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愛猫やらお人形やら美柴双子やら…
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【……届かなかった。でも愛していて…。】


行為の後 感じたぬくもりを胸の中で思い返しながら、煙草を吐き出す。
相手は眠っていたけれど 煙を嫌う彼を聡い、窓は開けていた。夜風に靡くカーテンが 背中をくすぐる。

深く眠れなかったのか もぞもぞと気だるげに起き上がった彼は、この隣に身体を落ち着けた。
少し身震いをして 毛布を手繰り寄せる。言葉は無く ただそっとこちらの足の上にも 毛布を広げ置いた。

ベッドの上、二人で窓に背を預け座っていた。

「シギがよく、眠れないって言って 起こしてくることがあった…」

ぽつり。
唐突な話題に 彼の様子を窺った。
感情の表れない白い横顔が ぼんやりとシーツを眺めている。

『シギ』
その名が誰なのかは知らない。
ただ極々稀に 彼が眠りながら寂しそうに呼ぶことを知っている。
なんとなく、似通った志向の名であったから血族 もしくは兄弟かもしれないと思っている。

「怖い夢を見るんだって そう言って…。トキと一緒に眠ったら 見ないんだって。でも、どんな夢なのかは 一度も教えてくれなかった」

彼がどうしてそんな話を始めたのかは 分からない。
きっと彼自身も はっきりとした意思はないんだろう。
自動的に 回想が口から零れ出ている、そんな印象を受けた。

「シギと俺はいつも逆だったから、今ならどんな夢だったのか、分かる気がする……。俺はいつも過去の夢ばかり見るから、きっとシギは 未来の夢を見てた…」

ゆっくりと 片腕を 闇に差し出すように引き上げる。
手の平が まるで何かを優しく掴んでいるような仕草を見せた。
繋いでいた”誰か”の手が するりと 力を失って 彼の手の中をすり抜けようとする。
落とさないように、離さないように、彼の手は必死に掴みなおそうとする。
それでも、きっと 落としてしまったんだろう。彼の手は 何も無い空間で 自分の無力さに絶望していた。

実際に その落ちていった”誰か”の手が見えたわけじゃない。
彼の一連の仕草が、そんな風に見えただけだ。

「……俺にも 見えたら良かったのに…」

そうしたら、きっと 恐くなかっただろう。
どんな逆境だって、哀しくなんてなかっただろう。
今更になって積もるこの想いも、伝える事ができただろう。

「……お前しか、いないのに…。シギだけだった…」

夢の中に居るかのような、茫然とした瞳を閉じて、呟いた言葉。
落ちた瞼に行き場を奪われ、頬に零れ落ちる涙。

いつか彼が 過去は無理にでも記憶から消し去っているのだと言っていた。
でも 人の想いは 消えず募っていくものだから。
何をどれだけ失っても、そうゆう想いは 決して薄れたりなんかしないのだから。

美柴鴇が 続く言葉を零したとき、このまま時間が止まればいいと思った。
どうかこれ以上、その想いを募らせるな と 届かない想いで傷つかないで欲しい と、そう願った。


(……愛してたんだ…なのに、届かなかったよ…)




―――end


■時折想うのは、届かなかった愛について。(輪廻,清春)
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■突発。中条&美柴の『ドライブだぜ』なお話。


長い長いトンネルを 走り抜けていくローレライ。
窓の外を流れてゆく景色は 単調に並んでいるナトリウム灯。
助手席から、それをずっと眺めていた。
流れるBGMは マイナーな英国バンドのチープなロック。
揺れて届くのは 運転手の男の煙草の煙。

いい加減に窓を開けたいと思う。
でも、トンネル内の空気の方がもっと嫌だ。
ただ押し黙って 前方に見えてきた出口を待ち遠しく見る。

外は眩しい。思わず目を細める。
ローレライは真昼の明かりの中に ようやく飛び込んだ。

「窓、開けるぞ」

言葉のあとに、自動的に開く窓。
目の前を横切る白い煙は、忙しなく外に逃げていく。
雲ひとつ無いコバルトの空に 有害な靄が浄化され、消えていく。
少し肌寒く、それでもとても新鮮な空気に 気分が良くなっていった。
自分が何を求めていたのか この男はお見通しなのだ。

