愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
拍手に置こうと思ったネタが、書いてみたら思いのほか長かった…。
いつになったら短いお話が書けるの私…笑"
■以下、AAAのお話。
後半は若干 中鴇(中←鴇)になるように…。
それは、まだAAAがBUSGAMEに参加して半年ほどしか経たない頃だった。
都内廃ビルで行われた、AAAのアウェイ戦。
終盤になっても敵は見つからず、AAAは最上階の奥まった部屋へと辿りついた。
「??鴇さん?どーかしました?」
その時、斉藤が一番に美柴の異変に気がついた。
薄暗い室内でも、隣の美柴の顔色が悪いことは見て取れた。
ゲーム開始時は そんな体調不良の様子はなかったはずだ。
「……いや別に…なんでもない」
「なんか、顔色悪くないっすか?」
「…………匂い、が…」
「匂い?」
「何だ どうした」
コソコソと会話する二人に気づき、周囲を見渡していた中条も傍へと戻ってくる。
斉藤が少し困惑したような視線で 中条に美柴を示す。
見れば美柴は 片手で口と鼻を押さえて、今にもその場に蹲ってしまいそうだった。
「おい、どうした美柴」
「………なんでも、ない…」
「なんでもなくねーだろ。顔真っ青だぞ」
「トキさん?だ、大丈夫っすか?」
平然としている二人が信じられない とでも言うような目で中条と斉藤を見上げ、美柴は 顔を押さえたまま 苦しげに応える。
「……変な匂いが、する…」
「へ?」
「あ?」
意味が分からず 素っ頓狂な返答を返したのもつかの間、美柴の身体は本当にそのまま スッ…と音も無く 傾いた。
「!?」
「トキさん!!?」
崩れ落ちる美柴を あわや地面スレスレのところで中条が支えた。
ゲーム中だという事実は吹っ飛んで、斉藤が大声で美柴の名を呼ぶ。
中条の腕の中から、美柴の返答は無い。
「!!」
その刹那、中条の鼻をついたのは ある匂い。そうか、これは……。
匂いの基を察し、同時に美柴が倒れたことにも納得する。
やられた。舌打ちをする。傍らで懸命に美柴を呼ぶ斉藤の横顔を見た。
おそらく、こいつも時間の問題だ。最善の策を瞬時に頭の中で把握する。
「トキさん!トキさん!!」
「斉藤、お前 美柴抱えて外に出ろ」
「トキさんしっかり……って、へ!?なんで!?」
「いいから行け!」
抱きとめていた美柴を斉藤に押し付けた。
腕の中から離れる美柴には、おそらく意識は無い。ぐったりと まるで糸を切られた人形のようだ。
「え、え!なんで!どうすんの!?」
「うっせェー!早く行け!」
美柴を受け取りながらも 混乱する斉藤に、怒鳴る。中条には焦りがあった。
そして予想通り、手間取っているこちらのスキをついて 室内に走りこんでくる他人の気配。
ブン…!!と長物が空を切る音。
--ガキン…!!
