愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
■すみません とりあえずやってみたかった話をやってみました。
もう完全な、純然たる自己満足です。笑
心霊探偵 八雲+優希。
ですが、優希は一言もしゃべりません。いっそこれは八雲の二次創作です…知らない人にはまっっったく面白くも何ともないと思います…笑"
いいんです、すべては妄想だから。
もう完全な、純然たる自己満足です。笑
心霊探偵 八雲+優希。
ですが、優希は一言もしゃべりません。いっそこれは八雲の二次創作です…知らない人にはまっっったく面白くも何ともないと思います…笑"
いいんです、すべては妄想だから。
■興味本位でやってみたかったお話。
ぽつぽつと降る霧雨の中、川辺の遊歩道に八雲と後藤は並んでいた。
今 八雲達が抱えている事件の発端は その遊歩道の脇を轟々と流れるこの川で起きた殺人事件だ。
今日 ようやくその事実にまで辿り着き、八雲の一声で こうして実際の現場にまで足を運んだというわけだ。
「それにしてもエライ雨だな。気が滅入る」
「へぇ 後藤さんでも気が滅入るなんてことがあるんですね」
「お前俺を何だと思ってやがる」
「熊にしか見えませんよ」
人が近寄ることはまず無いと言っていいような、鬱蒼とした土手。
二人は傘を片手に 遊歩道からその土手へと降り始める。
人の肩ほどにまで伸びた雑草が、八雲達の行く手を阻む。
足場は雨で泥になった地面。周りは生い茂った雑草。
進んでも進んでも出口が見えない。
「ああくそっ 纏わりつきやがって!」
「雑草ぐらいですよ 後藤さんにくっついてくれるのは」
ぶんぶんと周囲を両腕で振り払いながら悪態を吐く後藤を尻目に、八雲はさくさくと道を掻き分けて先を行く。
一方 後藤は泥に足をとられて ズルッと何度も転びそうになった。
途中から開き直って 傘を放り捨てると八雲に怒鳴った。
「おい!どこに向かってる!!」
「知りませんよ」
知りませんってお前…。後藤が拍子抜けして脱力する。
「でも、誰かが居るのは確かです」
軽口をきいてはいるが その表情はいつもより堅い。
どうやら視線の先に、確かに何かを感じ取っているようだ。
しばらく進むと、不意に雑草が途切れ 開けた空間に出た。
そこはちょうど水門の入り口付近で、まるでクレーターのようなぽっかりとした場所だった。
後藤はやれやれと汗と雨を拭い 顔を上げる。前にいる八雲は ピタリと立ち止まり 前方を見つめていた。
何だ、と首を伸ばし 八雲の視線を追うと 後藤もピタリと止まった。
水門の入り口。その川辺に 人が立っていた。
傘で細かくは確認できないが どうやら小学校高学年ぐらいの男の子だ。
横顔から見るに 色の白い肌と 少し茶色がかった髪色で、どことなく育ちが良さそうな雰囲気をしていた。
その子は 何もせず、ただじっと増水し荒れ狂った川を見ている。
「何してんだ」
遊び半分でこんな所に入ってきてしまったのだろう。
しかしこの増水じゃあ洪水に遭うかもしれない。それにそもそも此処は立ち入り禁止区域だ。
チッと舌打ちをして 後藤が少年に歩み寄ろうとした。
「待ってください」
しかし、八雲が手を伸ばして制止した。振り返ると 八雲の目はしっかりと少年を捉えている。
それがあまりにも真剣な面持ちで 思わず後藤ももう一度少年を見た。
突っ立っていた少年は すっと足を踏み出す。
そこは本当に川と土手の境目。靴の先は川に入ってしまっている。
ごおぉと水門から流れ出る濁流が 勢いを増して流れはじめた。
後藤は咄嗟に ひやりと息を飲んだ。背筋に嫌な寒気が走る。
まさか…。
あれ以上進むようなら何としてでも駆け寄ろう。
ゴクリと唾を飲み込んでそう決意し 少年の行動を注視する。
「女の子が居ます」
