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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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■突発。中条&美柴の『ドライブだぜ』なお話。


長い長いトンネルを 走り抜けていくローレライ。
窓の外を流れてゆく景色は 単調に並んでいるナトリウム灯。
助手席から、それをずっと眺めていた。
流れるBGMは マイナーな英国バンドのチープなロック。
揺れて届くのは 運転手の男の煙草の煙。

いい加減に窓を開けたいと思う。
でも、トンネル内の空気の方がもっと嫌だ。
ただ押し黙って 前方に見えてきた出口を待ち遠しく見る。

外は眩しい。思わず目を細める。
ローレライは真昼の明かりの中に ようやく飛び込んだ。

「窓、開けるぞ」

言葉のあとに、自動的に開く窓。
目の前を横切る白い煙は、忙しなく外に逃げていく。
雲ひとつ無いコバルトの空に 有害な靄が浄化され、消えていく。
少し肌寒く、それでもとても新鮮な空気に 気分が良くなっていった。
自分が何を求めていたのか この男はお見通しなのだ。

背もたれから 少し身体を起こしてみれば、鉄橋に邪魔されながらも 海が見えた。
黒と青の狭間の色合いで、お世辞にも綺麗とは言えない都会の海。
その上に掛かった高架橋、海ほたる。
結局は交通の便宜を図るためだけの、名ばかりの橋だと 思った。けれど…。

「海は嫌いじゃないって、そう言ってただろう」

窓に肘を掛け 煙を吐き出す運転手の、言葉。
いつか自分が ぽろりと零した話だ。
覚えていたのかと感心しながら じっと見ていれば 「気に入ったか?」と口角を引き上げて笑む横顔。
答えは返さずに また首を伸ばして、海を追う。
隣の車線をロングトラックが走る。見えなくなってしまった。

「…………止まって見たい」
「はいはい もうちょっと待ってろ」

パーキングエリア。
ん~と背を伸ばして のろのろ歩む中条を軽く追い抜いて、駐車場の柵に手を掛ける。

広がる海。
深くて深くて、何もかも飲み込んでしまいそうな波…。

「……落ちるなよー」

美柴はこんなからかう声も気にせず、目の前の海に見入っている。
いつもは どこか生気の抜けている背中が、やけに凛としている。
まるで、この星を覆う海にすら負けない と気持ち新たにしているようで。

海からの強い風が、紅い髪を、ジャケットを、音を立てて吹き上げた。

抱き寄せようとした手は、その瞬間に 伸ばしかけたまま止まる。
吹き荒んだ風を一身に纏う美柴の後姿に、胸を撃たれた。

その強かな背中越しに見つめる世界は、死ぬほどに美しいと思う。



■中条さんは美柴さんの背中を守っていると思う。
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