「…ッ!」
「中条さん!」
気配に目星をつけ、持っていた鉄パイプを振り上げた。
相手の振り下ろした長物が 遠慮なくぶつかって、衝撃音を鳴らす。
衝撃は 受け止めたパイプを伝って、手の平から腕に痺れを引き起こす。
力で相手を振り切って、体勢を立て直す。背後では 斉藤が息を飲む。
侵入者は、三人だった。
その全員が長物を手にし、中条達の前に立ちふさがっている。袋叩きがしたらしい。
取り囲まれそうになるが、中条が ガンッ!とパイプでコンクリートを叩きつけ、相手の先手を牽制した。
美柴が倒れた今、実状は 一対三。劣勢。
そんなことは斉藤にだって分かる。
「中条さん!」
「はッ なんだよ、大したことねェーな。斉藤、早く行け」
「~でもッ」
「何度も言わせんな いいから行け!!」
相手を鼻で笑う余裕を見せつつも、中条は振り返らずに斉藤にそう怒鳴った。背中で、(お前は逃げろ)と言った。
しかし斉藤がこの状況で素直に逃げるはずがないことも、中条は理解していた。
「俺ぁこうゆうの慣れてんだよ、美柴のこと頼むぞ。そいつはお前よか死なれちゃ困る人材だからな」
「~~何ソレ!?ひどくない!?」
なんとも適当な言い草で それは冗談だと分かってはいても、斉藤はそう突っ込む。中条の背中が、静かに笑った。
「行け。」
斉藤は ぐっと唇を噛んだ。
ちくしょう、背中でそんな事を言うなんて、カッコいいよ中条さん。
腕の中に託された美柴を強く抱えあげて、斉藤は駆け出した。
======
「……………」
目を覚ますと、中条のベッドの上だった。
グラグラと回る視界に吐き気を覚える。
思わず うぅ…と呻く様な声が微かに漏れた。
気持ち悪い。頭の奥がグラグラする。天井が歪んで見える。
「あ!トキさん起きた…!!」
声と同時に斉藤の顔が視界に入ってくる。心配げな 眉をハの字にした情けない顔。
「大丈夫っすか!?俺の事、分かります!?」
「………………分かりたくない…」
「開口一番 ヒドッ…!!」
「そんだけ言えりゃー平気だな」
薄く笑うような中条の声に 横たわったまま視線を投げる。
そうして中条を見て、息が詰まった。言葉が出なかった。
「ったく。お前が倒れるから散々だったぜ。」
そう言って笑う中条の口元には、赤黒い痣があった。
酷い痣は 目元にもこめかみにもあった。
左目はガーゼで覆われていた。それでも、その瞼が腫れ上がっているのは分かる。
片腕を包帯で肩から吊って、もう片手には いつもの煙草を挟んでいた。
横になったままでは良く見えなかったが、おそらく足も負傷している。
……そんなにボロボロになった姿は、初めて見た。
「…………な、…」
「あ?あぁ 心配すんな。ゲームなら快勝だ」
煙を吹かし 「ま、俺一人でもざっとこんなもんだ」と勝ち誇った笑みを見せる。
斉藤がその表情に「えぇー?ギリギリだったじゃないっすかー」と 子供みたいな反論をした。
中条はすぐに「うるせェ」と小突こうとしたが 吊った腕が痛かったらしい。顔を歪める。
「ほら、人のこと殴ろうとする罰ですよ中条さん!」
「うるせェーな、お前は走り回ってただけだろうが」
「違いますー!トキさんの事もちゃんと守ってましたー!」
「はいはい、それは良かったな斉藤くん」
「な!なんスか その態度ー!?手当てしてやってるってのにー!!」
「お前ね、手当てってのは もっと丁重にやるもんなんだよ」
いつものように言葉遊びをする二人に、美柴は言葉を失っていた。
「……悪い…」
自分が、倒れたから……
「………………。」
急に降って湧いた謝罪の声に、中条も斉藤も静まり返って目を丸くした。
「え…え!何でトキさんが謝るの 何も悪くないじゃないっすか!!」
「そうだぞ美柴ー、たとえこの俺の腕が折れて全治二ヶ月だったとしても、お前は悪くない」
「ちょ、コラ!中条さん…!!」
「…………悪い…」
冗談だったのだが、神妙に謝る美柴の声に さすがの中条も顔をしかめた。
「…あー、お前が言ってた"匂い"な。あれはクサだ」
「………クサ?」
「何すかソレ?」
「大麻だ。多分、相手チームはジャンキーだったな」