静かな声は、八雲のものだった。今まさに自殺しようとしている少年を目の前にしているとは思えない、焦りのない声。
あ?と目を細めて周囲を見るが あの少年以外、誰も見えない。
何を言ってるんだと言おうとして、はっと気が付いた。
「被害者のか!」
頷く八雲に 後藤は慌てて振り返る。見えるわけはないのだが、探してしまう。
「ど、どこだ!」
しかしやはり 少年以外は確認できない。その少年も あの状態のまま じっと前方を見つめている。
八雲の腕がすっと上がり、少年を指差した。
「あの子の目の前に立ってますよ」
「なっ!?」
驚いた後藤は思わず目を凝らす。少年の目の前。足場は川だ。
「本当か!?」
「嘘ついてどうするんですか」
「も、もしかして引きずり込もうってのか!?」
慌てた後藤の質問に 八雲は応えなかった。ただ 興味深げに目を細めて少年を見ている。
「おい坊主!そんな所で何してる!!」
業を煮やし 後藤がそう声を上げたが、少年はこちらを振り向くどころか 反応すら示さなかった。
「おい!!警察だ!何してる!!」
そう怒鳴りながら歩み寄っても、反応しない。あまりにも静かな少年に若干戸惑い、後藤がちらりと八雲を見る。
後から歩いてくる八雲もさすがに眉を寄せている。少年はただ無視をしている様子ではないのだ。
まるで、少年だけが区切られた別世界にいるような 違和感。
おい、ともう一度声を掛けようとした時 ふと少年がこちらを見た。
12.3歳のまだ幼い少年だった。
後藤と目が合った少年は 心底驚いたようで ビクリと肩を強張らせる。
見開いた眼で後藤と八雲を交互に見ると じゃり…と警戒したように後ずさった。
本当に 今の今まで後藤達に気がつかなかったような素振りだ。
後藤は盛大な溜息を吐いて見せ、今度は堂々と少年に近づく。
「こんな所で何してやがる!危ねぇーだろが!!」
「………………」
少年は怒鳴る後藤の顔を上目で見たまま 何も言わない。
はじめて見た生き物を観察するような眼差しで見つめられ、居心地が悪くなった後藤はゴホンとわざとらしい咳払いをする。
「あー…俺達は警察のもんだ。ここは立ち入り禁止だぞ 分かってんだろ」
「……………」
「~何とか言え!お前に話してんだよ!!」
「もう少し優しく言えないんですか」
「なんだと!?」
降って湧いた背後からの批難に 後藤は勢いよく振り返る。
八雲は呆れたと肩をすくめる。
「いきなり野熊に襲われたら、人間誰だってビックリするじゃないですか」
「誰が野熊だ!!」
そんなやり取りをしている二人を 警戒し伺っていた少年が 突然タタっと駆け出した。
「おい!?」
捕まえようとした後藤をするりとかわす。
茂みの中に逃げ切ろうとした少年の腕を ぱしりと掴んだのは八雲だった。
「!!」
驚いて振り返った少年が傘を落とす。
「何を話していたんだ?」
八雲は少年の腕を掴んだまま そう問いかけた。
後藤にはその質問の意味が分からずに は?と素っ頓狂な声を上げる。
「何を、話していたんだ?」
再度の八雲の問いかけにも 少年は応えない。やはりじぃっと八雲の顔を見つめている。
視線が交差する数秒。八雲は少年が見ているのは自分の顔ではなく、左目だと気が付いた。
「君は…」
「!おい!!」
言いかけた八雲を思い切り振り払い、少年は今度こそ 茂みの中に走り去ってしまった。
後藤が追いかけようとしたが、すかさず八雲が「後藤さん」と引き止めた。
「何だ 何で止める!?」
「いいんですよ。あの子は事件に関係ない」
ガサガサと少年が進んでいった方向の雑草が揺れて騒いだが、しばらくすると 雨の音と川の音しか聞こえなくなった。
「関係なくて何でこんな所にいるんだ?意味が分からん!」
後藤は 微かに揺れる茂みを見届けてから、振り返る。八雲は もう少年のことなど興味も無い様子で 川辺を見ていた。
