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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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■以下 後編の中編。


思ったより長かったので、まだ中編。笑”




散々と泣いて ベッドに倒れていると、傍らで携帯が鳴った。
手繰り寄せて 中条だと知る。
出たくない。でも、…出なかったら本当にこのまま……?

気がついたら 身体が声を聞こうと動いていた。

「……な、に」
『何ってお前…気付いてねぇーのかよ』
そしてその声は 携帯からとドアの向こうからと二重に聞こえてきた。

『……そっちから開けないなら、帰るけどな…』
「!」
毛布で足をもたつかせながらも、美柴はドアへ駆け寄った。
手にしたドアノブを回す一瞬、反対側の気配を感じて 喉の奥がじんと苦しくなる。
少し躊躇い、ゆっくりと開けたドアの先。

「…………」
「…………」

まるで幽霊でも見ているかのような気持ちだった。
たった二週間ぶりなのに こんな妙な緊張をするなんて滑稽だ。
何か言わなくてはと思うのに 肝心の言葉が出てこない。

「…………」
「……何とか言えって…」
ぎこちない沈黙の末、中条がやっとそう言った。
そして 小さな声で、悪かった 言い過ぎたと真摯な謝罪が続いた。

言葉なんて後回しにして、中条の肩口に ぽすと額を埋めた。
寄り掛かる身体を受け止めてくれる腕に 言いようの無い安心感が生まれる。
胸の奥から はぁと深く長い溜息が零れた。

「…悪かった」
同じ言葉で謝ると、中条からは何がだと聞き返される。
「………電話、切った…」
あんな風に切ったから、こっちだって相手を傷つけてしまったと思う。
けど、別に気にしてないと笑った。

「これでも色々考えた。お前のことも優希のことも」
「……………」
「…二人でお互い支え合ってきたってのもよく分かる。」
少し首を傾けて、顔を覗き込まれる。交差する視線が 怖かった。

「だから今度は、こうやって全体重かけて寄り掛かったりもしろよ」

だけど、それ以上に込み上げる感情があった。
コクリと頷く頭を ぎゅうと強く抱かれて、身体を預けた。






しばらく抱き合っていたかと思うと ひょいとベッドにまで持っていたかれた。
忙しなく服を脱ぎあって、背中が白いシーツに沈む。
押し倒されたままの勢いでくちづけを交わしていると、中条が美柴の左手を取った。

「……ッ?」

上がり始める呼吸を飲み込んだ美柴は、その手に走った生温かい感触にびくりと微かに竦む。
見やれば、中条が実に愛おしそうに 手の甲に唇を寄せていた。
濡れた舌と乾いた唇が じっとりと肌を這う。
甲を行き渡ると 今度は引っくり返して 手の平を舐め始めた。
確かめるように丹念に、手相の小さなシワの隙間すら逃さない。

「~…ッ」
額や手の甲に軽くキスをするのは、中条のいつものじゃれ合いだ。
でも、これは違う。こんな行為は知らない。

味わうように閉じた両瞼や 伸ばされる舌の動きが艶かしくて、見ているだけでも体温が上がる。
どう抵抗すればいいのか分からずに狼狽えていると、中条の舌はなんと小指を沿って、ねっとりと絡もうとした。

「!」
とんでもなく淫靡な光景を見てしまいそうで、慌てて手を引く。
逃げる仕草に気がついた中条は ぐっと手を離さずに美柴を少し叱るように見下ろした。

「なんだよ」
「……手、」
なんか舐めてどうするんだ、という反論が声に出来ない。
中条は 言葉に困る美柴を見て ふと楽しげに笑んだ。

「利き手、左だよな」
そう言って、まじまじと美柴の左手を見つめる。
「……?」
意図が掴めない美柴が 続きを促すように見上げていると、今度はにやりと意地悪な笑みを見せる。

「一人で、”してた”だろ?」
「!」

そうゆう事かと理解した美柴は 途端に中条の顔が見れなくなった。
ふいと顔をそらして 一文字に唇を閉ざす。
それは面白いぐらい図星を当てられた時の態度で、中条は更に悪どい笑みを深くする。

「俺を想ったか?」
「……~ッ」
逃げようと躍起になる左手首を シーツにぐいと押し付ける。
中条が美柴に完全に覆い被さる体勢で 指への口淫を再開した。
…意図を知られているほうが燃えるな。
懸命に行為を無視しようとする美柴の横顔に 自然と口元が笑ってしまう。

「してただろ? 約二週間だしな」
「…ッうるさい」
何度かわざとらしく耳元で問うと 痺れを切らした美柴から反論が上がった。
いつもの言葉遊びに備えて体を起こした中条は、

「勝手に……ッ出て行くから、だ」
「………………あー…ったく」

あっ気なく陥落した。
もう駄目だ。
中条は ぽすりと美柴の上に落ちる。
キリリと必死に睨まれて そんな言葉じゃあ、全く怖くない。むしろ嬉しいぐらいだ。

早くも行為を進めたいと主張する身体に正直に従うことにした。

「!」
突然食らいつくような深く長いキスに、美柴が微かに抵抗した。
絡み合ったキスに は、と吐息を零す。ぶつかる呼吸が熱い。

「…二週間ぐらい どっかで女引っ掛けて済ませられんのにな」
「……………………」
それはどうゆう意味だ という疑念が浮かんで、むと見上げると 何故か中条は美柴を見つめて微笑んでいた。
そのいやに上機嫌な様子に 問う。

「……ツテは、あるんだろ」
そう。昔の中条は、美柴の知る限り そうゆう関係においては事欠かない男だった。
一時は自分もそんな関係の一つだとも思っていた。

……今こうして実際に口にしてみると、それはとても…寂しく感じた。
胸のどこかが ちくりと痛むのを知ってか知らずか、中条は美柴の額にかかる髪をそっと退かす。

いつもの、愛しさに溢れるキスが額に降る。

「悪いが、もうお前じゃなきゃ勃たねぇーよ」

囁かれた言葉に唖然とする。
中条らしいのかも知れないが もっと包んだ言い方をしてほしい。
…………それは恥ずかしがればいいのか、喜べばいいのか、こっちも困る。

呆れて、ふと笑ってしまった。

「……それは重症だ」
「あぁ。だからお前は最期まで、責任取れよ」
思いのほか真剣な中条の声に ぽかんと驚いたが、覆い被さっている身体に腕を回した。

「そっちこそ」
そう応えると 掬い上げるように強く抱きしめられて 胸と胸が、唇と唇が、重なった。


そこから触れ合うすべての感触が、お互いを確かめ合って 刻み込む快感だった。


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