「マジで!?え!!俺 薬物中毒の人と向き合ったの!?」
「あぁ。おそらく、あの部屋ん中に微量のクサが焚いてあった。あーゆうのは個人差があるからな。美柴にはあれがキツかったってわけだ」
「ほえー。俺、全っ然分かんなかったー」
「だろうな。バカには分かんねーよ」
「ちょ、今その解釈付け足したでしょ中条さん!」
「…………………。」
中条の説明を聞いてもなお、美柴は暗い表情で天井を見上げていた。
その空気に気がつき、斉藤は気遣うように笑う。
「でも良かったッスよ!トキさんも中条さんも無事で、しかもゲームも勝ったんだから!」
「だな。こうゆう事もありえるってことだ。高い勉強代だと思えばいい」
そんな二人の気遣いにも、美柴は応えずに 目を閉じると小さい溜息を溢した。
「トキさん?やっぱり、まだ顔色良くないっすよ…大丈夫ですか…?」
「…しゃーねェーな。お前、今日は此処で休んでけ」
「え!じゃあ俺も!?」
「お前は学校だろーが斉藤」
「むー」
むくれる斉藤を しっしと追いやって、帰らせた。
外に出た斉藤が チラチラとベッドの美柴を気に掛けるから、「心配すんな」と言ってやった。
おそらく美柴には、こうゆうタイプの励ましは効かない。
斉藤もそれを承知しているのだろう。渋々頷いて、帰っていった。
「……………………。」
美柴の沈黙。しかもとても重い。
仕方が無い。溜息を吐いて、美柴が横たわるベッドに腰掛けた。
「お前って、そんなに分かりやすい顔して凹む奴だったんだな?」
軽く笑ってそう言うと、美柴は黙ったまま寝返りを打った。顔を隠すように 毛布を引き上げる。
「………怪我、治るのは…?」
「あ?あー…さぁな、一ヶ月もありゃだいたい治んだろ。気にすんな」
「……悪い…」
「別にお前のために怪我したわけじゃねーよ。謝るな、気味が悪い」
「…………………」
「自分はどうなんだ。具合は?」
「……大したこと無い」
毛布の中から聞こえる声に、中条は溜息を吐く。
少し覗いている美柴の頭を見た。「美柴」と少し真面目な声色で名前を呼ぶと、ゆっくりこちらを振り仰いだ。
自己嫌悪している瞳に、一言ずつ言い聞かせるように言う。
「いいか美柴。ヤバイと思ったら、俺に言え」
どうして こいつはこうゆう事に素直じゃないのだろう。
「言ってくれりゃー、まぁ気に入らないかもしんねェーが フォローしてやる」
「………なんで上から目線。」
「うるせェー 最後まで聞け」
「………………」
「お前に死なれたら迷惑なんだよ。考えてもみろ 斉藤のお守りを俺一人にさせる気か?」
「……別にいいと思う」
「良くねぇーよ、俺は、お前に死なれちゃ困る。」
「………………」
「お前が動けない時は ちゃんと俺がやってやる。このゲームやっていく以上、そうゆう遠慮は無しだ。頼って来い」
戦闘要員は二人。ディスクを、斉藤を、守る為の壁はこの二枚だけだ。
どちらかが崩れそうなら、どちらかが支えてやる。
背中を預け、貸して、支えてやる。
「分かったな?」
「……………」
美柴から返答は無かった。でも妙にじィっとこちらを見上げている。
「返事は。」
「………………」
しばらくして、小さくコクリと頷いた。よし、いい子だ。
中条はこの話は終わりだと切り替えるように新しい煙草に火をつける。
美柴は まだ肝心な一言が言えてないことに気がついて、少し躊躇う。
「……中条さん…」
「あ?」
しかし、振り返った中条と顔を合わせると 言葉は出てこなかった。
「………………いい…なんでもない」
「…は?なんだよ」
「…なんでもない。寝る。」
「……あ、そ。つーかお前、ベッドで寝る気満々じゃねーか。俺の方が重傷だぞ」
「…まだ気持ち悪い」
「さっき平気だっつったろーが」
「遠慮しないことにした」
「………………お前ね…」
呆れたと苦笑する中条を背後に感じながら、美柴はぎこちなく眠ろうとしていた。
言えなかった言葉が頭を巡る。思ってしまったことが明確になる。
「…………………。」
……………眠れないような気がした。
■とにかく中条さんをカッコいい男にしたかった。笑
すこし下書きのままの部分がありますが…ね、眠い!!