「見えるのか?」
後藤の問いに八雲はふぅと息を吐くと 首を横に振った。
さっきまで居たという少女の霊。どうやらもう此処には居ないらしい。
せっかくここまで来て 見たのが正体不明の少年一人。
まったく、一体何をしに来たんだか。
「あのガキは何だ?驚かせやがって」
「驚く?」
「自殺でもするんじゃねーかってヒヤヒヤしたぜ」
そう言うと 八雲は あぁと納得したような声を上げた。
「だからあんなに必死だったわけですか。とんだ勘違いですね」
「何が勘違いだってんだ」
「さっきの少年にも、僕と同じものが見えていたと思いますよ」
さらりと言い放った八雲は 少年が落とした傘を拾う。
「な!そりゃつまり…」
「霊が見えてるってことです」
「本当か!?」
「きちんと目を見合ってたし、まず間違いないでしょう。何か話してる風だったんですよ。誰かさんが大声で邪魔しちゃいましたけどね」
と、ちらりと後藤を見やる。そんなの、俺には分からねぇーんだからしょうがないだろーが。
何となく罰が悪いような気がして 後藤はガリガリと頭を掻く。
「じゃあ何だ、あの子も俺達みたいに事件を追ってるのか?」
「さぁ。そこまでは知りませんけど。とにかく、この事件に直接関わってるわけじゃない」
「何の関係もないのに わざわざこんな足場の悪い場所に来て、一体何してたっていうんだ?」
納得できない後藤は もう一度 少年が消えた茂みを振り返った。
「……んん?」
そして少年の顔を思い出して ふいにもやもやとしたものが頭に立ち込めた。
もしかすると、どこかであの子供を見たことがあるんじゃないだろうか。そんな不確かな考えが浮かんだのだ。
「…おい八雲、あのガキ どっかで見たことないか?」
「ありませんよ。それより後藤さん、この傘」
頭を捻る後藤に、八雲は拾った傘を差し出す。
開いたままのそれは子供用に作られたもので、ガタイの良い後藤には小さすぎる。
まるでトトロが人間の傘を差してるようだ。まったく雨を凌げない。
これを持っていた少年がまだ子供だということが 改めて感じられた。
「何だ?」
受け取った後藤に 八雲はニヤリと口元を笑わせた。
「さっきの捨てた傘の代わりに 使ったらどうですか?」
「お前、バカにしてるだろ」
「そんな事ないですよ。とってもお似合いです」
「ふざけんな!!」
押し返された傘を手にした八雲は、それを捨てずに遊歩道まで戻った。
「お前が持ってくのか?署で預かっとくぞ」
後藤の申し出に 八雲は首を振る。
「たぶん、いつかまた会いますよ」
「あのガキにか?なんで?」
「推測です」
そう言うと 駐車した車へと戻る。
「……お前の推測はよく当たるからな」
後藤は 八雲が持つ小さな傘を見て、そう呟いた。
■やってみたかっただけ。後悔はしていない。←←
で、3年後くらいに 別ルートで同じ事件に行き着いて 再会。とかがいいなぁ。
優希は見える霊に対して『絶対に救える。救えない人はいない』と信じていて、周りから大事に大事に守られて愛されて育っている子
だけど八雲は『見えたって出来る事と出来ない事がある』と諦めと挫折が何度もあって、孤独も痛いぐらい知ってる人。
そうゆう正反対な境遇や理論でぶつかって欲しい。
お互いがお互いのあり方から 色んなことを感じて欲しい。
………いやぁ、これはさすがに書庫には収納できませんね…;;だってもうなんか、なんのこっちゃ分からんもん。妙にシリーズ化しそうで怖いもん笑"
ぽつぽつと降る霧雨の中、川辺の遊歩道に八雲と後藤は並んでいた。
今 八雲達が抱えている事件の発端は その遊歩道の脇を轟々と流れるこの川で起きた殺人事件だ。
今日 ようやくその事実にまで辿り着き、八雲の一声で こうして実際の現場にまで足を運んだというわけだ。