背もたれから 少し身体を起こしてみれば、鉄橋に邪魔されながらも 海が見えた。
黒と青の狭間の色合いで、お世辞にも綺麗とは言えない都会の海。
その上に掛かった高架橋、海ほたる。
結局は交通の便宜を図るためだけの、名ばかりの橋だと 思った。けれど…。

「海は嫌いじゃないって、そう言ってただろう」

窓に肘を掛け 煙を吐き出す運転手の、言葉。
いつか自分が ぽろりと零した話だ。
覚えていたのかと感心しながら じっと見ていれば 「気に入ったか?」と口角を引き上げて笑む横顔。
答えは返さずに また首を伸ばして、海を追う。
隣の車線をロングトラックが走る。見えなくなってしまった。

「…………止まって見たい」
「はいはい もうちょっと待ってろ」

パーキングエリア。
ん~と背を伸ばして のろのろ歩む中条を軽く追い抜いて、駐車場の柵に手を掛ける。

広がる海。
深くて深くて、何もかも飲み込んでしまいそうな波…。

「……落ちるなよー」

美柴はこんなからかう声も気にせず、目の前の海に見入っている。
いつもは どこか生気の抜けている背中が、やけに凛としている。
まるで、この星を覆う海にすら負けない と気持ち新たにしているようで。

海からの強い風が、紅い髪を、ジャケットを、音を立てて吹き上げた。

抱き寄せようとした手は、その瞬間に 伸ばしかけたまま止まる。
吹き荒んだ風を一身に纏う美柴の後姿に、胸を撃たれた。

その強かな背中越しに見つめる世界は、死ぬほどに美しいと思う。



■中条さんは美柴さんの背中を守っていると思う。
先日のバトンのパスしてたお話です。
指定なかったので『仲間』にします。

―――……

●『仲間』をお題にして500字以内でssを作って下さい●


『勝者 AAA』

アナウンスに 思わずため息が漏れた。
やはり病み上がりでは 少々キツイものがあった。
実状、美柴か入ってこなかったら 二人相手ではやられていただろう。

見れば 美柴が肩を気にしていた。

「やられたか?」
「大した事無い」
「見せてみろ」

シャツにバッサリと走っている切れ跡。血も滲んでいた。どこが大した事無いんだか。
待ってろ とその辺の布地を引き裂いて 肩の付け根を固く結んだ。
痛むのか 眉を寄せはしたが、唇を噛んで声は上げない。強情極まりない。

「ちゃんと病院行けよ?」
「そっちがな」
そんな短い反論に 何がだと言えば、美柴はため息を吐く。

「本調子じゃないなら病院くらい行ってからくれば」
「…………今度からそうさせて頂きマスよ」

良く分かったな と内心思った。だから手助けに来たのか わざわざ走って。
「美柴」
呼んでもこちらに顔を向けはしない。渋々視線だけ上げる。最初からそうゆう奴だ。

「さっきは助かった。サンキュな」
「………………」

珍しく素直に感謝してやれば、相手は困ったような 怒ったような そんな態度でぎこちなく目をそらす。
その横顔が、気に入っている。

―――……end

500字いったんじゃないかと思います笑"
もうちょっと長くしたいので、あとで修正してBOOKに収納致しますです。


先月行った 原宿すみかのハロウィン全体写真。
お人形さん白飛びすぎて 姿が分かんなくなってますので こっちで載せちゃいます笑”

今日は一日 サイト壁紙改装をしてから お裁縫ザクザクでした。
本気でBLゲをBGMで流してたんですが、ミシン見てると進行状況が分からず…。気がついたら えらいこっちゃ!!なシーンになってたりして、ビックリしました笑
垂れ流しにしてても 意外とラストまで流せるもんですね やっぱりアキラ1/10も欲しい…笑

最終回、そろそろ逃げずに 鴇さんの過去に触れたいのですが シギ様を生きてる説で書こうか、死んでる説で書こうか迷ってます。


以下、ハロウィン♪なBUS&WA座談会。
久保田⇒眼鏡かけたふくろう(笑)
時任⇒血みどろ伯爵
中条さん⇒吸血鬼
斉藤⇒狼男
シギ様⇒魔女っこ
鴇くん⇒クロネコ(宅急便じゃないですよ)

