愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
■本館【我輩はネコである】外伝。の後編。
―…今、ある店の軒下で 少し大きな段ボールを抱えた少年がいる…―。
これはそれより少し前の話。
「あそーだ!中条さん!トキさん!ネコ飼いませんか?」
斉藤一雄は食べ終えたラーメンに満足すると、突然思い出したように声を上げた。
「は?何だいきなり」
「いや、ちょっと今ウチで子猫保護してんスよ。里親探してるんですけど まだ見つからなくて」
どうっスか?可愛いですよ?、と斉藤は目の前の二人に望みをかけるように見る。
「…………マンションじゃあ ペット飼えない。」
「だな。それになぁ斉藤、俺達が猫を飼えるような人間に見えるか?」
「見えません。」
「…てめぇ即答か。それはそれでムカつくな」
「いやでも案外飼えちゃうんじゃないですか?猫って犬と違って静かだし」
「つったってお前、餌とかくれてやんなきゃなんねぇーだろ。めんどくせぇよ」
「えーそんなー!でもウチのフランケン、外で何か食ってきたりしてるみたいですよ?」
「………ふらんけん?」
「あ、ウチの猫ッス。これがまたデカくて図々しい奴なんスよぉ。まぁそこが可愛いんですけどね!ブサカワ!みたいな感じで」
斉藤はそそくさと携帯を開くと、愛猫の写メを二人に見せる。
液晶画面の中、その猫は ふてぶてしい腹を全開にし 誰かの腕に抱えられている。
不服そうにカメラを睨みつけている顔は傷だらけで とても家ネコとは思えない貫禄ある風貌。
「……お前、これペットか?どう見ても野生の血が煮えたぎってるじゃねぇーか」
「……性格悪そう…」
「え、ヒドッ!これでも良い奴なんですよッ。その子猫も フランケンが怪我してるのを連れて来たんですから!」
そうだ と今度は子猫の写メを検索する。
「ほら!この猫ですよ。怪我してたんで ちょっと手当てしたんスけどね」
「―…!?」
段ボールの中で、毛布に包まって眠っている黒い猫。
長い尻尾を身体に巻きつけるその姿は、まるで自分を懸命に守っているようだった。
「へぇ~ こっちはまた逆に細っこいなぁ」
「そうなんスよ~ まだ懐いてくれなくて……って、トキさん?」
斉藤は 見せている携帯に手を伸ばしてきた美柴に首を傾げた。
しかし美柴は応えず、受け取った携帯を神妙に見ている。
「?トキさん?」
「………怪我って、どんな…?」
「へ?あぁ、足です。病院行ったら、猫同士で喧嘩したか 犬に噛まれたんじゃないかって。最初は歩くのも痛そうだったんスけど、今はだいぶ良くなりましたよ」
ニコリと笑う斉藤に 美柴は曖昧に頷く。
その些細な表情の変化を見取った斉藤は、更に深く笑んで 画面を指差した。
「知ってる猫ちゃんですか」
「……………。」
美柴はやはり応えずに 携帯を斉藤に返す。
しかし その無言は肯定であると、チームメイトは知っている。
斉藤は携帯を握って 大きく胸を撫で下ろした。
「~良かったぁぁ」
「意外なところで飼い主発見だな」
「………飼ってたわけじゃない」
「でも!この猫のコト、知ってるんですよね!?」
「………………。」
嬉々とした目で尋ねてくる斉藤に なぜか嘘がつけない。
そんな猫知らないとは、どうしても言えなかった。
「……バイト先で、たまに…」
「それで充分ッスよ!」
「とりあえず 引き取るだけ引き取って、その足が良くなったら 飼うか、その猫が元居た所に戻すか すりゃいいんじゃねーか。元はノラだっつーなら大丈夫だろ」
「………でもマンション…」
「俺んちの隣じゃ パグ犬飼ってたぞ」
「てゆーか 俺だと警戒してご飯全然食べてくれないし…」
「……………猫なんて、飼った事ない…」
「んなもん、エサと水やってりゃ育つだろ。人間じゃねぇんだし」
「この子 凄く大人しいし トイレとかも粗相しないんですよ!あ、あと毛並みもすっごく綺麗です!!どうですかトキさん!」
「今なら キャットフード一年分をプレゼント。斉藤のおごりで」
「えぇぇえ!?あ、いや、…~~いいですよ!もうこうなったら この子の幸せの為に一肌脱ぎます…!!」
「おぉ~ 男らしいね 斉藤くん。さぁ 対して美柴も男を見せられるか」
「トキさんッ お願いします…!!!」
「………~」
黒猫が写った画面を見せて、懸命に願う斉藤。
面白半分に成り行きを押し進める中条。
そんな二人の言い分と視線に 上手い口実が作れなくなっていく美柴は、困ったような顔で 画面の中の猫を見ていた。
―…そして今、満楼軒の軒下にいるのは段ボールを抱えた斉藤…―
(閉じ込められた…。どこに連れてかれるのかな。…ホケンジョ?それともまた、寒くて暗い橋の下?)