「それにしてもエライ雨だな。気が滅入る」
「へぇ 後藤さんでも気が滅入るなんてことがあるんですね」
「お前俺を何だと思ってやがる」
「熊にしか見えませんよ」
人が近寄ることはまず無いと言っていいような、鬱蒼とした土手。
二人は傘を片手に 遊歩道からその土手へと降り始める。
人の肩ほどにまで伸びた雑草が、八雲達の行く手を阻む。
足場は雨で泥になった地面。周りは生い茂った雑草。
進んでも進んでも出口が見えない。
「ああくそっ 纏わりつきやがって!」
「雑草ぐらいですよ 後藤さんにくっついてくれるのは」
ぶんぶんと周囲を両腕で振り払いながら悪態を吐く後藤を尻目に、八雲はさくさくと道を掻き分けて先を行く。
一方 後藤は泥に足をとられて ズルッと何度も転びそうになった。
途中から開き直って 傘を放り捨てると八雲に怒鳴った。
「おい!どこに向かってる!!」
「知りませんよ」
知りませんってお前…。後藤が拍子抜けして脱力する。
「でも、誰かが居るのは確かです」
軽口をきいてはいるが その表情はいつもより堅い。
どうやら視線の先に、確かに何かを感じ取っているようだ。
しばらく進むと、不意に雑草が途切れ 開けた空間に出た。
そこはちょうど水門の入り口付近で、まるでクレーターのようなぽっかりとした場所だった。
後藤はやれやれと汗と雨を拭い 顔を上げる。前にいる八雲は ピタリと立ち止まり 前方を見つめていた。
何だ、と首を伸ばし 八雲の視線を追うと 後藤もピタリと止まった。
水門の入り口。その川辺に 人が立っていた。
傘で細かくは確認できないが どうやら小学校高学年ぐらいの男の子だ。
横顔から見るに 色の白い肌と 少し茶色がかった髪色で、どことなく育ちが良さそうな雰囲気をしていた。
その子は 何もせず、ただじっと増水し荒れ狂った川を見ている。
「何してんだ」
遊び半分でこんな所に入ってきてしまったのだろう。
しかしこの増水じゃあ洪水に遭うかもしれない。それにそもそも此処は立ち入り禁止区域だ。
チッと舌打ちをして 後藤が少年に歩み寄ろうとした。
「待ってください」
しかし、八雲が手を伸ばして制止した。振り返ると 八雲の目はしっかりと少年を捉えている。
それがあまりにも真剣な面持ちで 思わず後藤ももう一度少年を見た。
突っ立っていた少年は すっと足を踏み出す。
そこは本当に川と土手の境目。靴の先は川に入ってしまっている。
ごおぉと水門から流れ出る濁流が 勢いを増して流れはじめた。
後藤は咄嗟に ひやりと息を飲んだ。背筋に嫌な寒気が走る。
まさか…。
あれ以上進むようなら何としてでも駆け寄ろう。
ゴクリと唾を飲み込んでそう決意し 少年の行動を注視する。
「女の子が居ます」
静かな声は、八雲のものだった。今まさに自殺しようとしている少年を目の前にしているとは思えない、焦りのない声。
あ?と目を細めて周囲を見るが あの少年以外、誰も見えない。
何を言ってるんだと言おうとして、はっと気が付いた。
「被害者のか!」
頷く八雲に 後藤は慌てて振り返る。見えるわけはないのだが、探してしまう。
「ど、どこだ!」
しかしやはり 少年以外は確認できない。その少年も あの状態のまま じっと前方を見つめている。
八雲の腕がすっと上がり、少年を指差した。
「あの子の目の前に立ってますよ」
「なっ!?」
驚いた後藤は思わず目を凝らす。少年の目の前。足場は川だ。
「本当か!?」
「嘘ついてどうするんですか」
「も、もしかして引きずり込もうってのか!?」
慌てた後藤の質問に 八雲は応えなかった。ただ 興味深げに目を細めて少年を見ている。
「おい坊主!そんな所で何してる!!」
業を煮やし 後藤がそう声を上げたが、少年はこちらを振り向くどころか 反応すら示さなかった。
「おい!!警察だ!何してる!!」