あとで収納する時に改稿しますー
都内廃ビルで行われた、AAAのアウェイ戦。
終盤になっても敵は見つからず、AAAは最上階の奥まった部屋へと辿りついた。
「??鴇さん?どーかしました?」
その時、斉藤が一番に美柴の異変に気がついた。
薄暗い室内でも、隣の美柴の顔色が悪いことは見て取れた。
ゲーム開始時は そんな体調不良の様子はなかったはずだ。
「……いや別に…なんでもない」
「なんか、顔色悪くないっすか?」
「…………匂い、が…」
「匂い?」
「何だ どうした」
コソコソと会話する二人に気づき、周囲を見渡していた中条も傍へと戻ってくる。
斉藤が少し困惑したような視線で 中条に美柴を示す。
見れば美柴は 片手で口と鼻を押さえて、今にもその場に蹲ってしまいそうだった。
「おい、どうした美柴」
「………なんでも、ない…」
「なんでもなくねーだろ。顔真っ青だぞ」
「トキさん?だ、大丈夫っすか?」
平然としている二人が信じられない とでも言うような目で中条と斉藤を見上げ、美柴は 顔を押さえたまま 苦しげに応える。
「……変な匂いが、する…」
「へ?」
「あ?」
意味が分からず 素っ頓狂な返答を返したのもつかの間、美柴の身体は本当にそのまま スッ…と音も無く 傾いた。
「!?」
「トキさん!!?」
崩れ落ちる美柴を あわや地面スレスレのところで中条が支えた。
ゲーム中だという事実は吹っ飛んで、斉藤が大声で美柴の名を呼ぶ。
中条の腕の中から、美柴の返答は無い。
「!!」
その刹那、中条の鼻をついたのは ある匂い。そうか、これは……。
匂いの基を察し、同時に美柴が倒れたことにも納得する。
やられた。舌打ちをする。傍らで懸命に美柴を呼ぶ斉藤の横顔を見た。
おそらく、こいつも時間の問題だ。最善の策を瞬時に頭の中で把握する。
「トキさん!トキさん!!」
「斉藤、お前 美柴抱えて外に出ろ」
「トキさんしっかり……って、へ!?なんで!?」
「いいから行け!」
抱きとめていた美柴を斉藤に押し付けた。
腕の中から離れる美柴には、おそらく意識は無い。ぐったりと まるで糸を切られた人形のようだ。
「え、え!なんで!どうすんの!?」
「うっせェー!早く行け!」
美柴を受け取りながらも 混乱する斉藤に、怒鳴る。中条には焦りがあった。
そして予想通り、手間取っているこちらのスキをついて 室内に走りこんでくる他人の気配。
ブン…!!と長物が空を切る音。
--ガキン…!!
「…ッ!」
「中条さん!」
気配に目星をつけ、持っていた鉄パイプを振り上げた。
相手の振り下ろした長物が 遠慮なくぶつかって、衝撃音を鳴らす。
衝撃は 受け止めたパイプを伝って、手の平から腕に痺れを引き起こす。
力で相手を振り切って、体勢を立て直す。背後では 斉藤が息を飲む。
侵入者は、三人だった。
その全員が長物を手にし、中条達の前に立ちふさがっている。袋叩きがしたらしい。
取り囲まれそうになるが、中条が ガンッ!とパイプでコンクリートを叩きつけ、相手の先手を牽制した。
美柴が倒れた今、実状は 一対三。劣勢。
そんなことは斉藤にだって分かる。
「中条さん!」
「はッ なんだよ、大したことねェーな。斉藤、早く行け」
「~でもッ」
「何度も言わせんな いいから行け!!」
相手を鼻で笑う余裕を見せつつも、中条は振り返らずに斉藤にそう怒鳴った。背中で、(お前は逃げろ)と言った。
しかし斉藤がこの状況で素直に逃げるはずがないことも、中条は理解していた。
「俺ぁこうゆうの慣れてんだよ、美柴のこと頼むぞ。そいつはお前よか死なれちゃ困る人材だからな」
「~~何ソレ!?ひどくない!?」
なんとも適当な言い草で それは冗談だと分かってはいても、斉藤はそう突っ込む。中条の背中が、静かに笑った。
「行け。」
斉藤は ぐっと唇を噛んだ。
ちくしょう、背中でそんな事を言うなんて、カッコいいよ中条さん。
腕の中に託された美柴を強く抱えあげて、斉藤は駆け出した。
======
「……………」
目を覚ますと、中条のベッドの上だった。
グラグラと回る視界に吐き気を覚える。
思わず うぅ…と呻く様な声が微かに漏れた。