僕は怖くて怖くて、敷かれているタオルにしがみ付いて震えていた。
最初は逃げ出そうと 必死に頭でグイグイと天井を押し上げていたけれど、今はもうそんな気力も尽きてしまった。
たまにグラグラと不安定に揺れる床が気持ち悪い。
(……お兄さん…)
僕はずっと、あのお店のお兄さんの事を想い出していた。
本当は あの時も犬に邪魔されなかったら、お兄さんの所に行こうと思ってたんだ…。
良い子にして待ってたんだよ ってお兄さんにそう鳴いて、ご飯を貰おうって…会いに行こうって……そう思ってたんだ。
「……ナォ…」
心細くて 小さく丸くなって 一声鳴いてみた。
けれど どこにもお兄さんはいないし、これから先もきっとどこにも 僕に優しくしてくれる人はいないんだ…。
―そう、黒い猫は あんなやり取りがあったことなど知る由もない。
「あ!トキさん!」
「……そんな大きいのに入れてきたのか…」
「いや~ちょうど良いのがなくって。あれ?そういえば猫 静かになっちゃったな、寝ちゃったのかな。おーい 子猫ちゃーん?新しい飼い主さんですよー?」
次にその段ボールが開く時、黒い猫は目の前に その想い人を見つけるだろう。
「飼うって決めたわけじゃない。」
「またまたぁ~。トキさんが優しいの、俺 知ってますよぉーだ」
「……その笑い方やめろ」
「えへへ~」
そしてその瞬間、黒い猫の未来はきっと幸せで溢れるのだ。
―――…………
僕はネコである。名前はまだ無い。
だけど今、僕には帰る場所がある。
「…お前さっき一口食べただろ。」
「ナ~ォ!」
(僕だって欲しい!鮭、欲しい!)
ぎこちない愛で溢れてる、膝の上。
我儘に甘える僕の頭を撫でるのは さらさらと心地よいお兄さんの手。
「…………これで最後だからな…」
そこはいつでも鮭フレークのある、とても暖かい 僕のとっておきの場所だ。
■あの夜 もっと見ていたかった 天国がそこに広がった(清春 あの詩を歌って)
あぁ…満足です。(ほっこり)
とりあえず表現したかった事を全部入れてしまいました…!!ので、展開がくどくなってしまってるかもしれない…笑"
収納する時はもっと上手くまとめられたら…と思います。でも満足です。笑
―…今、ある店の軒下で 少し大きな段ボールを抱えた少年がいる…―。
これはそれより少し前の話。
「あそーだ!中条さん!トキさん!ネコ飼いませんか?」
斉藤一雄は食べ終えたラーメンに満足すると、突然思い出したように声を上げた。
「は?何だいきなり」
「いや、ちょっと今ウチで子猫保護してんスよ。里親探してるんですけど まだ見つからなくて」
どうっスか?可愛いですよ?、と斉藤は目の前の二人に望みをかけるように見る。
「…………マンションじゃあ ペット飼えない。」
「だな。それになぁ斉藤、俺達が猫を飼えるような人間に見えるか?」
「見えません。」
「…てめぇ即答か。それはそれでムカつくな」
「いやでも案外飼えちゃうんじゃないですか?猫って犬と違って静かだし」
「つったってお前、餌とかくれてやんなきゃなんねぇーだろ。めんどくせぇよ」
「えーそんなー!でもウチのフランケン、外で何か食ってきたりしてるみたいですよ?」
「………ふらんけん?」
「あ、ウチの猫ッス。これがまたデカくて図々しい奴なんスよぉ。まぁそこが可愛いんですけどね!ブサカワ!みたいな感じで」