そう怒鳴りながら歩み寄っても、反応しない。あまりにも静かな少年に若干戸惑い、後藤がちらりと八雲を見る。
後から歩いてくる八雲もさすがに眉を寄せている。少年はただ無視をしている様子ではないのだ。
まるで、少年だけが区切られた別世界にいるような 違和感。
おい、ともう一度声を掛けようとした時 ふと少年がこちらを見た。
12.3歳のまだ幼い少年だった。
後藤と目が合った少年は 心底驚いたようで ビクリと肩を強張らせる。
見開いた眼で後藤と八雲を交互に見ると じゃり…と警戒したように後ずさった。
本当に 今の今まで後藤達に気がつかなかったような素振りだ。
後藤は盛大な溜息を吐いて見せ、今度は堂々と少年に近づく。
「こんな所で何してやがる!危ねぇーだろが!!」
「………………」
少年は怒鳴る後藤の顔を上目で見たまま 何も言わない。
はじめて見た生き物を観察するような眼差しで見つめられ、居心地が悪くなった後藤はゴホンとわざとらしい咳払いをする。
「あー…俺達は警察のもんだ。ここは立ち入り禁止だぞ 分かってんだろ」
「……………」
「~何とか言え!お前に話してんだよ!!」
「もう少し優しく言えないんですか」
「なんだと!?」
降って湧いた背後からの批難に 後藤は勢いよく振り返る。
八雲は呆れたと肩をすくめる。
「いきなり野熊に襲われたら、人間誰だってビックリするじゃないですか」
「誰が野熊だ!!」
そんなやり取りをしている二人を 警戒し伺っていた少年が 突然タタっと駆け出した。
「おい!?」
捕まえようとした後藤をするりとかわす。
茂みの中に逃げ切ろうとした少年の腕を ぱしりと掴んだのは八雲だった。
「!!」
驚いて振り返った少年が傘を落とす。
「何を話していたんだ?」
八雲は少年の腕を掴んだまま そう問いかけた。
後藤にはその質問の意味が分からずに は?と素っ頓狂な声を上げる。
「何を、話していたんだ?」
再度の八雲の問いかけにも 少年は応えない。やはりじぃっと八雲の顔を見つめている。
視線が交差する数秒。八雲は少年が見ているのは自分の顔ではなく、左目だと気が付いた。
「君は…」
「!おい!!」
言いかけた八雲を思い切り振り払い、少年は今度こそ 茂みの中に走り去ってしまった。
後藤が追いかけようとしたが、すかさず八雲が「後藤さん」と引き止めた。
「何だ 何で止める!?」
「いいんですよ。あの子は事件に関係ない」
ガサガサと少年が進んでいった方向の雑草が揺れて騒いだが、しばらくすると 雨の音と川の音しか聞こえなくなった。
「関係なくて何でこんな所にいるんだ?意味が分からん!」
後藤は 微かに揺れる茂みを見届けてから、振り返る。八雲は もう少年のことなど興味も無い様子で 川辺を見ていた。
「見えるのか?」
後藤の問いに八雲はふぅと息を吐くと 首を横に振った。
さっきまで居たという少女の霊。どうやらもう此処には居ないらしい。
せっかくここまで来て 見たのが正体不明の少年一人。
まったく、一体何をしに来たんだか。
「あのガキは何だ?驚かせやがって」
「驚く?」
「自殺でもするんじゃねーかってヒヤヒヤしたぜ」
そう言うと 八雲は あぁと納得したような声を上げた。
「だからあんなに必死だったわけですか。とんだ勘違いですね」
「何が勘違いだってんだ」
「さっきの少年にも、僕と同じものが見えていたと思いますよ」
さらりと言い放った八雲は 少年が落とした傘を拾う。
「な!そりゃつまり…」
「霊が見えてるってことです」
「本当か!?」
「きちんと目を見合ってたし、まず間違いないでしょう。何か話してる風だったんですよ。誰かさんが大声で邪魔しちゃいましたけどね」
と、ちらりと後藤を見やる。そんなの、俺には分からねぇーんだからしょうがないだろーが。
何となく罰が悪いような気がして 後藤はガリガリと頭を掻く。