気持ち悪い。頭の奥がグラグラする。天井が歪んで見える。
「あ!トキさん起きた…!!」
声と同時に斉藤の顔が視界に入ってくる。心配げな 眉をハの字にした情けない顔。
「大丈夫っすか!?俺の事、分かります!?」
「………………分かりたくない…」
「開口一番 ヒドッ…!!」
「そんだけ言えりゃー平気だな」
薄く笑うような中条の声に 横たわったまま視線を投げる。
そうして中条を見て、息が詰まった。言葉が出なかった。
「ったく。お前が倒れるから散々だったぜ。」
そう言って笑う中条の口元には、赤黒い痣があった。
酷い痣は 目元にもこめかみにもあった。
左目はガーゼで覆われていた。それでも、その瞼が腫れ上がっているのは分かる。
片腕を包帯で肩から吊って、もう片手には いつもの煙草を挟んでいた。
横になったままでは良く見えなかったが、おそらく足も負傷している。
……そんなにボロボロになった姿は、初めて見た。
「…………な、…」
「あ?あぁ 心配すんな。ゲームなら快勝だ」
煙を吹かし 「ま、俺一人でもざっとこんなもんだ」と勝ち誇った笑みを見せる。
斉藤がその表情に「えぇー?ギリギリだったじゃないっすかー」と 子供みたいな反論をした。
中条はすぐに「うるせェ」と小突こうとしたが 吊った腕が痛かったらしい。顔を歪める。
「ほら、人のこと殴ろうとする罰ですよ中条さん!」
「うるせェーな、お前は走り回ってただけだろうが」
「違いますー!トキさんの事もちゃんと守ってましたー!」
「はいはい、それは良かったな斉藤くん」
「な!なんスか その態度ー!?手当てしてやってるってのにー!!」
「お前ね、手当てってのは もっと丁重にやるもんなんだよ」
いつものように言葉遊びをする二人に、美柴は言葉を失っていた。
「……悪い…」
自分が、倒れたから……
「………………。」
急に降って湧いた謝罪の声に、中条も斉藤も静まり返って目を丸くした。
「え…え!何でトキさんが謝るの 何も悪くないじゃないっすか!!」
「そうだぞ美柴ー、たとえこの俺の腕が折れて全治二ヶ月だったとしても、お前は悪くない」
「ちょ、コラ!中条さん…!!」
「…………悪い…」
冗談だったのだが、神妙に謝る美柴の声に さすがの中条も顔をしかめた。
「…あー、お前が言ってた"匂い"な。あれはクサだ」
「………クサ?」
「何すかソレ?」
「大麻だ。多分、相手チームはジャンキーだったな」
「マジで!?え!!俺 薬物中毒の人と向き合ったの!?」
「あぁ。おそらく、あの部屋ん中に微量のクサが焚いてあった。あーゆうのは個人差があるからな。美柴にはあれがキツかったってわけだ」
「ほえー。俺、全っ然分かんなかったー」
「だろうな。バカには分かんねーよ」
「ちょ、今その解釈付け足したでしょ中条さん!」
「…………………。」
中条の説明を聞いてもなお、美柴は暗い表情で天井を見上げていた。
その空気に気がつき、斉藤は気遣うように笑う。
「でも良かったッスよ!トキさんも中条さんも無事で、しかもゲームも勝ったんだから!」
「だな。こうゆう事もありえるってことだ。高い勉強代だと思えばいい」
そんな二人の気遣いにも、美柴は応えずに 目を閉じると小さい溜息を溢した。
「トキさん?やっぱり、まだ顔色良くないっすよ…大丈夫ですか…?」
「…しゃーねェーな。お前、今日は此処で休んでけ」
「え!じゃあ俺も!?」
「お前は学校だろーが斉藤」
「むー」
むくれる斉藤を しっしと追いやって、帰らせた。
外に出た斉藤が チラチラとベッドの美柴を気に掛けるから、「心配すんな」と言ってやった。
おそらく美柴には、こうゆうタイプの励ましは効かない。
斉藤もそれを承知しているのだろう。渋々頷いて、帰っていった。
「……………………。」
美柴の沈黙。しかもとても重い。
仕方が無い。溜息を吐いて、美柴が横たわるベッドに腰掛けた。
「お前って、そんなに分かりやすい顔して凹む奴だったんだな?」
軽く笑ってそう言うと、美柴は黙ったまま寝返りを打った。顔を隠すように 毛布を引き上げる。
「………怪我、治るのは…?」
