼の中は 涙で濡れて 溢れそうになっている。
情事のすぐ後、あれだけ愛おしいキスの後。こんな濡れる瞳に変な事を考えないほうがどうかしてる。
そうして思わずほくそ笑む中条に、対して美柴は疑わしい視線を投げつける。
「………全く見てないな。」
「いやいや見てる見てる」
取り繕うような答えを笑って返し、再度 涙目を覗く。
「お。美柴お前もしかしてコンタクト?」
「…あぁ」
「へぇ。目が悪いとは意外だな。眼鏡かけたりすんのか?」
「………………。」
「あーあー分かった、ちゃんと診てやっから擦るなって。」
「………………。」
アンタに診る気がないからだろ、とは言わず ムスッと見返した。
コンタクトの目に異物の違和感は相当堪えるのだ。
悪い悪い と言い流して、中条は瞬く瞼を押さえ 今度は丁寧に診る。
「ん~…ゴミが入ってるようには見えねぇけどなぁ。まだ痛いか?」
「……痛い…ごろごろする…」
「だからお前 擦るなって言ってんだろーが」
ぺシリと手を叩いて 阻止する。
叩かれたほうからは不服気な視線が返ってきた。
仕方ないとため息を吐いて、中条は美柴を覗き込む。
「もうめんどくせぇから取っちまえよ。別に帰りに困るほど見えなくなるわけじゃねぇ―だろ」
「………もう一回自分で鏡見る…」
どうやら中条の視診では信用なら無いらしい。
美柴は中条から身体を離し、鏡に手を伸ばそうとする。
しかしこの体勢では届かないと察して まだ繋がっている下肢も慎重に抜こうとした。
「ッ!」
グイと腰を強く引き寄せられた。
反動で 弱まっていた中への衝撃が甦る。一瞬 息を飲んで声を堪えたが、甘くなる表情までは抑えることは出来なかった。
にやりと満足気な中条を、渾身の思いで睨みつける。
「………あんた…最低だな」
「俺を信じないのが悪い」
「そうゆう問題じゃな、い…ッ」
反論は聞き入れられず、そのまま突き上げられれば言葉は続かない。
抵抗がないと分かると 二回戦は遠慮無く 強い衝撃で進められていく。
「…ッ…目、コンタクト…外すから」
さすがにこのままではかなり目が痛い。
快感で言葉が流されてしまう前に、喘ぎの合間を縫って そう告げた。
「もう擦るなよ。傷ついたらどうすんだ」
取り外したコンタクトは 中条の手により放棄される。
あぁ うまく保管すれば明日も少しは使えるかもしれない、という期待は完全に消え去った…。
「…あんまり外したくない」
鼻先や頬にキスを降らせる中条は 不思議そうに美柴を見下ろしている。
「………顔が、よく見えない…。」
ぼんやりとしたその輪郭に手を伸ばす。頬に触れると 少し笑んでいるのが感じられた。
「良い男はセックスしてる時も良い男だからな」
「……………。」
そんな話をしてるんじゃないのに…茶化された…。
上手く言葉が見つからず 目を閉じた。
感じるのは、首元に強く残されるくちづけと狭い壁を押し開く熱く硬い熱。
でも快楽とは別に、奇妙に胸の奥に生まれる もやもやとした感情。
こんな感情を覚えると、急に何も考えたくない衝動に駆られる。
無茶をして 自暴自棄になってしまいそうになる。
全部投げ出して 乱暴にされるように誘ってしまおうかと 自虐的な考えが頭を過った。でも、
「俺が見てるお前は変わらず綺麗だよ。目ェ瞑ってても、お前の事は分かる」
不意に囁かれた言葉はあまりにキザで、あまりに的確で、思わず笑ってしまった。
でも、その笑みは決してあざ笑うものじゃない。
そう、おそらく中条は 最初から全部お見通しなのだ。
「……見えなくても不安は無いって事か…?」
「まぁそうだな。いやでも見えた方が良いに決まってるけどな、お前のイク顔とかは特に。」
「…………変態。」
身体と身体を重ね合わせて、互いの呼吸を肌で感じ合わせている。
この瞬間、"繋がっている"と感じ どんな感情より 満たされる。
■二人出逢った喜びを歌うように 逢う度、光と影はそっと 混ざり合えるよ (Layra 清春)
美柴さんは急に不安になると そんな不安定な自分を壊したいと思ってしまう時がある人だといい。
そんな自分を曝け出すのは 限られた人にだけだといい。
10皿食べました。中トロとサーモンが美味でした―vV
アボガド&エビとかも好きです。でもサーモンはもっと好きです―vV
以下 人形画注意。
多分こんなにお人形の話してても、実際の大きさはなかなか伝わらないんだろーなぁと思い(やなびんに「意外と大きいんだ」と言われた…ような気がした。あれ、「小さい」だったけ?笑)、気まぐれに身長調査。笑
幼っ子は26センチ、ミニっ子は42センチ、スタンダードは56センチ。
双子の身長差は厚底ブーツのせいです。元は同じ背丈です。笑"
で、今私が騒いでる美柴モデルさんは 56センチを予定(イメージは画像参照)
今いる子達と並んだとしたら この位の身長差があるはずです。
……デ、デかい…!!美柴さんが一番大きいなんて、何だか変な感じです。笑
予定としては シギトキの双子が揃ったら テ虎モデルを…と思ってるのですが、おそらくテ虎モデルは さらに大きい62センチになるのでしょう。
いやでも実際はテ虎も小柄な方なんじゃないかと私は踏んでるわけですが…笑"
あれ。大きい子は二人までって決めてたのに…な。笑"
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女性
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ゆるカジュ
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清春(神)
美柴鴇(BUSGAMER)
Super Dollfie(オーナー歴三年)
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近況報告
2010年も BUSGAMER至上主義で参ります…!!
マイナー万歳!!
当人管理HP…etc
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