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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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■AAA。とあるゲーム前のゴタゴタAAA。


「……………。」
「斉藤お前な…馬鹿にもほどがあんだろ」
じぃと最年少に無言の重圧をぶつける美柴鴇と、あー…とうんざりとした溜息を吐いて最年少を見やる中条伸人。
AAA、年長二人の呆れ顔。その視線の先で、

「~~だって!着替えに帰る時間なんか無かったんすもん…!!」

叱られて肩身が狭いながらも懸命に弁解する、斉藤一雄。
ただ一人、この深夜に制服姿の長身金髪は、補導してくださいと言わんばかりの存在感だった。


【降水確率、0%】


本日も、AAAは賞金を獲得するためにゲームをスタートする。
今回はAWAY。ステージ近くの駅前で待ち合わせていた三人。時刻は24時近く。
毎度のごとく遅れて来た最年少は、怒涛のマシンガントークを撃つ。

「文化祭の準備でみんなギリギリまで学校にいて、その後急遽バイト仲間が具合悪くなっちゃったって言うから 人が足りなくなったら店大変だよなぁって思ったからシフト交換してあげて、それでも何とかゲームには間に合うようにって帰ろうと思ったら今度は駅でおばあちゃんが財布無くしちゃったって困ってて、こんな時間だしって一緒に探してあげて ようやく見つけたー!!と思ったらもうちょーギリの時間で、しかもこうゆう日に限ってチャリじゃなくて、だからもういいや!って思ってこのまんまめっちゃ急いでダッシュして来たんすよ!!!むしろこれは遅刻しなかったのが奇跡!!」


「………………………。」
「…………………よし美柴、言ってやれ。」
「バカ」
「ひどい…!!!」
ガーン!という効果音が出そうな表情をして、斉藤はうな垂れる。
「……だって…俺、全部ほうっておけなかったんすもん…」

同級生も、バイト先も、見知らぬお年寄りも。全部全部。
それじゃあさようなら、とは見過ごせないのがこの大型犬の性分。

「………………」
「………………」
最年少らしいといえばそれまで。
年長二人は仕方ないと まるで手の焼く弟に振り回された兄のような溜息と視線を交わす。

「ったく…これでゲーム開始にまで遅れて来てたら殴る蹴るどころじゃすまさねーぞ」
そう言って、中条はベシリと斉藤のうつむいた頭を叩く。
「な、殴る蹴る以外の方法ってなんすか?」
「沈める。」
クイっと首元で親指を横に切った。斉藤の血色がさぁーと引く。
「!!殺される…!!鴇さんどうしよう俺いつか中条さんに海に沈められる!!助けて鴇さん!!?」
「なんで。」
「!!!見捨てる気満々じゃないっすか鴇さんー!!」
「あーそういや昔の知り合いに何でも屋ってのが居たなー?殺しもやってっかもなー」
わざと脅すだけ脅しながら、中条は軽く笑って一足先に歩き始める。
ぎゃーと悲鳴を上げる斉藤に、美柴は ならばその前に遅刻しないようにしろと思うが その口からはそんな言葉は出ない。
横目に暗殺される自分を妄想して怯える最年少を見る。

「………ほどほどにしろ」
「へ?」
「…………人助けとか…」
「……………えー…と??」
少し言葉を濁す美柴に、斉藤はきょとんと目をまるくする。
「……俺、別に誰も助けてないっすよ??」
「…………………。」
本心から言っているその声色に、美柴は一瞬言葉を飲む。

敵わない、という中条の言葉の深さを知る。


「おい美柴ー」
先の方から掛けられた言葉に見やると、中条が軽く笑っている。
「そのバカ、早く連れて来い」
「あー!もう中条さん!今日会ってからずっと俺の事バカ呼ばわりじゃないっすかー!!」
憤慨する斉藤の横から、美柴は無言ですっと手を伸ばす。

ぐい。

「!わわっ!!ちょ、鴇さんネクタイ!!ネクタイ引っ張んないで…!!!」
「おーなんだ、借金取りに連行される奴みてーだぞ斉藤」
「~~中条さんも笑ってないで助けてくださいよぉ!皺になるって!ネクタイ皺になるってば鴇さん…!!!」
「黙って歩け。」
「~~~~怖いー!!沈められるー!!!」