「あ?あー…さぁな、一ヶ月もありゃだいたい治んだろ。気にすんな」
「……悪い…」
「別にお前のために怪我したわけじゃねーよ。謝るな、気味が悪い」
「…………………」
「自分はどうなんだ。具合は?」
「……大したこと無い」
毛布の中から聞こえる声に、中条は溜息を吐く。
少し覗いている美柴の頭を見た。「美柴」と少し真面目な声色で名前を呼ぶと、ゆっくりこちらを振り仰いだ。
自己嫌悪している瞳に、一言ずつ言い聞かせるように言う。
「いいか美柴。ヤバイと思ったら、俺に言え」
どうして こいつはこうゆう事に素直じゃないのだろう。
「言ってくれりゃー、まぁ気に入らないかもしんねェーが フォローしてやる」
「………なんで上から目線。」
「うるせェー 最後まで聞け」
「………………」
「お前に死なれたら迷惑なんだよ。考えてもみろ 斉藤のお守りを俺一人にさせる気か?」
「……別にいいと思う」
「良くねぇーよ、俺は、お前に死なれちゃ困る。」
「………………」
「お前が動けない時は ちゃんと俺がやってやる。このゲームやっていく以上、そうゆう遠慮は無しだ。頼って来い」
戦闘要員は二人。ディスクを、斉藤を、守る為の壁はこの二枚だけだ。
どちらかが崩れそうなら、どちらかが支えてやる。
背中を預け、貸して、支えてやる。
「分かったな?」
「……………」
美柴から返答は無かった。でも妙にじィっとこちらを見上げている。
「返事は。」
「………………」
しばらくして、小さくコクリと頷いた。よし、いい子だ。
中条はこの話は終わりだと切り替えるように新しい煙草に火をつける。
美柴は まだ肝心な一言が言えてないことに気がついて、少し躊躇う。
「……中条さん…」
「あ?」
しかし、振り返った中条と顔を合わせると 言葉は出てこなかった。
「………………いい…なんでもない」
「…は?なんだよ」
「…なんでもない。寝る。」
「……あ、そ。つーかお前、ベッドで寝る気満々じゃねーか。俺の方が重傷だぞ」
「…まだ気持ち悪い」
「さっき平気だっつったろーが」
「遠慮しないことにした」
「………………お前ね…」
呆れたと苦笑する中条を背後に感じながら、美柴はぎこちなく眠ろうとしていた。
言えなかった言葉が頭を巡る。思ってしまったことが明確になる。
「…………………。」
……………眠れないような気がした。
■とにかく中条さんをカッコいい男にしたかった。笑
すこし下書きのままの部分がありますが…ね、眠い!!
あとで収納する時に改稿しますー
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Comment
またまたコメントしちゃってすいません。
朝から中条さんにやられました!
もう、NANOさんが書く中条さんかっこよすぎますよ…!
好きすぎて、自分じゃかっこいい中条さんが書けないんで…(笑)
中条さん不足な時はホント癒されてます~
NANOさんの話、峰倉さんに絵にしてほしいです。
後半は中鴇な感じでにやにやでした。
怪我した中条さんと気にする鴇が…もー大好きです。
中条さんにはこれからも鴇を守ってあげてほしいです(*´∀`*)
元気出ました!ありがとうございます~
朝から中条さんにやられました!
もう、NANOさんが書く中条さんかっこよすぎますよ…!
好きすぎて、自分じゃかっこいい中条さんが書けないんで…(笑)
中条さん不足な時はホント癒されてます~
NANOさんの話、峰倉さんに絵にしてほしいです。
後半は中鴇な感じでにやにやでした。
怪我した中条さんと気にする鴇が…もー大好きです。
中条さんにはこれからも鴇を守ってあげてほしいです(*´∀`*)
元気出ました!ありがとうございます~
奈子|2009/03/18(Wed)|Edit
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近況報告
2010年も BUSGAMER至上主義で参ります…!!
マイナー万歳!!
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