愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
■怪我した美柴さん と 怒ってる中条さん。
AAAの勝利が確定し 斉藤が盛大な一息をつく。
そんな様子に軽く笑って中条が煙草を取り出す。
二人を横目に、美柴は手にした敵のディスクを 何となしに手の中で転がした。
小さな物音に振り返った。
暗闇から音もなく降りかかるナイフ。
綺麗に化粧された女の瞳。
恐ろしいほど冷静な怨みをしたためた瞳孔。
「―……死ね。」
女が発したとは思えない、低く 黒い、殺意の呟き。
「――鴇さん…ッ!!!」
……身体が凍り付いて、うまく動かなかった。
【19歳の謝罪模様】
思ったよりも深かった刺し傷。
骨に響くような痛みと熱を感じる腕に、中条がタオルを押し付ける。
美柴が声を耐えるように俯いても、中条は手当てを中断しない。
斉藤は薬局へ走り出され、中条宅へは二人きり。気まずい。
「……痛い」
「そらそーだろーよ」
「………。」
怒っているような中条の声色に、美柴は押し黙るしかない。
女だから、と そんな油断をしている気は毛頭無かった。
でも、自分が気絶させた女へ施した拘束は 実際甘かったのだ。
おかげで ゲームが終わってからこんな怪我をした。自業自得。
なのに 中条も斉藤も心配して(中条はどちらかと言えば呆れ半分だろうが) こんな応急手当をしている。
「あとは斉藤待ちだな」
消毒を終え、斉藤が買ってくるはずの包帯を待つ。
その間の臨時として 中条は薄いガーゼを巻こうとする。
「…自分でやる」
「利き腕じゃねーだろ」
「これぐらいできる」
「だったら 先に言う事があんだろ」
「………………。」
『女だからって 遠慮したりすんなよ』
ゲーム開始直後には 相手が女三人で構成されたチームだと把握できた。
気が乗らないと言った斉藤に 中条はそう言った。
そしてあまり気にしていなかった自分にも まるで念を押すように、同じ言葉で忠告した。
『女の目は見るとロクな事がない。さっさと片付けろ』
その通りだった。
…………気絶する瞬間は とても切なそうな表情で倒れていったのに、目を覚ました時には あんな冷酷な目を見せるなんて。
囁くような殺意の声は、男が襲い掛かってくる時に叫ぶ怒号よりも 何倍も恐ろしかった。背筋が凍った。
中条の忠告を真摯に受け止めなかった。
その代償は 大きかった。
……非は…自分にある。
「……タオル、汚して悪い」
「俺が言ってるのはそうゆう事じゃねぇー」
「……洗濯して返す」
「いい加減殴るぞ」
「…………。」
「…………。」
じぃっと怒ってる目が見下ろしてくる。
いつもは前髪で見えないくせに、こうゆう時だけはよく分かるのだ。
美柴も負けずと無表情に見上げてはいても、本音を言えば 怒っている中条に沈黙されるのは とても気まずい。
………非は認める…ことにした。
「…………少し、失敗した…」
美柴は中条から顔を反らして、そう言った。
中条は しばらくその言葉にぽかんとし 美柴を見る。
素知らぬ顔をした美柴は やはりこちらを見ない。
それが謝罪の言葉。自分の非を認めた言葉だとやっと理解できて 思わず呆れ笑い、ため息を吐いた。
「…次は気ィつけろよ」
相変わらずそっぽを向いて。だけど 美柴は小さく頷いた。
認めたわりには拗ねているのか、素直に申し訳ないと思っているのか、微妙な表情に見えた。
その反応に肩をすくめ、中条はコーヒーを沸かす。
「ひとつ気がついたんだけどな」
「……何。」
美柴は怪訝そうにキッチンの中条を見る。
振り返った中条は、疲れたように笑った。
「斉藤よかお前の方がよっぽど大変だ」
(大人なんだか、子供なんだか)
■元ネタ 『amato amaro(basso著)』
この話を中条と美柴版にしたかった…!!
女性相手なら素直に謝れるのに、中条さん相手だと素直に謝れない美柴さん。に萌えるのだよ私は!笑←
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