愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
峰倉さんの喫茶店で働くウエイター美柴くんの日常。
名づけて!喫茶芸夢シリーズ!!
今回は久保田ランドリー登場でっす 久保ちゃんは案外むつかしい…;;
喫茶芸夢シリーズでは不穏な話にしないようにしたい!!笑
時任も書きたいなー!!
名づけて!喫茶芸夢シリーズ!!
今回は久保田ランドリー登場でっす 久保ちゃんは案外むつかしい…;;
喫茶芸夢シリーズでは不穏な話にしないようにしたい!!笑
時任も書きたいなー!!
■峰倉さんの喫茶店で働くウエイター美柴くんの日常。
この喫茶の斜向かいに、久保田ランドリーというクリーニング店がある。
そのクリーニング店の前に、ウエイター姿の青年がどこか不満気に立っている。
手には 勤める喫茶店のオーナーから渡された引換券。
「この前出したクロス。あれ、もう出来てると思うんだ。美柴くん、貰ってきてもらえる?」
これは言うならば簡単な『お遣い』だ。
ただのウエイターであるのはずの美柴は、出不精なオーナーに代わって 買出しや諸々の外出業務も少々こなしている。
しかしこのクリーニング店への遣いだけは未だに苦手である。
「……………………。」
なぜなら彼は、この店の店主 久保田誠人が大の苦手だからだ。
「……………………。」
はっきり言って、気が重い。
いってらっしゃーい、とオーナーから見送られた手前 「留守だった」なんて言い訳は言えない……というより、このウエイターはそんな言い訳すら思いつかない。
頼まれたことは、最後までやる。そんな律儀な従業員に逃げ道はない。
「さて。今日はどんな風にからかわれてきちゃうかな?」
「峰倉さんは意地悪ですねぇー 美柴くん可哀相だなぁー」
「天ちゃん。心にもないこと言わないの」
「あ。やっぱり分かります?」
カウンターに残ったオーナーと居候の天蓬が楽しそうに煙草を吹かしている事も知らず、美柴は久保田ランドリーの前で(行きたくない)(早く終わらせれば良い)(でも行きたくない)と じっと引き換え券を睨んでいるのである。
(…時任がいればいいのに)
久保田の店は住居兼店舗。そこには一人の同居人がいる。
時任と呼ばれていて、同級生の悟空といつも帰ってくる明るい高校生だ。
人見知りな美柴でも、時任とはそれなりに良い距離で接せられる。
周りからは大雑把で尊大な俺様タイプだと思われているらしい。
けれど美柴は 時任が友達思いで、正義感のある一面を持っていると分かっている。……人に言った事は無いけれど。
「…………………。」
どうしたらあの店主と言葉を交わさずに店を出られるか考えていた。
しかしその思考は 目の前の自動ドアの開く音で はっと途切れる。
「あぁ美柴さん。お久しぶりです」
人当たりのいい笑顔と声。
喫茶の向かいにある銭湯の若旦那 八戒。
軽い会釈だけ返す美柴を見て、はんなり笑う。
「お店のお遣いですか?」
「……クロスを、取りに…」
「そうでしたか。僕も銭湯の床敷きを取りに伺ったんですよ。お互い『腰の重い出不精』が上にいると大変ですよねー」
「…………………。」
一瞬言葉の裏に黒いオーラーを見たが、ここは触れないに限る。
「あ、今さっき久保田さんが帰ってきたところなんですよ。ちょうど良かったですね」
「…………………。」
……なんとなく、その台詞がわざとらしく感じるのは気のせいだろうか。もう眼鏡をかけている人間すべてが疑わしくなってきた。重症だ。
店内の人影が動いたのを感じた八戒は「じゃあ僕はこれで」と会釈し去っていく。
「…………………」
