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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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純→→→←鴇 な、お話。


―――――……
【ネコとねずみ】


「トムとジェリーみたいだ」

いきなり何を言い出すのか。

せっかくの休日。久々に夜中まで寝入れると思ったが、案の定 ドアのチャイムは鳴った。
「休みでしょ」と当然のごとく上がり込む純に、毎度ながら何故スケジュールが筒抜けなのかと恐ろしく思う。

ちゃっかり隣を陣取った純は、しまいには夕食のコンビニ弁当まで食べている。

こうゆうのは美味しくない なんて生意気な事を言い放ちながらも 純は意外と満足そうに笑っていた。

「美柴くん知ってる?トムとジェリー。アニメ見たことある?」
食べているところ、顔を覗きこんでくる。
目が合ってしまうと、無下に無視できない。そこまで薄情には成り切れない。
確か、ビデオか何かで見た記憶がある。ネコとネズミの話。
質問に頷いてやると、純は意外だと目を丸くした。

「ちゃんと子供だったんだねぇ美柴くんも」
「…………」

そう言われると なんだか気分が悪い。それが雰囲気で分かったのか、純はケラケラと笑う。

「怒んないでよ。良かったじゃん まだ僕みたいな年下とも話が通じるよ?」
「…トムとジェリーで?」
「そ、トムとジェリーで。美柴くんがジェリーだよ、小さいから」
「……………」
「で、僕がトムね。ネズミを食ってやろうって、じわじわ追いまわしてんの」
「………悪質だな」

心底楽しげな純に、呆れて息を吐く。
そのスキをつかれ 弁当の惣菜が奪われた。最後の唐揚げだっただけに 目が据わる。
純は 美味しい と頬を膨らませて笑った。
どう見てもあの悪戯ネズミは純の方が適役だ……。諦めて 箸を進めようとしたが、


「………僕がジェリーじゃ、美柴くんには荷が重いからね」


そう呟く声が 聞こえた。
サラダを食べもしないのに突いて持て余すその横顔に、今更ながら 純がまだ幼いことに気がついた。


いつも必死に、トムが逃げるジェリーを追いかける。
………あぁ そうか。


「………別に…逃げてるわけじゃない…」

こんな拙い弁解に 純は首を振ってまた笑う。

「いいよ別に。逃がさないようにさ、追いかけまわせばいいんだから」

視線を合わせる。
目の前は 負けを知らないような笑顔。なのに 目は笑えていない。

「美柴くんは そんな事、出来ないでしょ」

美柴くんは虐められる方が好きだからねぇ と悪態を吐いてみせる。

『自分は決して、追いかけてはもらえない』

……一体どこで そう思わせてしまったんだろう…。


結局、何も言えなかった。


「ちゃんと逃げ続けないと、ボロボロにしちゃうからね?」
口を閉ざした自分に、純は取り繕うように 生意気に笑って すり寄ってくる。
いつもは迷惑省みずに全体重を掛けてくるはずが、肩に寄り掛かる純の身体は どこか遠慮しているように感じた。

……違う。多分、いつもそうだった。
無遠慮に、傍若無人な態度で足蹴にされていると ずっと思っていた。

違う。きっと違う。


「……純…」

初めて、その名前を呼んだ。
自分に出来るだけの、穏やかな声で。
変化に気付いたのか 純は息を詰めた。こちらを向かない。肩が緊迫し固まったのが分かる。

「……………」

何と言葉を繋ぐべきか分からない。
むしろ言葉は不要だとも思った。

でも そう 今までこうして何か言わなきゃいけない場面を 何度も黙って通り過ぎてきたから、こうなってしまったんだろう。

「………………」

駄目だった。気の利いた言葉なんて 自分は持っていた試しがない。
第一、この胸につかえている感情だって いまいち理解出来ていない。
純を納得させるような、安心させるような言葉なんか、すぐに見つかるはずがない。


「……逃げてていいよ美柴くん」

純は 美柴の困惑を悟って、諦め そっと笑う。

「ボロボロになっちゃえ」


純の手は、キツくキツく美柴の指を握る。
それは、小さな恨み。
いつも誰かを追いかけてばかり。

(……僕だって 言えない…)


小さなジェリーはいつだって トムに追いかけて欲しかった。

でも純の願いが叶うのも もう少し。
美柴が、その手を握り返すまで あと一分…。



―――END

以下 アトガキと……続き?

