愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
死ネタです、お気を付けて…。
――――――
あいつは…裕紀は、ヒデの事が好きだった……。
【黒板とチョークと黒板消し】
裕紀と俺はガキの頃からの幼なじみだった。
泣き虫で弱虫な裕紀はよくいじめられて、俺は「裕紀いじめたら許さねぇかんな!!」なんて言って助けていた。
ヒーローになるつもりなんかこれっぽっちも無かった。
ただ、裕紀が泣かされるのは我慢できなかった。
違う中学へ通うようになっても 休みの日はよく二人で遊んだ。
「良い奴なんだ。亮ともきっと気が合うよ」
ある日 裕紀がそう言って連れてきたのが、ヒデだった。
ヒデは俺と同じバスケ部で、夜中の全米戦のせいで遅刻と居眠りの絶えない、話の分かる良い奴だった。
試合でぶつかった時は、いつも本気にやり合った。勝っても負けても必ず笑って 握手をしてきた。
そんな馬鹿だけど律義なあいつが、裕紀との待ち合わせを、果たせなかった。
事故だった。
原チャリで裕紀を迎えに走ってたあいつを、運転ミスをしたトラックが轢いた。
ヒデは夏の日差しで焼けるように熱いアスファルトの上で、死んだ。
俺の誕生日の前日だった。
気まぐれなバスケ馬鹿が、俺を祝おうとした結果だった。
ヒデの最期の姿は 白い煙となって、空へと高く高く舞い上がっていく。
見れば 裕紀は煙を見上げたまま、頬に止めどなく涙を流していた。
ヒデ……俺はお前を許さないよ。
お前は裕紀の気持ちを知っていたんだろう。
知っていて なのに気付かないふりをしていたんだ。
………許せない。
「………クソッ!!」
堪え切れず、裕紀を抱き寄せた。震える肩を 強く強く抱く。
腕の中で 掻き消されそうな小さな声が ヒデ、とそう何度も届かない名を呼ぶ。
俺の服を掴み 肩口に額を強く押し付けて どうして、と泣く。
どうして……。
お前が裕紀を受け止めていたら、救われた心もあったはずだ。
お前が俺の誕生日なんか忘れていたら、事故は起きなかったはずだ。
「……裕紀…」
涙の伝う裕紀の頬を手の平で包む。
上げられた視線は俺を通り過ぎて 空のヒデを見上げた。
その瞳に映った青い空と白い煙が、憎くて悔しくて苦しくて。
ヒデ、俺はお前を許さないからな。
裕紀の中からお前を消してやる。
俺の中からお前を消してやる。
「……もう見るな、裕紀…」
指で頬の雫を拭う。唇を寄せ 重ねた。
「泣かないでくれよ…頼むからもう、泣くな……」
裕紀は俺を見て、少し目を見開いた。そうして ぐちゃぐちゃになった表情で鳴咽を零す。
「……亮も、泣かないでッ…」
気がつけば、俺は初めて泣いていた。
白い煙は 風に吹かれて、雲に溶けて消えていく。
お前なんか、お前なんか……
―――END
後書き→
――――――
あいつは…裕紀は、ヒデの事が好きだった……。
【黒板とチョークと黒板消し】
裕紀と俺はガキの頃からの幼なじみだった。
泣き虫で弱虫な裕紀はよくいじめられて、俺は「裕紀いじめたら許さねぇかんな!!」なんて言って助けていた。
ヒーローになるつもりなんかこれっぽっちも無かった。
ただ、裕紀が泣かされるのは我慢できなかった。
違う中学へ通うようになっても 休みの日はよく二人で遊んだ。
「良い奴なんだ。亮ともきっと気が合うよ」
ある日 裕紀がそう言って連れてきたのが、ヒデだった。
ヒデは俺と同じバスケ部で、夜中の全米戦のせいで遅刻と居眠りの絶えない、話の分かる良い奴だった。
試合でぶつかった時は、いつも本気にやり合った。勝っても負けても必ず笑って 握手をしてきた。
そんな馬鹿だけど律義なあいつが、裕紀との待ち合わせを、果たせなかった。
事故だった。
原チャリで裕紀を迎えに走ってたあいつを、運転ミスをしたトラックが轢いた。
ヒデは夏の日差しで焼けるように熱いアスファルトの上で、死んだ。
俺の誕生日の前日だった。
気まぐれなバスケ馬鹿が、俺を祝おうとした結果だった。
ヒデの最期の姿は 白い煙となって、空へと高く高く舞い上がっていく。
見れば 裕紀は煙を見上げたまま、頬に止めどなく涙を流していた。
ヒデ……俺はお前を許さないよ。
お前は裕紀の気持ちを知っていたんだろう。
知っていて なのに気付かないふりをしていたんだ。
………許せない。
「………クソッ!!」
堪え切れず、裕紀を抱き寄せた。震える肩を 強く強く抱く。
腕の中で 掻き消されそうな小さな声が ヒデ、とそう何度も届かない名を呼ぶ。
俺の服を掴み 肩口に額を強く押し付けて どうして、と泣く。
どうして……。
お前が裕紀を受け止めていたら、救われた心もあったはずだ。
お前が俺の誕生日なんか忘れていたら、事故は起きなかったはずだ。
「……裕紀…」
涙の伝う裕紀の頬を手の平で包む。
上げられた視線は俺を通り過ぎて 空のヒデを見上げた。
その瞳に映った青い空と白い煙が、憎くて悔しくて苦しくて。
ヒデ、俺はお前を許さないからな。
裕紀の中からお前を消してやる。
俺の中からお前を消してやる。
「……もう見るな、裕紀…」
指で頬の雫を拭う。唇を寄せ 重ねた。
「泣かないでくれよ…頼むからもう、泣くな……」
裕紀は俺を見て、少し目を見開いた。そうして ぐちゃぐちゃになった表情で鳴咽を零す。
「……亮も、泣かないでッ…」
気がつけば、俺は初めて泣いていた。
白い煙は 風に吹かれて、雲に溶けて消えていく。
お前なんか、お前なんか……
―――END
後書き→
初っ端から暗くてすみません;;
友情と愛情が混在した切なさを描きたいなぁと……。
三角関係だけど 友情で三人の絆が繋がっている場合、それはもうどうしようもないような気がします…。
憎めないよなぁ……
因みに。
裕紀→黒板、 ヒデ→チョーク、 亮→黒板消し。
チョークの白い粉が 白い煙になりました。
友情と愛情が混在した切なさを描きたいなぁと……。
三角関係だけど 友情で三人の絆が繋がっている場合、それはもうどうしようもないような気がします…。
憎めないよなぁ……
因みに。
裕紀→黒板、 ヒデ→チョーク、 亮→黒板消し。
チョークの白い粉が 白い煙になりました。
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