その背中を軽く見送ってから、開いたままの自動ドアをようやく見やった。
「もしかして美柴くん、時任が居たらいいのになーとか思ってなあい?」
「……思ってる。」
「じゃあ残念。今日はまだ俺一人。」
「………………」
久保田はドアの縁に手をかけ 眼鏡の奥ですっと笑みを作る。
美柴は心中 振り回されてなるものかと身構え じっと目を反らさない。
「お店のクロスだよね。出来てるよ。どうぞ中で待ってて?」
そう店内を示す久保田は、わざとらしく首を傾げる。
「それとも一人じゃ怖くて入れない?」
「…………ただのクリーニング店だろ…」
美柴はじっと挑むような視線で踏み出し、自動ドアを潜る。
「………あんたが居なければ。」
そう言い捨て 久保田の脇を通り過ぎる。
凛と通り過ぎる美柴を面白そうに視線で追い、久保田もカウンターの中に入る。
「ひどいな。俺の店なのに」
「…………どこに物があるかいつも探し回るくせに」
「あ。あれはね、美柴くんの物限定。」
カウンターを挟んで 二人。
一方は不機嫌を押し殺し、一方はクスリと笑んで。
「さてと。そのクロス、どこにあるか探さなくちゃ、ね?」
自動ドアは、ゴングを鳴らすようにピシャリと閉まった。
「んー、どこに置いといたっけなー」
久保田は至極適当な言い草でふらふらと棚を見ている。
「おかしいなー 昨日届いたのになー」
その背中に見つける気が無いのは確かだ。苛々してくる。
「……日付で分けてあるんじゃないのか」
「あ。そうでした。」
うんざりとした指摘に わざとらしく ぽん、と手を打った。
そして棚の一角を見上げて 首を捻る。
「あら、困ったな。美柴くん ちょいちょい」
「?」
来い来いと指先で手招く久保田を 美柴は訝しげに見返す。眼鏡の奥の表情が怪しい。
しかし追い討ちをかけるように優しい声色で「手伝って?」と言われ、仕方なくカウンターの中に入る。
久保田は 隣に美柴を招き入れ、二コリ笑う。
「ここ、押さえててくれない?」
と、指差すのは 仕上がった衣類が段々と積み上げられた山の中腹部。ちょうど美柴の頭の辺りだ。
「……なんで。」
「そのクロスね、この間にあるんだよ。俺が引っこ抜くから、美柴くんはこの山が崩れないよーに下押さえてて」
「……………。」
「わざとじゃないよ?今日仕上がったやつ、上に積み重ねちゃったの。引っこ抜いたほうが楽でしょ?」
「……………。」
もう、……何を言っても無駄だ。無事に帰れればそれでいい…。
はぁとため息一つで、美柴はコクリ頷くと 言われたとおり目の前の衣類を押さえる。
「はい。ちゃんと押さえててねー」
ひょい と美柴の頭のもっと先へ手を伸ばした久保田は、少しはみ出している白いビニールを掴む。
そして、
ドドドー!!!
山は崩落した。見事に美柴の上へと。
「……………。」
「…あら大変。足埋もれちゃったねー、美柴くんだけ。」
ぐぐぐっ!!!と不機嫌を力いっぱい握り締める。
頭に誰かのワイシャツが乗っかっている。口は一文字。据わった目は 崩壊し跡形も無い山を睨む。
そんな憤りで固まった美柴を覗き込んで、久保田はふと笑った。
「怒った?」
「~~~~~……ッ」
からかわれているのは百も承知…!相手にしてなるものか…!
「あ。」
上昇中のボルテージと戦う美柴をよそに、のん気な久保田の声。
今度は何だ と忌々しく見やる。
その手には、見覚えのある白いクロス。
「ごめんね、カウンターの下に取っておいたんだった」
全く謝罪の気の無い台詞と 甲斐甲斐しく「大丈夫?」と頭のワイシャツを取り上げる久保田を見上げて、(もう二度と此処には来ない…!)と美柴は心に誓った。
………数日後………
ガシャーン!!