ツンデレ純ちゃんと鈍感鴇くん。

ウチは、銀純は 兄貴と甘えん坊な弟 な感じです。
鴫鴇は説明不要な気もしますが…ガッツリです笑"
で、純鴇純は そんな銀純、鴫鴇を前提にしてます。お互い分かってる感じです。


そしてウチの美柴さんは 上役に回ると必ずヘタレです。笑


この後は大人な展開が待ってるんですけどね…まだちょっと自主規制です笑

↓とか言いながら 続き、やってしまう。笑


――――――……………


「ッ!!」

抱えているジレンマの小さな八つ当たり。そんな意図で、相手の指が痛むように握り締めていた。
もし折れたって笑ってやろうって、そう思っていた。

なのにこの手に返ってきたのは、少し冷たいその人の肌の感触。そして……


「……純…?」

いつもと 何か違う、声。
不覚にも どきりとしてしまう。余裕でかわせる自信はなく、顔は向けられなかった。

もう一度名前を呼ばれ そぅと締め付けていた力を抜く。
反して彼は 掴まれていた指を抜き こちらの手の甲に 手の平を重ねる。
その、甲を包まれる感触がまるで 恋人同士のそれのようで……気恥ずかしい。


本当なら 今 上に重なるこの彼の手の中で、自分も手の平を返して 指を絡めて握れればいいんだと思う。
素直に、彼の手を繋いで 顔を上げれば…。

やっと、やっと差し出されたんだから……。


しかしそのまま、何も出来ない。
不自然なままに時間は流れていこうとする。


せめて 乱されてしまった鼓動を落ち着かせようと思っていたら、頭に重みを感じた。
視線を上げて 気がつく。首を倒した美柴が、純に頭を乗せている。 ……起きている気配がない…。

「……………」

そりゃあ 自分がまだ小さいのは承知しているけれど、美柴だって小柄な方だ。
なのにこうも簡単に頭の上に頭が寄り掛かってこられると納得がいかない。
しかも こちらは初めての事態に心臓が破裂しそうだというのに。

肌が触れたと緊張していた自分が、何だかひどくバカに思えて。
同時に この状況で人を無視して平然と睡眠を貪ろうなんていい度胸だ と頭にきて。

ぺいッ と重なっていた手を引っぺがし、肺の辺りを力の限りに殴りつけようとした。
しかし その手は容易に動きを読まれて、美柴に捕まってしまった。
危うくこの小さな手に呼吸困難に落とされるところだったと、美柴は純を見る。

「………何する気だった…」
「永遠に眠ればいいと思って」
「………なんで」
「僕の頭を枕にして寝た罰だよ」
「…寝てない」
「嘘つき。ネズミはネズミらしく謙虚に生きるべきだよ」
「……………」

……あぁ…トムとジェリーの話か。
それにしても、さっきまで あんなに身体を硬直させて赤くなっていたくせに もういつもの調子…というか いつもの倍の罵詈雑言と不機嫌な表情。
その変わり身の速さについていけず、返す言葉のタイミングを失ってしまった。

しかし、急に強気な物言いで食ってかかってきたせいか 手は離れてしまったが、身体は寄り添ったままだった。

「………純…」
「…な、何?言い訳でもする気?」

状況に気がついたのか 純は何とか尊大なままでいようとするが、戸惑っているのは明白だった。


「………………」
「……何?」

目を逸らせば、身体を引けば、負け。
いつの間にか、そんな空気になってしまった。
しかし もうギリギリの心臓を抱えているこっちとしては、逃げ出してしまいたい。
目の前の彼が何を考えてるのか…。静かに見えるその表情は 不安感を煽る。