「じゃあ何だ、あの子も俺達みたいに事件を追ってるのか?」
「さぁ。そこまでは知りませんけど。とにかく、この事件に直接関わってるわけじゃない」
「何の関係もないのに わざわざこんな足場の悪い場所に来て、一体何してたっていうんだ?」
納得できない後藤は もう一度 少年が消えた茂みを振り返った。
「……んん?」
そして少年の顔を思い出して ふいにもやもやとしたものが頭に立ち込めた。
もしかすると、どこかであの子供を見たことがあるんじゃないだろうか。そんな不確かな考えが浮かんだのだ。
「…おい八雲、あのガキ どっかで見たことないか?」
「ありませんよ。それより後藤さん、この傘」
頭を捻る後藤に、八雲は拾った傘を差し出す。
開いたままのそれは子供用に作られたもので、ガタイの良い後藤には小さすぎる。
まるでトトロが人間の傘を差してるようだ。まったく雨を凌げない。
これを持っていた少年がまだ子供だということが 改めて感じられた。
「何だ?」
受け取った後藤に 八雲はニヤリと口元を笑わせた。
「さっきの捨てた傘の代わりに 使ったらどうですか?」
「お前、バカにしてるだろ」
「そんな事ないですよ。とってもお似合いです」
「ふざけんな!!」
押し返された傘を手にした八雲は、それを捨てずに遊歩道まで戻った。
「お前が持ってくのか?署で預かっとくぞ」
後藤の申し出に 八雲は首を振る。
「たぶん、いつかまた会いますよ」
「あのガキにか?なんで?」
「推測です」
そう言うと 駐車した車へと戻る。
「……お前の推測はよく当たるからな」
後藤は 八雲が持つ小さな傘を見て、そう呟いた。
■やってみたかっただけ。後悔はしていない。←←
で、3年後くらいに 別ルートで同じ事件に行き着いて 再会。とかがいいなぁ。
優希は見える霊に対して『絶対に救える。救えない人はいない』と信じていて、周りから大事に大事に守られて愛されて育っている子
だけど八雲は『見えたって出来る事と出来ない事がある』と諦めと挫折が何度もあって、孤独も痛いぐらい知ってる人。
そうゆう正反対な境遇や理論でぶつかって欲しい。
お互いがお互いのあり方から 色んなことを感じて欲しい。
………いやぁ、これはさすがに書庫には収納できませんね…;;だってもうなんか、なんのこっちゃ分からんもん。妙にシリーズ化しそうで怖いもん笑"
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Comment
八雲の二次創作?読ませていただきました!
すごく面白かったです。八雲と後藤さんのやりとりとかニヤニヤしながら読んでました(笑)
正反対な優希くんと八雲がぶつかるところ、見てみたいです(^^)
すごく面白かったです。八雲と後藤さんのやりとりとかニヤニヤしながら読んでました(笑)
正反対な優希くんと八雲がぶつかるところ、見てみたいです(^^)
奈子|2009/07/18(Sat)|Edit
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ゆるカジュ
峰倉作品
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清春(神)
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Super Dollfie(オーナー歴三年)
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近況報告
2010年も BUSGAMER至上主義で参ります…!!
マイナー万歳!!
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