喫茶芸夢に響いた カップの割れる音。
「あー!何やってんだよ斉藤ー!」
「え俺のせい!?悟空が押したからでしょー!?」
「あーあ、またクロス真っ黒になっちまったじゃん。もう俺めんどくせーから店持って帰んねーぞ!」
「あー大丈夫大丈夫。時任それ貸して」
煙草を吹かしながら Gペンを走らせていた峰蔵女史は 時任からコーヒーにまみれたクロスを取り上げる。
そして、オーナーは最高の笑顔でウエイターを振り返った。
「はい!美柴くんお願いねっ」
「………………他のクリー」
「久保田ランドリーによろしく!」
ウエイターが胸に誓う数々の決意は、なかなか叶わない。
■この世界の皆さんは、美柴さんをいろんな意味で可愛がってる。笑
この喫茶の斜向かいに、久保田ランドリーというクリーニング店がある。
そのクリーニング店の前に、ウエイター姿の青年がどこか不満気に立っている。
手には 勤める喫茶店のオーナーから渡された引換券。
「この前出したクロス。あれ、もう出来てると思うんだ。美柴くん、貰ってきてもらえる?」
これは言うならば簡単な『お遣い』だ。
ただのウエイターであるのはずの美柴は、出不精なオーナーに代わって 買出しや諸々の外出業務も少々こなしている。
しかしこのクリーニング店への遣いだけは未だに苦手である。
「……………………。」
なぜなら彼は、この店の店主 久保田誠人が大の苦手だからだ。
「……………………。」
はっきり言って、気が重い。
いってらっしゃーい、とオーナーから見送られた手前 「留守だった」なんて言い訳は言えない……というより、このウエイターはそんな言い訳すら思いつかない。
頼まれたことは、最後までやる。そんな律儀な従業員に逃げ道はない。
「さて。今日はどんな風にからかわれてきちゃうかな?」
「峰倉さんは意地悪ですねぇー 美柴くん可哀相だなぁー」
「天ちゃん。心にもないこと言わないの」
「あ。やっぱり分かります?」
カウンターに残ったオーナーと居候の天蓬が楽しそうに煙草を吹かしている事も知らず、美柴は久保田ランドリーの前で(行きたくない)(早く終わらせれば良い)(でも行きたくない)と じっと引き換え券を睨んでいるのである。
(…時任がいればいいのに)
久保田の店は住居兼店舗。そこには一人の同居人がいる。
時任と呼ばれていて、同級生の悟空といつも帰ってくる明るい高校生だ。
人見知りな美柴でも、時任とはそれなりに良い距離で接せられる。
周りからは大雑把で尊大な俺様タイプだと思われているらしい。
けれど美柴は 時任が友達思いで、正義感のある一面を持っていると分かっている。……人に言った事は無いけれど。
「…………………。」
どうしたらあの店主と言葉を交わさずに店を出られるか考えていた。
しかしその思考は 目の前の自動ドアの開く音で はっと途切れる。
「あぁ美柴さん。お久しぶりです」
人当たりのいい笑顔と声。
喫茶の向かいにある銭湯の若旦那 八戒。
軽い会釈だけ返す美柴を見て、はんなり笑う。
「お店のお遣いですか?」
「……クロスを、取りに…」
「そうでしたか。僕も銭湯の床敷きを取りに伺ったんですよ。お互い『腰の重い出不精』が上にいると大変ですよねー」
「…………………。」
一瞬言葉の裏に黒いオーラーを見たが、ここは触れないに限る。
「あ、今さっき久保田さんが帰ってきたところなんですよ。ちょうど良かったですね」
「…………………。」
……なんとなく、その台詞がわざとらしく感じるのは気のせいだろうか。もう眼鏡をかけている人間すべてが疑わしくなってきた。重症だ。
店内の人影が動いたのを感じた八戒は「じゃあ僕はこれで」と会釈し去っていく。
「…………………」
その背中を軽く見送ってから、開いたままの自動ドアをようやく見やった。
「もしかして美柴くん、時任が居たらいいのになーとか思ってなあい?」
「……思ってる。」
「じゃあ残念。今日はまだ俺一人。」
「………………」
久保田はドアの縁に手をかけ 眼鏡の奥ですっと笑みを作る。
美柴は心中 振り回されてなるものかと身構え じっと目を反らさない。
「お店のクロスだよね。出来てるよ。どうぞ中で待ってて?」
そう店内を示す久保田は、わざとらしく首を傾げる。
「それとも一人じゃ怖くて入れない?」
「…………ただのクリーニング店だろ…」
美柴はじっと挑むような視線で踏み出し、自動ドアを潜る。
「………あんたが居なければ。」