一通り騒いで、気がつけばそこは本日のステージ前。
気味の悪い廃ビルが、AAAを待ち構えている。

「さてと、今日の見取り図は各自頭に入ってるな?ぬかるんじゃねーぞ」
「…言われなくても分かってる」
「ってちょっと待って!何もうこのままスルーしようとしてんすか!俺制服のままですよ!?」
「あァ?もういいだろーがそのくだりは」
「よくない!全然よくないっす!だってもしかしたらこの制服でどこの学生かバレたりするかもしれなくない!?」
「んなもんは、」
「自業自得だ」
「揃って冷たい…!!学校がバレたりしたら俺のプライバシーが…!」
「………プライバシーって…」
「どの口がそんな事言うんだか」

しかたねぇーなァと中条が斉藤の前に立つ。

「あー…とりあえず、学生っぽくなくなりゃいーんだよな」
「!はいっよろしくお願いします中条さん…!!」
「うるせーよ」

そうして、中条は斉藤にあれこれと指示をして格好を変えさせる。

校章のついたジャケットはもちろんのこと、美柴が来るまでに引っ張ってきたネクタイもだるく緩める。
カッターシャツとスラックス調のズボン。
適度に腰で履いているズボンは校則に反しない範囲の飾り気のないベルトで押さえられている。

「斉藤お前…つまんねー制服だなァ 女子はこのスカート版ってことだろ?」
「~だって下手に目立ったら家に連絡されちゃうし!」
「……何もしなくても目立ってるんじゃないか、お前の場合」
「あー、そんな感じだな、バカだしな」
「~どーゆー意味っすか二人とも…!!」

ごちゃごちゃと言い合いながらも、シャツのボタンは二個目まで開け、ベルトはちょうどダブル仕様だった美柴から片方を借りる。

「ま、こんなもんだろ」
そして最後に、適当に丸めたジャケットをステージ前にあったベンチに放った。

「えぇ!!?ちょ!中条さん、ジャケットは!?」
「ぁあ?んなもん持ってったら邪魔だろーが」
「だからって人の制服 無造作に扱いすぎですよ 今投げたでしょー!?」
「……終わったら取りに来ればいい」
「いやそうゆう問題じゃないっすよ鴇さん!盗まれたりしたらどーするんすか!?」
「……男のなんて盗んで何になる」
「だってイマの世の中JKだけじゃなくて、男子高校生も狙われる時代ですよ!」
「こんなデッカイ男の制服なんざ誰も盗まねーよ。美柴のなら盗む変態が居るかもしんねーけどよ」
「……………。」
「お?もしや経験がおありで美柴くん?」
「……………………。」
「~~あーもう!こんなゲーム間際にケンカしない…!!」

ほらほら、と二人の間に割って入る斉藤は それでも少しふて腐れた顔をする。

「~でもホント、こんな所置いといて雨とか降って汚れたりしたらどーするんすか!?」
「知るかよ お前の制服だし」
「……洗えば落ちる。血痕でない限り。」
「怖いこと言わないで下さいよ鴇さん…!!」
淡々と言い放った美柴に ヒィィと怯える斉藤と うるせぇーと小突く中条。

ビィイー!!!

「!」
三人のある種 能天気な会話を知ってか知らずか、廃ビルからはけたたましいベルの音が響く。

「……時間だ」
「~~てゆーかシャツだけじゃ寒い…!!」
「騒いでりゃー熱くなんだろ」
三人は並んで、ビルの入り口に立つ。

「あ!そうだ二人とも、雨降ったら制服弁償して下さいよ!!?」
「………今日、朝まで晴れだってニュースで言ってた。」
「マジっすか!?俺的に、この流れだと降ってもらいたいんすけど!」
「あーあーうるせぇよお前ら、さっさと行くぞ」


AAA 本日の敗戦確率、0%



■悩みの種はどこかへ飛んだ あっけらかんでいいんじゃない  (嵐 Troublemaker)


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