斉藤はそそくさと携帯を開くと、愛猫の写メを二人に見せる。
液晶画面の中、その猫は ふてぶてしい腹を全開にし 誰かの腕に抱えられている。
不服そうにカメラを睨みつけている顔は傷だらけで とても家ネコとは思えない貫禄ある風貌。
「……お前、これペットか?どう見ても野生の血が煮えたぎってるじゃねぇーか」
「……性格悪そう…」
「え、ヒドッ!これでも良い奴なんですよッ。その子猫も フランケンが怪我してるのを連れて来たんですから!」
そうだ と今度は子猫の写メを検索する。
「ほら!この猫ですよ。怪我してたんで ちょっと手当てしたんスけどね」
「―…!?」
段ボールの中で、毛布に包まって眠っている黒い猫。
長い尻尾を身体に巻きつけるその姿は、まるで自分を懸命に守っているようだった。
「へぇ~ こっちはまた逆に細っこいなぁ」
「そうなんスよ~ まだ懐いてくれなくて……って、トキさん?」
斉藤は 見せている携帯に手を伸ばしてきた美柴に首を傾げた。
しかし美柴は応えず、受け取った携帯を神妙に見ている。
「?トキさん?」
「………怪我って、どんな…?」
「へ?あぁ、足です。病院行ったら、猫同士で喧嘩したか 犬に噛まれたんじゃないかって。最初は歩くのも痛そうだったんスけど、今はだいぶ良くなりましたよ」
ニコリと笑う斉藤に 美柴は曖昧に頷く。
その些細な表情の変化を見取った斉藤は、更に深く笑んで 画面を指差した。
「知ってる猫ちゃんですか」
「……………。」
美柴はやはり応えずに 携帯を斉藤に返す。
しかし その無言は肯定であると、チームメイトは知っている。
斉藤は携帯を握って 大きく胸を撫で下ろした。
「~良かったぁぁ」
「意外なところで飼い主発見だな」
「………飼ってたわけじゃない」
「でも!この猫のコト、知ってるんですよね!?」
「………………。」
嬉々とした目で尋ねてくる斉藤に なぜか嘘がつけない。
そんな猫知らないとは、どうしても言えなかった。
「……バイト先で、たまに…」
「それで充分ッスよ!」
「とりあえず 引き取るだけ引き取って、その足が良くなったら 飼うか、その猫が元居た所に戻すか すりゃいいんじゃねーか。元はノラだっつーなら大丈夫だろ」
「………でもマンション…」
「俺んちの隣じゃ パグ犬飼ってたぞ」
「てゆーか 俺だと警戒してご飯全然食べてくれないし…」
「……………猫なんて、飼った事ない…」
「んなもん、エサと水やってりゃ育つだろ。人間じゃねぇんだし」
「この子 凄く大人しいし トイレとかも粗相しないんですよ!あ、あと毛並みもすっごく綺麗です!!どうですかトキさん!」
「今なら キャットフード一年分をプレゼント。斉藤のおごりで」
「えぇぇえ!?あ、いや、…~~いいですよ!もうこうなったら この子の幸せの為に一肌脱ぎます…!!」
「おぉ~ 男らしいね 斉藤くん。さぁ 対して美柴も男を見せられるか」
「トキさんッ お願いします…!!!」
「………~」
黒猫が写った画面を見せて、懸命に願う斉藤。
面白半分に成り行きを押し進める中条。
そんな二人の言い分と視線に 上手い口実が作れなくなっていく美柴は、困ったような顔で 画面の中の猫を見ていた。
―…そして今、満楼軒の軒下にいるのは段ボールを抱えた斉藤…―
(閉じ込められた…。どこに連れてかれるのかな。…ホケンジョ?それともまた、寒くて暗い橋の下?)