…ちょっと下品です笑
純→→→←鴇 な、お話。


―――――……
【ネコとねずみ】


「トムとジェリーみたいだ」

いきなり何を言い出すのか。

せっかくの休日。久々に夜中まで寝入れると思ったが、案の定 ドアのチャイムは鳴った。
「休みでしょ」と当然のごとく上がり込む純に、毎度ながら何故スケジュールが筒抜けなのかと恐ろしく思う。

ちゃっかり隣を陣取った純は、しまいには夕食のコンビニ弁当まで食べている。

こうゆうのは美味しくない なんて生意気な事を言い放ちながらも 純は意外と満足そうに笑っていた。

「美柴くん知ってる?トムとジェリー。アニメ見たことある?」
食べているところ、顔を覗きこんでくる。
目が合ってしまうと、無下に無視できない。そこまで薄情には成り切れない。
確か、ビデオか何かで見た記憶がある。ネコとネズミの話。
質問に頷いてやると、純は意外だと目を丸くした。

「ちゃんと子供だったんだねぇ美柴くんも」
「…………」

そう言われると なんだか気分が悪い。それが雰囲気で分かったのか、純はケラケラと笑う。

「怒んないでよ。良かったじゃん まだ僕みたいな年下とも話が通じるよ?」
「…トムとジェリーで?」
「そ、トムとジェリーで。美柴くんがジェリーだよ、小さいから」
「……………」
「で、僕がトムね。ネズミを食ってやろうって、じわじわ追いまわしてんの」
「………悪質だな」

心底楽しげな純に、呆れて息を吐く。
そのスキをつかれ 弁当の惣菜が奪われた。最後の唐揚げだっただけに 目が据わる。
純は 美味しい と頬を膨らませて笑った。
どう見てもあの悪戯ネズミは純の方が適役だ……。諦めて 箸を進めようとしたが、


「………僕がジェリーじゃ、美柴くんには荷が重いからね」


そう呟く声が 聞こえた。
サラダを食べもしないのに突いて持て余すその横顔に、今更ながら 純がまだ幼いことに気がついた。


いつも必死に、トムが逃げるジェリーを追いかける。
………あぁ そうか。


「………別に…逃げてるわけじゃない…」

こんな拙い弁解に 純は首を振ってまた笑う。

「いいよ別に。逃がさないようにさ、追いかけまわせばいいんだから」

視線を合わせる。
目の前は 負けを知らないような笑顔。なのに 目は笑えていない。

「美柴くんは そんな事、出来ないでしょ」

美柴くんは虐められる方が好きだからねぇ と悪態を吐いてみせる。

『自分は決して、追いかけてはもらえない』

……一体どこで そう思わせてしまったんだろう…。


結局、何も言えなかった。


「ちゃんと逃げ続けないと、ボロボロにしちゃうからね?」
口を閉ざした自分に、純は取り繕うように 生意気に笑って すり寄ってくる。
いつもは迷惑省みずに全体重を掛けてくるはずが、肩に寄り掛かる純の身体は どこか遠慮しているように感じた。

……違う。多分、いつもそうだった。
無遠慮に、傍若無人な態度で足蹴にされていると ずっと思っていた。

違う。きっと違う。


「……純…」

初めて、その名前を呼んだ。
自分に出来るだけの、穏やかな声で。
変化に気付いたのか 純は息を詰めた。こちらを向かない。肩が緊迫し固まったのが分かる。

「……………」

何と言葉を繋ぐべきか分からない。
むしろ言葉は不要だとも思った。

でも そう 今までこうして何か言わなきゃいけない場面を 何度も黙って通り過ぎてきたから、こうなってしまったんだろう。

「………………」

駄目だった。気の利いた言葉なんて 自分は持っていた試しがない。
第一、この胸につかえている感情だって いまいち理解出来ていない。
純を納得させるような、安心させるような言葉なんか、すぐに見つかるはずがない。


「……逃げてていいよ美柴くん」

純は 美柴の困惑を悟って、諦め そっと笑う。

「ボロボロになっちゃえ」


純の手は、キツくキツく美柴の指を握る。
それは、小さな恨み。
いつも誰かを追いかけてばかり。

(……僕だって 言えない…)


小さなジェリーはいつだって トムに追いかけて欲しかった。

でも純の願いが叶うのも もう少し。
美柴が、その手を握り返すまで あと一分…。



―――END

以下 アトガキと……続き?
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