もう あと少し首を伸ばせば……唇が、触れる距離。
しかし 彼に抱いてしまったそんな期待が 崩されるんじゃないかという不安。

それでも 純は意を決して、瞼を閉じた。が、しかし…

「………………」

美柴から見ると、そんな風に首をすくめて ぎゅぅと目を閉じられると 叱られた子供が拳骨を食らわされるのを待ってるみたいだった。

今まさに甘い時間が始まるか始まらないかの 大事な場面だったのだが、思わず 少し笑ってしまった。
可愛いとか愛しいとか そうゆう感情半分と、普通に可笑しいと思う感情が 半分。
改めて、そういえば自分のほうが年上なのかとも思ったし、性格が悪く 手がつけられないような少年が、こんな時だけ怯えるなんて可笑しい。

「な 何笑ってんの!」

そう言って睨んできても 全く効果はない。触れてしまいそうな距離に、戸惑う純の肩は竦んだままだから。
それを指摘しようかとも思ったけれど 今は止めておこうと 「何でもない」と首を振ってみせた。
さて と小さくなっている身体を腕で寄せる。
邪魔な前髪をさらりと手でかきあげて、露わな額に ひとつだけキスをする。
それだけでずいぶん大人しくなった純は また目を閉じて ぎこちないながらも 身体を胸に預けてきた。

本当に、純は一人だと隙だらけだ。
銀がゲームの間中、片時も目を離さなかったのが頷ける。

力を入れて立ち上がらずとも簡単に持ち上がった身体を、そのまま背を預けていたベッドに乗せた。
純は わぁと声を上げて スプリングに沈む。上から肘をついて重なれば その距離に息を詰める。

そんな反応に 疑問が浮かんだ。純をじぃと見てしまう。
見られたほうは おずおずと上目になる。

「……何 まだなんか可笑しいわけ…」
「…いや……初めてみたいな反応するから…」
「初めてだよ!!」

何を今更 と突然 加減無く思い切り腕を殴られた。
内心その返答に驚きながら、痛む箇所を擦る。相変わらず態度を急変されるとついていけない と見下ろせば 純も純で必死らしい。

「何歳だと思ってんのさ!これもう一年前だったら犯罪なんだからね!」
「……合意でも?」
「そ そんなの知らないよ…!とにかく初めてなんだから、その辺良く考えろよな…!」

……そんな尊大に注文つけられても…どうしろって言うんだか……。

「………銀ちゃんとは 手だって繋いだこと、無いよ…」

どうやらこちらの意図は悟っていたらしい。

「一応 囚人だったからね。二人きりなんかなれっこないじゃん…。ビズ以外の普通の話だって、ほとんど出来なかったもん……何にも、しなかったよ。僕が勝手に連れ回してただけでさ……まぁ それは今も変わんないけどねぇ」

純は 言葉の最後で 努めて明るく笑う。
伸ばされた手で両頬をムィと つままれた。少しも痛くない。
黙ってその目を見ていれば そぅと手を離し、ごめんね と つねった頬を労わるように撫でる。

寂しかった。
表情が そんな気持ちを物語っていて…。
この少年は銀に対しても 追いかけて欲しいとは 言えなかったのだろうと悟った。

「……迷惑かけてばっかりだね…」
「そんなこと無い…」

それだけ言って、手を取った。

ようやくだったけれど、自分だって気がついてやれたのだから。
だからきっと銀だって、分かっていたはずだ。
ただ……檻の中と外だった。限られた条件でしか 傍にいられなかった…。きっと 銀だって歯痒い思いをしていたはずだ。

たとえ…純に弟の影を見ていただけだったとしても。


「…本当に?本当に、そう思う?」

幼い問いかけ。でも 当然だとも思う。


『…ねぇ鴇 俺の事 大事?』
大切な人は 何度も自分にそう尋ねてきた。
自分はあまり上手く気持ちを言葉に出来ないから、そしてその代わりに態度や表情で表す事だって出来ないから、不安にさせてしまったのかもしれない…。
もしかすれば最期まで、あの半身は不安だったのかもしれない。誰よりも 寂しがりだったから…。
なのに自分は 「当たり前だ」としか返せなかった。同じ言葉で 暖めなかった。


「邪魔だって、思わない…?」
「……思わない」

だから、今度は そう思わせたくない。

「大事だ」

不安や寂しさなんて、もう抱えさせたくない。
くちづける。この想いが 言葉以上に伝わるように。

疑いなく微笑んでくれるなら、それだけで 充分だ。



――――――……………
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