僕は怖くて怖くて、敷かれているタオルにしがみ付いて震えていた。
最初は逃げ出そうと 必死に頭でグイグイと天井を押し上げていたけれど、今はもうそんな気力も尽きてしまった。
たまにグラグラと不安定に揺れる床が気持ち悪い。
(……お兄さん…)
僕はずっと、あのお店のお兄さんの事を想い出していた。
本当は あの時も犬に邪魔されなかったら、お兄さんの所に行こうと思ってたんだ…。
良い子にして待ってたんだよ ってお兄さんにそう鳴いて、ご飯を貰おうって…会いに行こうって……そう思ってたんだ。
「……ナォ…」
心細くて 小さく丸くなって 一声鳴いてみた。
けれど どこにもお兄さんはいないし、これから先もきっとどこにも 僕に優しくしてくれる人はいないんだ…。
―そう、黒い猫は あんなやり取りがあったことなど知る由もない。
「あ!トキさん!」
「……そんな大きいのに入れてきたのか…」
「いや~ちょうど良いのがなくって。あれ?そういえば猫 静かになっちゃったな、寝ちゃったのかな。おーい 子猫ちゃーん?新しい飼い主さんですよー?」
次にその段ボールが開く時、黒い猫は目の前に その想い人を見つけるだろう。
「飼うって決めたわけじゃない。」
「またまたぁ~。トキさんが優しいの、俺 知ってますよぉーだ」
「……その笑い方やめろ」
「えへへ~」
そしてその瞬間、黒い猫の未来はきっと幸せで溢れるのだ。
―――…………
僕はネコである。名前はまだ無い。
だけど今、僕には帰る場所がある。
「…お前さっき一口食べただろ。」
「ナ~ォ!」
(僕だって欲しい!鮭、欲しい!)
ぎこちない愛で溢れてる、膝の上。
我儘に甘える僕の頭を撫でるのは さらさらと心地よいお兄さんの手。
「…………これで最後だからな…」
そこはいつでも鮭フレークのある、とても暖かい 僕のとっておきの場所だ。
■あの夜 もっと見ていたかった 天国がそこに広がった(清春 あの詩を歌って)
あぁ…満足です。(ほっこり)
とりあえず表現したかった事を全部入れてしまいました…!!ので、展開がくどくなってしまってるかもしれない…笑"
収納する時はもっと上手くまとめられたら…と思います。でも満足です。笑
■ネコ妄想■
黒猫
(ノラ猫*歌舞伎町の猫*まだ一歳のスラリとした雄ネコ*漆黒の艶がある毛並み*綺麗好き*細くて長い尻尾)
フランケン
(斉藤の愛猫*ぶち柄*兎みたいな短尻尾*毛並み爆発*図体と態度が大きい雄ネコ*男の勲章だらけ)
■黒猫ライフスタイル■
◎美柴宅にて起床。
出掛ける準備に追われる美柴さんの足元でスリスリ額を寄せる*相手にしてくれないと 鳴く*それでも相手してくれないと 拗ねて姿をくらます*
◎美柴と一緒に家を出て、縄張り確認開始。
たまにフランケンと冒険*フランケンよりも高い所に登れるのが唯一の自慢*度胸はついてきたけど、犬にはたじたじ
◎美柴が帰る頃になると 戻ってくる。
神出鬼没*マンション付近でお出迎え*
◎ベッドに落ち着いてご就寝。
美柴が横になると傍に寄っていく*眉間を指でさわさわくすぐられるのが好き→そのまま目を閉じて就寝
■美柴さんの元には寝に帰ってくるだけだけど、でも帰る場所があるから 外が昔より怖くなくなった、とか素敵だ。
……………。
……………………。
妄想は膨らませる為にあるんだと思うんだ!(澄んだ瞳)
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