そう言い捨て 久保田の脇を通り過ぎる。
凛と通り過ぎる美柴を面白そうに視線で追い、久保田もカウンターの中に入る。
「ひどいな。俺の店なのに」
「…………どこに物があるかいつも探し回るくせに」
「あ。あれはね、美柴くんの物限定。」
カウンターを挟んで 二人。
一方は不機嫌を押し殺し、一方はクスリと笑んで。
「さてと。そのクロス、どこにあるか探さなくちゃ、ね?」
自動ドアは、ゴングを鳴らすようにピシャリと閉まった。
「んー、どこに置いといたっけなー」
久保田は至極適当な言い草でふらふらと棚を見ている。
「おかしいなー 昨日届いたのになー」
その背中に見つける気が無いのは確かだ。苛々してくる。
「……日付で分けてあるんじゃないのか」
「あ。そうでした。」
うんざりとした指摘に わざとらしく ぽん、と手を打った。
そして棚の一角を見上げて 首を捻る。
「あら、困ったな。美柴くん ちょいちょい」
「?」
来い来いと指先で手招く久保田を 美柴は訝しげに見返す。眼鏡の奥の表情が怪しい。
しかし追い討ちをかけるように優しい声色で「手伝って?」と言われ、仕方なくカウンターの中に入る。
久保田は 隣に美柴を招き入れ、二コリ笑う。
「ここ、押さえててくれない?」
と、指差すのは 仕上がった衣類が段々と積み上げられた山の中腹部。ちょうど美柴の頭の辺りだ。
「……なんで。」
「そのクロスね、この間にあるんだよ。俺が引っこ抜くから、美柴くんはこの山が崩れないよーに下押さえてて」
「……………。」
「わざとじゃないよ?今日仕上がったやつ、上に積み重ねちゃったの。引っこ抜いたほうが楽でしょ?」
「……………。」
もう、……何を言っても無駄だ。無事に帰れればそれでいい…。
はぁとため息一つで、美柴はコクリ頷くと 言われたとおり目の前の衣類を押さえる。
「はい。ちゃんと押さえててねー」
ひょい と美柴の頭のもっと先へ手を伸ばした久保田は、少しはみ出している白いビニールを掴む。
そして、
ドドドー!!!
山は崩落した。見事に美柴の上へと。
「……………。」
「…あら大変。足埋もれちゃったねー、美柴くんだけ。」
ぐぐぐっ!!!と不機嫌を力いっぱい握り締める。
頭に誰かのワイシャツが乗っかっている。口は一文字。据わった目は 崩壊し跡形も無い山を睨む。
そんな憤りで固まった美柴を覗き込んで、久保田はふと笑った。
「怒った?」
「~~~~~……ッ」
からかわれているのは百も承知…!相手にしてなるものか…!
「あ。」
上昇中のボルテージと戦う美柴をよそに、のん気な久保田の声。
今度は何だ と忌々しく見やる。
その手には、見覚えのある白いクロス。
「ごめんね、カウンターの下に取っておいたんだった」
全く謝罪の気の無い台詞と 甲斐甲斐しく「大丈夫?」と頭のワイシャツを取り上げる久保田を見上げて、(もう二度と此処には来ない…!)と美柴は心に誓った。
………数日後………
ガシャーン!!
喫茶芸夢に響いた カップの割れる音。
「あー!何やってんだよ斉藤ー!」
「え俺のせい!?悟空が押したからでしょー!?」
「あーあ、またクロス真っ黒になっちまったじゃん。もう俺めんどくせーから店持って帰んねーぞ!」
「あー大丈夫大丈夫。時任それ貸して」
煙草を吹かしながら Gペンを走らせていた峰蔵女史は 時任からコーヒーにまみれたクロスを取り上げる。
そして、オーナーは最高の笑顔でウエイターを振り返った。
「はい!美柴くんお願いねっ」
「………………他のクリー」
「久保田ランドリーによろしく!」
ウエイターが胸に誓う数々の決意は、なかなか叶わない。
■この世界の皆さんは、美柴さんをいろんな意味で可愛がってる。笑
PR
Comment
カレンダー
カウンター
Profile
HN:
NANO
性別:
女性
自己紹介:
■Like■
ゆるカジュ
峰倉作品
■Love■
清春(神)
美柴鴇(BUSGAMER)
Super Dollfie(オーナー歴三年)
ゆるカジュ
峰倉作品
■Love■
清春(神)
美柴鴇(BUSGAMER)
Super Dollfie(オーナー歴三年)
近況報告
2010年も BUSGAMER至上主義で参ります…!!
マイナー万歳!!
当人管理HP…etc
コメント
[06/09 華爛]
[06/02 結]
[05/31 華爛]
[05/31 紅夜]
[05/30 ありこ]
ブログ内検索
■■■